ライフプランのステップ6 – 定期的な見直しと修正

ライフプランを立てたら、それで終わりではない。ライフプランを実効性のあるものにするためには、定期的な見直しと必要に応じた修正が欠かせない。本記事では、ライフプランの定期的な見直しと修正について、そのポイントと方法を解説する。

定期的な見直しの重要性

ライフプランは、長期的な人生設計であるため、策定時の想定と実際の状況が乖離することは珍しくない。定期的な見直しを行うことで、以下のようなメリットがある。

・環境変化や予期せぬ出来事に早期に気づき、対応できる
・目標や優先順位の変化を反映し、常に自分らしい人生設計を保てる
・アクションプランの進捗を確認し、必要な軌道修正ができる

この定期的な見直しを行うためには、ライフプランの進捗状況を定期的にチェックする必要がある。このチェックのことを「モニタリング」とよぶ。

モニタリングの方法と評価基準

モニタリングの具体的な方法は以下の通りである。

1. 目標の達成度を評価する：数値化された目標の進捗を確認し、達成度を％で評価する。
2. アクションプランの実行状況を振り返る：計画通りに行動できているか、課題や障害はないかを分析する。
3. 環境変化の影響を分析する：社会情勢、家族構成、健康状態など、ライフプランに影響を与える変化を洗い出す。

評価基準は、目標の性質やライフプランの全体的な

モニタリングの実施時期と頻度

ライフプランのモニタリングは、以下のような時期に実施すると効果的である。

• 四半期ごと：アクションプランの進捗確認と短期的な修正
• 年1回：目標や優先順位の再評価、中長期的な修正
• 大きなライフイベント後：結婚、出産、転職など、ライフプランに大きな影響を与えるイベント発生時

また、モニタリングの頻度は、ライフプランの内容や個人の状況に応じて調整することが大切である。

モニタリングをしよう

具体的なモニタリング方法を、前記事の「目標：3年後に自己資金1,000万円を貯める」を例に解説する。

1年目の終わりに、モニタリングを実施したところ、以下のような課題が明らかになったとする。

• 副業の開始が予定より遅れ、収入が想定を下回っている。
• 食費の節約は順調だが、その他の変動費（娯楽費など）が増加し、トータルの支出削減があまり進んでいない。
• 投資信託の運用益が想定より低い。

これらの課題を受けて、アクションプランの見直しを行い、アクションプランを修正する。

1. 副業の開始時期を再設定
   • 副業開始までのステップを細分化し、着実に準備を進める。
   • 始時期を3ヶ月延期し、その分、副業収入の目標を調整する。
2. 変動費全般の見直し
   • 娯楽費など、増加傾向にある変動費の内訳を分析する。
   • 優先順位の低い支出を削減し、節約の対象を広げる。
3. 投資信託の選択肢の再検討
   • 現在の投資信託のパフォーマンスを評価し、必要に応じて見直す。
   • リスク許容度を再確認し、それに合った運用商品を選択する。
4. 目標達成期限の延長
   • 上記の修正を踏まえ、目標達成期限を3ヶ月～6ヶ月程度延長する。
5. 延長分の貯蓄額を再計算し、月々の目標額を調整する。

目標：3年6ヶ月後に自己資金1,000万円を貯める

行動項目	期限	効果
毎月5万円を積立貯金	3年6ヶ月間継続	210万円貯まる
昼食代を月5,000円節約、その他の変動費を月5,000円削減	3年6ヶ月間継続	252万円浮く
副業で月4万円稼ぐ	1年3ヶ月後から開始	276万円稼ぐ
新たな投資信託で年利3%の運用益	3年6ヶ月間継続	約31万円の増加
一時所得（ボーナスなど）の30%貯金	3年6ヶ月間継続	約140万円貯まる
計		1,000万円

修正したアクションプランに基づき、再度実行フェーズに移行する。

• 副業の準備を着実に進め、計画通りに開始する。
• 変動費の支出を意識的に管理し、節約を習慣化する。
• 新たな投資信託の運用を開始し、定期的にパフォーマンスを確認する。

その後、3ヶ月ごとにモニタリングを実施し、進捗状況を確認する。課題が発生した場合は、再度見直しと修正を行う。

このように、「モニタリング→課題発見→修正→再実行」のサイクルを繰り返すことで、アクションプランの実効性を高めていく。

当初の計画通りにいかないことは珍しくない。大切なのは、モニタリングを通じて課題を早期に発見し、柔軟に修正していく姿勢である。状況の変化に適応しながら、目標達成に向けて着実に前進していこう。

バランスを考慮して設定する。定量的な指標と定性的な観点を組み合わせるとよいだろう。

ライフプランの修正方法

モニタリングの結果、ライフプランの修正が必要と判断された場合は、以下の手順で修正を行う。

1. 課題の特定：モニタリングで明らかになった課題や問題点を明確にする。
2. 原因の分析：課題の根本的な原因を探り、解決に向けた糸口をつかむ。
3. 修正案の検討：目標、優先順位、アクションプランなど、修正が必要な項目を洗い出し、具体的な修正案を検討する。
4. 関係者との調整：家族など、ライフプランに関わる人々と修正案を共有し、合意形成を図る。
5. 修正の実行：修正案を反映し、新たなライフプランを策定する。

ライフプランを修正しよう

モニタリングの結果、アクションプランの修正が必要となると、ライフプランも修正しなければならない。貯蓄目標が達成できていない原因が、想定以上の支出にあると分析された場合、以下のような修正案が考えられる。

支出の見直し：優先順位の低い支出を削減し、貯蓄に回す金額を増やす。 ・収入の増加：副業や投資による収入の増加を検討し、貯蓄に回せる金額を増やす。 ・目標期限の延長：現実的な貯蓄額を設定し、目標期限を延長する。

修正案を反映し、新たなアクションプランを策定します。例えば、以下のような修正が考えられます。

• 外食費を月1万円削減し、貯蓄に回す。
• 副業で月2万円の収入増加を目指す。
• 目標期限を6ヶ月延長し、毎月の貯蓄額を調整する。

修正後のライフプランに基づき、再度実行に移すとともに、次のモニタリングで、修正の効果を確認する。

もし、修正後も貯蓄目標の達成が難しい場合は、さらなる支出の見直しを検討する。例えば、次のような見直しが考えられます。

• 住居費の見直し：家賃の安い物件への引越しや、持ち家の場合は住宅ローンの見直しを検討する。
• 交通費の見直し：公共交通機関の利用や、自動車の維持費削減により、交通費を抑える。
• 保険料の見直し：加入している保険の必要性を再評価し、無駄な保険を解約するなどして保険料を削減する。

このように、モニタリングの結果を踏まえて、ライフプランを柔軟に修正していくことが重要である。環境の変化に適応しながら、自分らしい人生設計を追求していこう。

補足：PDCAサイクル

これまで、ライフプランの作成方法について、ステップ1からステップ6まで解説した。この流れは、PDCAサイクルをもとに構成されている。PDCAサイクルとは次のようなものである。

• Plan（計画）：修正したライフプランを、新たな計画として位置づける。
• Do（実行）：修正したアクションプランを実行に移す。
• Check（評価）：次のモニタリングで、修正の効果を確認する。
• Act（改善）：モニタリングの結果を踏まえ、さらなる改善を図る。

このサイクルを繰り返すことで、ライフプランの実効性と自分らしさを高めていくことができる。また、ライフプランの各ステップとPDCAサイクルの対応関係は、次のように整理できる。

1. ライフプランの目的設定（Plan）：人生の目標を設定し、ライフプランの全体像を描く。
2. 現状分析と課題の洗い出し（Plan）：現状を分析し、目標達成に向けた課題を特定する。
3. ライフプラン（キャッシュフロー表）の作成（Plan）：目標達成に向けた具体的な計画を立てる。
4. アクションプランの作成（Plan）：ライフプランを実行するための行動計画を策定する。
5. 実行とモニタリング（Do & Check）：アクションプランを実行に移し、定期的にモニタリングを行う。
6. 定期的な見直しと修正（Act）：モニタリングの結果を踏まえ、ライフプランを見直し、必要な修正を加える。

このように、ライフプランの各ステップは、PDCAサイクルの各段階に対応している。ライフプランニングは、まさにPDCAサイクルを活用した継続的な改善のプロセスだといえる。

まとめ

ライフプランの定期的な見直しと修正は、自分らしい人生を築くために欠かせないプロセスである。環境の変化に適応し、常に最適なライフプランを目指すことが重要。モニタリングの習慣化と柔軟な修正を通じて、理想の人生に近づいていこう。人生は一度きり。自分らしいライフプランを追求し続けることが、充実した人生への第一歩となるはずだ。