FPが伝えたい!家庭に合った教育資金の準備方法:【完全ガイド】6つの方法と3つの基準

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教育資金の準備は、子育て世代にとって大きな課題です。本記事では、教育資金の具体的な準備方法を6つに分類し、それぞれの特徴や メリット・デメリットを解説します。また、家庭の状況に合わせた準備方法の選び方や、長期的な視点の重要性についても説明します。子どもの将来のために、今から始められる教育資金の準備について、一緒に考えていきましょう。

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教育資金の準備方法は6つある!

教育資金の準備には様々な方法がありますが、大きく分けると「借りる」「公的支援を受ける」「ためる」「家族・親族からもらう」「保険を活用する」「運用する」の6つに分類できます。まずは、「借りる」方法について詳しく見ていきましょう。

借りる

教育資金を借りる方法には、国の教育ローンと民間の教育ローンがあります。金利や借入条件が異なるので、それぞれの特徴を理解することが重要です。はじめに、国の教育ローンについて解説します。

国の教育ローン

国の教育ローンは、日本政策金融公庫が提供する低金利の教育ローンです。金利は固定金利で、長期の返済期間を設定できるため、毎月の返済額を抑えることが可能です。また、繰上返済手数料が無料であるため、余裕があるときに前倒しで返済することもできます。

<おもな特徴>

  • 世帯年収(所得)が決められた金額以内の方が対象
  • 扶養している子どもの人数によって、世帯年収(所得)の上限額が異なる
  • 教育資金融資保証基金による保証をご利用の場合、保証料は融資金から一括して差し引かれる
  • まとめて融資を受けられる(奨学金とは異なる特徴)
  • 借りるのは親
  • 原則、子ども1人につき上限350万円
  • 固定金利2.40%(2024年5月1日)
  • 返済期間最長18年
  • 連帯保証人がいれば、保証料は不要

● 国の教育ローン:具体例(シミュレーション)

  • 借入額:3,000,000円
  • 金利:年2.40%(固定金利)
  • 返済期間:10年
※出典:国の教育ローン「ご利用条件や金利・ご返済方法」でシミュレーション(調査:2024年5月22日)

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教育ローンを選ぶ場合、この国の教育ローンを基準にします。民間の教育ローンが国の教育ローンよりも負担が軽ければ、民間の教育ローンを選ぶといいでしょう。

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大きなポイントは、国の教育ローンは固定金利である点です。最近、物価の上昇が続いており、商品が値上がりしていることのリスクを実感していると思います。値上がりタイミングはさまざまですが、固定金利であれば、この値上がりリスクを回避できます。

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国の教育ローンが固定金利であるといういことは、変動金利の教育ローンとは安易に比較できない点に注意する必要があります。低金利のランキングサイトだけを見て判断せず、変動しない安定性も考慮しましょう。

民間の教育ローン

民間の教育ローンは、銀行などの金融機関が提供する教育ローンです。金利は変動金利が一般的で、借入期間や借入額に応じて金利が異なります。また、保証料が必要な場合もありますが、ここで紹介する横浜銀行の教育ローンでは保証料が0円となっています。

横浜銀行の教育ローンには、カードローン型と一括借入型の2種類があります。カードローン型は、設定した借入限度額の範囲内で必要な金額を何度でも借り入れできるのが特徴です。一括借入型は、最長1年分の教育費用をまとめて借り入れる方式です。

<おもな特徴>

  • 金融機関によって商品性は異なる。
  • 複数の商品を取り扱っている金融機関もある。
  • 変動金利タイプが多く、金利変動リスクを抱える。

● 横浜銀行の教育ローン:具体例(シミュレーション)

  • 借入額:3,000,000円
  • 金利:年0.9%(変動金利)※年利0.9%~2.9%から審査で決まる
  • 返済期間:10年
※出典:横浜銀行「教育ローン(一括借入型)ご返済シミュレーション」でシミュレーション(調査:2024年5月22日)

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民間の教育ローンには、さまざまな種類があり、金利だけでは比較しにくいかもしれません。まずは、国の教育ローンと比較して検討しますが、民間の教育ローンのほとんどは変動金利であるため、安易に民間の教育ローンが最善の選択肢であると判断しないようにしなければなりません。

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今回のシミュレーションでは、横浜銀行の最低金利を用いていますが、基準金利の2.9%が適用されると、変動金利であるにもかかわらず、国の教育ローンよりも金利は高くなります。金利上昇局面では、借りたあとに金利が上昇する可能性もあります。金利が上昇した場合のシミュレーションをしておかなければなりません。

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教育資金の準備方法として、民間の教育ローンを選択すると決断した場合に、教育ローンの比較サイトを活用するといいでしょう。ただし、一定の条件のもとでランキングしているため、皆さんが利用する際には、ランキング通りにならないことに注意が必要です。

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変動金利タイプにおける金利変動リスクは、体験しなければわかりにくいかもしれません。変動金利と固定金利との金利差は、この金利変動リスクを貸手である金融機関に背負わせるための費用です。クレジットカード、住宅ローン、教育ローン、自動車ローンなどあらゆる借入金を変動金利にしてしまうと、リスクは高くなります

貸与型奨学金

貸与型奨学金は、日本学生支援機構が提供する奨学金で、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ学生を対象としています。利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金があります。第二種奨学金の利率は、固定方式と見直し方式から選択できます。

<おもな特徴>

  • 毎月定額を受け取れるタイプ
  • 金利には固定金利(利率固定方式)と変動金利(利率見直し方式)がある
  • 金利が低い
  • 生徒・学生が借り手となる
  • 入学時特別増額貸与奨学金を利用すれば、入学時納付金の一部に充当できる(最大50万円)。

● 貸与型奨学金:具体例(シミュレーション)

  • 貸与総額:3,000,000円
  • 貸与利率:1.140%(利率固定方式)※利率見直し方式は0.5%
  • 返還期間:17年(2028年4月~2045年3月)
項目金額
毎月の返済額16,265円(最終月は16,394円)
返済回数204回
返済総額3,318,189円
利息総額318,189円
保証料0円
※日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」でシミュレーション(調査:2024年5月22日)

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金利だけで考えれば、これほど低い金利で借りられる融資はありません。金利は上昇傾向にありますが、固定金利で0.5%以下、変動金利で0.01%以下のケースもあります。

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ただし、奨学金は、生徒・学生が将来の年収もわからないうちに借り入れるため、リスクと考えられます。特に、学費の大半を奨学金でまかなう場合、大学に通う意義をよく考える必要があるでしょう。

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シミュレーション結果では、教育ローンと比べても、低金利のわりに利息総額は多めです。新卒初任給でも支払えるよう、返済期間を17年としているためで、ほかのローンと単純比較できない点には注意が必要です。

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奨学金を利用する際には、生徒・学生本人のキャリアプラン・ライフプランを作成し、安定して返済できるかどうかを十分検討する必要があります。

公的支援を受ける

教育資金の準備には、国や自治体が提供する公的支援制度を活用することも有効です。ここでは、代表的な公的支援制度である児童手当と給付型奨学金について詳しく解説します。まずは、児童手当から見ていきましょう。

児童手当

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方を対象とした支援制度です。支給額は、児童の年齢に応じて異なります。

  • 3歳未満の児童:月額一律15,000円
  • 3歳以上小学校修了前の児童:月額10,000円(第3子以降は15,000円)
  • 中学生:月額一律10,000円

ただし、児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円が支給されます。また、原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当を受け取れます。


● 児童手当:具体例(シミュレーション)

条件子1人子2人
所得制限限度額内1,980,000円3,960,000円
所得制限限度額以上900,000円1,800,000円
※子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」(調査:2024年5月22日)

所得制限限度内であれば、子1人につき約200万円を受け取れます。児童手当を使わず貯めておき、大学入学資金に充当すれば、教育資金の目標額を下げられます。

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私がお会いしたご家族に限っても、児童手当を大学資金のために残しています。収入から貯蓄しても同じですが、「児童手当をそのまま貯蓄」という行為が、継続しやすく、わかりやすいためです。

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児童手当で、子1人あたり約200万円を受け取れますので、たとえば、目標額が400万円なら、残り200万円となります。このとき考えるべきことは、①残りの200万円をどのように準備するか、⓶児童手当の分も学資保険や資産運用の資金にするかどうか、です。

給付型奨学金

給付型奨学金は、経済的理由で大学や専門学校への進学をあきらめざるを得ない学生を支援するための制度です。この奨学金の大きな特徴は、返済の必要がないことです。

給付型奨学金の対象となるのは、「世帯収入が一定の基準を満たしていること」「学ぶ意欲があること」です。

給付型奨学金の支給額は、世帯収入と通学形態(自宅通学 or 自宅外通学)によって異なります。また、給付型奨学金の対象となった学生は、大学等の授業料や入学金の免除または減額を受けることができます。毎月の支給額は、次のとおりです。

区分国公立私立
第一区分自宅生:38,300円 自宅外生:75,800円自宅生:54,500円 自宅外生:91,000円
第二区分自宅生:25,600円 自宅外生:50,600円自宅生:36,400円 自宅外生:60,700円
第三区分自宅生:12,800円 自宅外生:25,300円自宅生:18,200円 自宅外生:30,300円
※日本学生支援機構「大学生向けリーフレット」(調査:2024年5月21日)

支援区分は、世帯収入等に基づき判定される。

  • 第一区分:住民税非課税世帯(目安:年収約270万円以下)
  • 第二区分:住民税非課税世帯(目安:年収約300万円以下)
  • 第三区分:住民税非課税世帯(目安:年収約380万円以下)

● 給付型奨学金:具体例(シミュレーション)

国公立大学の場合(大学4年間の総額)

区分自宅通学自宅外通学
第一区分1,838,400円3,638,400円
第二区分1,228,800円2,428,800円
第三区分614,400円1,214,400円
※日本学生支援機構「大学生向けリーフレット」(調査:2024年5月21日)

私立大学の場合(大学4年間の総額)

区分自宅通学自宅外通学
第一区分2,616,000円4,368,000円
第二区分1,747,200円2,913,600円
第三区分873,600円1,454,400円
※日本学生支援機構「大学生向けリーフレット」より作成(調査:2024年5月21日)

家族・親族からもらう

教育資金の準備において、家族や親族からの支援を受けることも選択肢の一つです。ここでは、祖父母などからの援助と教育資金の一括贈与制度について説明します。まず、祖父母などからの援助の具体的な方法を見ていきます。

祖父母などからの援助

祖父母などの家族・親族から教育資金の援助を受ける方法は、必要な時にその都度もらう形式が一般的です。生活費や教育資金目的であれば贈与税の課税対象外なので、暦年課税の基礎控除110万円を意識する必要もありません。ただし、受け取った資金で投資するなど、目的が異なると課税される可能性がありますので、注意が必要です。

● 祖父母などからの援助:具体例(シミュレーション)

家庭によって援助の方法や金額は異なりますが、以下のような事例が考えられます。

  • 祖父母が孫の教育資金として、毎年100万円を援助する。
  • 親族が子どもの教育資金として、毎月5万円を援助する。
  • 祖父母が孫の入学祝いとして、入学時に50万円を一時的に援助する。

これらの具体例は、家庭の事情や親族関係によって異なるため、一概には言えません。教育資金の援助を受ける際は、贈与税の課税対象かどうか、確認することを忘れないようにしましょう。

※参考:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合

教育資金の一括贈与制度を活用する

教育資金の一括贈与は、一定の要件を満たすことで、最大1,500万円まで非課税で受け取ることができる贈与方法です。この制度を利用すれば、まとまった教育資金を受け取れます。

条件には、贈与者の年齢が60歳以上であること、受贈者が20歳未満の子や孫であること、教育資金として使用することなどがあります。

● 教育資金の一括贈与:具体例(シミュレーション)

教育資金の一括贈与の具体例は、以下のようなものが考えられます。

  1. 祖父母が孫の教育資金として、1,000万円を一括で贈与する。
  2. 祖父母が孫の教育資金として、500万円を一括で贈与する。

これらの具体例は、家庭の事情や資産状況によって異なります。教育資金の一括贈与を受ける際は、制度の要件を満たしているか確認し、適切に手続きを行うことが重要です。

※参考:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

ためる

教育資金を自分でためる方法には、いくつかの選択肢があります。その中でも、もっとも身近で手軽な方法が普通預金や定期預金です。これらの預金商品の特徴と、具体的な活用方法について解説します。

普通預金・定期預金

普通預金や定期預金は、安全性が高い反面、利回りは低いという特徴があります。普通預金は自由に預け入れや引き出しができる利便性がありますが、利率は低く、年利0.02%程度が一般的です。定期預金は預入期間が長いほど利率が高くなりますが、満期までお金を引き出せないというデメリットがあります。

● 普通預金・定期預金:具体例(シミュレーション)

預金種類預入金額年利預入期間利息税引き後受取額
普通預金1,000,000円0.02%1年200円1,000,159円
スーパー定期預金(10年)1,000,000円0.3%10年30,445円1,024,262円
※三菱UFL銀行「円預金金利」をもとに試算(調査:2024年5月22日)
※税率は、20.315%の税率が適用されるものとして計算しています。

学資保険

学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備できる保険商品です。契約者が保険料を払い込み、子どもが大学などに進学する際に、満期保険金や学資祝金を受け取ることができます。学資保険は、長期の積立で計画的に資金を準備できるメリットがある一方、途中解約した場合のデメリットもあります。

なお、保険会社は受け取った保険料を運用していることから、資産運用に分類することもできます。

● 学資保険:具体例(シミュレーション)

フコク生命の学資保険「みらいのつばさ」
・契約者:男性(30歳)/被保険者:子(0歳)
・22歳満期/ジャンプ型(18歳100万円・22歳100万円)

項目内容
払込期間11年(子が11歳まで)
毎月の保険料13,833円
払込保険料総額1,825,956円
受取総額2,000,000円
返戻率109.5%
※出典:フコク生命「学資保険 みらいのつばさ」で試算(2024年5月22日)

運用する

教育資金を運用することで、より効果的に資金を増やすことができます。ここでは、特定口座とNISAを活用した運用方法について詳しく説明します。まずは、特定口座での運用から見ていきましょう。

特定口座での運用

特定口座は、証券会社などの金融機関に開設する口座の一種で、株式や投資信託などの取引で発生した利益に対する税金の計算・納税を証券会社が代行してくれる口座です。特定口座を利用することで、投資家は確定申告の手間を省くことができます。

特定口座での運用自体に大きなメリットはありません。運用で資産を増やし、教育資金に充てたい人向けの方法です。

● 特定口座での運用:具体例(シミュレーション)

毎月2万円の積立投資(債券型投資信託と株式型投資信託)で、利益が出た場合(税引後)と損失が出た場合を表にまとめます。運用期間は10年(120ヶ月)、税率は20.315%で算出します。

債券型投資信託

シナリオ年平均利回り積立総額運用結果(税引後)損益
利益が出た場合1.5%2,400,000円2,564,266円164,266円
損失が出た場合-0.5%2,400,000円2,354,988円-45,012円

株式型投資信託

シナリオ年平均リターン積立総額運用結果(税引後)損益
利益が出た場合5%2,400,000円3,036,760円636,760円
損失が出た場合-3%2,400,000円2,051,108円-348,892円
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教育資金の目的で資産運用を行う場合、運用成果が芳しくなく、損失を被ることも考慮しておく必要があります。運用結果が教育資金の準備に直接影響を与えないよう、他の方法で一定額を確保しておくことが賢明です。

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投資信託を活用した教育資金の準備は、長期的な視点を持ち、リスクを適切に管理しながら行うことが重要です。

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人に言われたから興味を持つ程度で選択するにはリスクの高い方法です。投資経験がない、または少ない人は、ほかの方法を検討しましょう。

NISAでの運用

NISAは、非課税で投資ができる制度です。2024年から新しいNISA制度がスタートし、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠組みが設けられました。つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託を非課税で購入できます。一方、成長投資枠では、上場株式や投資信託などを非課税で購入できます。新しいNISA制度では、非課税投資枠が拡大され、より多くの資産を非課税で運用できるようになりました。

● NISAでの運用:具体例(シミュレーション)

NISA(少額投資非課税制度)を活用した教育資金の運用では、特定口座とは異なり、利益に対して非課税となるメリットがあります。ここでは、特定口座の例と同じ前提条件で、NISAを利用した場合の運用結果を比較してみましょう。毎月2万円を10年間積み立てた場合のシミュレーションです。

債券型投資信託(NISA)

シナリオ年平均利回り積立総額運用結果(非課税)損益
利益が出た場合1.5%2,400,000円2,606,144円206,144円
損失が出た場合-0.5%2,400,000円2,354,988円-45,012円

株式型投資信託(NISA)

シナリオ年平均リターン積立総額運用結果(非課税)損益
利益が出た場合5%2,400,000円3,199,021円799,021円
損失が出た場合-3%2,400,000円2,051,108円-348,892円
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NISAを活用することで、利益に対する税金がかからないため、特定口座と比べて利益が出た場合の利益額は大きくなります

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資産運用で教育資金の準備を考えている人は、NISA口座の活用が選択肢となります。損失が出ることを想定しつつ、利益を追求します。

家庭に合った準備方法を選ぶための3つの基準

教育資金の準備方法は家庭によって異なります。適切な準備方法を選ぶためには、目標額、準備期間、リスク許容度の3つの基準を考慮する必要があります。それでは、1つ目の基準である目標額について説明します。

目標額

教育資金準備における目標額は、わかりやすい例では、大学入学時納付金の額になります。入学時にどのくらいの資金が必要かを調べ、それを貯蓄や運用の目標額にします。また、入学時納付金だけでなく、学費の半分を事前準備、残りをその都度支払うことにすれば、学費の半分が目標額になります。

目標額を設定するためには、子どもの教育費の実態を知る必要があります。幼稚園から大学までの教育費を紹介します。

幼稚園から大学までの教育費

幼稚園の種類年間教育費
公立幼稚園165,126円
私立幼稚園308,909円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果
小学校の種類年間教育費
公立小学校352,566円
私立小学校1,666,949円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果
中学校の種類年間教育費
公立中学校538,799円
私立中学校1,436,353円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果
高校の種類年間教育費
公立高等学校(全日制)512,971円
私立高等学校(全日制)1,054,444円
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果
大学の種類授業料入学料施設設備費合計
国立大学535,800円282,000円817,800円
私大文科系学部827,135円223,867円143,838円1,194,841円
私大理科系学部1,162,738円234,756円132,956円1,530,451円
私大医歯系学部2,863,713円1,077,425円880,566円4,821,704円
私大その他学部977,635円251,164円231,743円1,460,542円
私立短大729,069円237,122円163,836円1,130,027円
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について

教育費データを利用した目標額の設定方法

教育資金の目標額を設定する際は、以下の手順で進めることをおすすめします。

  1. 子供の進学先を想定する
    • 国立大学、私立大学(文科系、理科系、医歯系、その他)、私立短大など、子供の将来の進路を想定します。
    • 子供の適性や興味関心に加え、家庭の経済状況も考慮しましょう。
  2. 学費の総額を計算する
    • 想定した進学先の学費(授業料、入学料、施設設備費)の合計金額を確認します。
    • 表を参考に、4年間(または修業年限)の学費総額を計算します。
    • 例:私立文科系学部の場合、4年間の学費総額は1,194,841円 × 4年 = 4,779,364円
  3. 教育関連費用を加算する
    • 学費以外の教育関連費用(教材費、通学費、住居費など)を加算します。
    • これらの費用は個人差が大きいため、平均的な金額を想定するか、詳細に見積もる必要があります。
  4. 目標額を設定する
    • 学費総額と教育関連費用を合計し、教育資金の目標額を設定します。
    • 例:私立文科系学部の場合、4年間の学費総額が4,779,364円、教育関連費用が年間50万円とすると、 目標額は4,779,364円 + 50万円 × 4年 = 6,779,364円
  5. インフレ率を考慮する
    • 教育費は年々上昇傾向にあるため、インフレ率を考慮して目標額を調整します。
    • 子供の年齢や進学までの期間に応じて、適切なインフレ率(例えば年1~2%)を設定し、目標額を割り増しします。
  6. 複数の子供がいる場合は、それぞれの目標額を合計する
    • 2人目以降の子供についても、同様の手順で目標額を設定し、合計金額を算出します。

この手順を踏まえて教育資金の目標額を設定することで、より具体的かつ現実的な準備計画を立てることができます。ただし、あくまでも目安であり、定期的に見直しを行い、状況変化に応じて柔軟に対応することが重要です。

ライフプランにおける教育資金の準備については、こちらを参考にしてください。

準備期間

教育資金の準備期間は、子供の年齢や家庭の状況によって異なります。大きく分けると、短期、中期、長期の3つに分類できます。おおむね、短期は高校在学中、中期は小中学生のときに、長期は出産前後や幼児期に準備し始めることを想定しています。

  1. 長期:15年以上(出産直後や幼児期)
    出産直後や幼児期は、教育資金が必要となるまでに最も長い時間があります。この時期は、投資信託や株式投資、NISAなど、長期的な運用で高いリターンが期待できる方法を検討することができます。学資保険も最大限生かすことができるでしょう。奨学金や教育ローンの利用を検討しても構いません。選択肢が多く、できる限り、この時期に検討することをお勧めします。
  2. 中期:10年程度(小学校入学直後)
    小学生の段階では、まだ教育資金が必要となるまでに一定の時間的猶予があります。NISAによる資産運用も可能です。学資保険を利用するにはギリギリで、あまり返戻率には期待できないかもしれません。ただ、10年あれば、普通預金に毎月2万円積み立てるだけでも、240万円貯まります。遅くとも、この時期までには教育資金準備を開始しておきたいところです。
  3. 短期:5年未満(高校在学中)
    大学に進学するつもりがなくても、高校生活を経験し、大学で勉強したいという気持ちが芽生えることがあります。高校在学中は、教育資金が必要となる時期がすぐに迫っているため、短期的な準備が求められます。この時期は、安全性の高い定期預金や国の教育ローン、奨学金などを活用することが適しています。短期的に資金を調達し、あとで返済や利息の負担をすることになります。
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簡単に言えば、教育資金を先に準備するか、あとで払うかの違いです。

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準備を早めに開始する場合は、どうやってリスクを抑えつつ資金を確保したり、増やしたりするかが課題となります。

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あとで支払う場合は、利息を負担することになりますが、どれだけ負担を軽くできるかがカギとなります。

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あとで支払う場合は、利息を負担することになりますが、どれだけ負担を軽くできるかがカギとなります。

リスク許容度

リスク許容度とは、資産運用において許容できる損失の度合いを指します。教育資金の準備においては、リスク許容度を正しく理解し、家計の状況に合わせて適切な準備方法を選択することが重要です。

教育資金を目的とした資産運用の場合、損失が発生すると子供の教育機会に直接影響を与える可能性があるため、一般的な投資よりもリスク許容度は低くなる傾向にあります。

リスク許容度の概要は以下の通りです。

  1. 低リスク許容度
    • 安全性を最優先し、元本割れのリスクを極力避けたい方
    • 定期預金や国の教育ローンなど、元本が保証された準備方法が適している
    • リターンは低いが、安定性が高い
  2. 中リスク許容度
    • ある程度のリスクを許容し、リターンを求める方
    • 学資保険やつみたてNISAなど、比較的安定しつつも一定のリターンが期待できる準備方法が適している
    • 長期的な資産形成を目指す
  3. 高リスク許容度
    • 高いリターンを求め、相応のリスクを許容できる方
    • 投資信託や株式投資など、値動きが大きい準備方法が適している
    • 短期的な損失にも耐えられる財務状況であることが前提

教育資金準備においては、リスク許容度が低い方が多いと考えられます。しかし、準備期間が長い場合は、中~高リスク許容度の準備方法を組み合わせることで、より効果的な資産形成が可能になります。

重要なのは、自分の家計の状況を正確に把握し、無理のない範囲でリスクを取ることです。子供の教育機会を損なわないよう、慎重に準備方法を選択する必要があります。また、定期的に準備状況を見直し、必要に応じて柔軟に対応することも大切です。

リスクとリターンの関係については、この記事を参考にしてください。

家庭の状況に合わせた準備方法の選び方

家庭の状況に合わせた準備方法の選び方は、目標額、準備期間、リスク許容度の3つの基準を踏まえて行います。ここでは、具体的な家庭の状況を想定し、それぞれに適した準備方法を提案します。まずは、300万円を目標に長期(15年)で準備する運用経験豊富な家庭の例から見ていきましょう。

【具体例①】300万円を目標に長期(15年)で準備する:運用経験豊富

大学資金に児童手当の全額(約198万円)を充てるために貯蓄しておくことを前提とし、私立理科系大学(約482万円)を目標にします。私立理科系大学を目標にしておけば、国立大学や私立文科系に進路変更したとしても柔軟に対応できます。

また運用経験が豊富な人であれば、NISAを活用した資金準備ができ、上手く利益を得られれば、インフレ対策になります。ここでの目標額は現在価値であり、物価上昇で学費が上がったとして、対応できます。

目標額を達成するための具体的な準備例

  1. NISA口座による運用:170万円
  2. 学資保険の活用:110万円(元金約104万円・10歳まで毎月の保険料8,690円)
    • ソニー生命「学資保険」で算出(調査:2024年5月24日)
  3. 普通預金の活用:20万円(換金性の確保、緊急用資金)

学資保険は、できるだけ返戻率の高い商品を選ぶとして、NISA口座による運用の指針を考える必要があります。毎月積み立てる運用を想定し、利回りごとの積立総額をシミュレーションします。

年間リターン:1%

毎月の積立額15年後の元本15年後の運用益15年後の積立総額
5,000円90万円約11万円約101万円
7,500円135万円約17万円約152万円
10,000円180万円約23万円約203万円
12,500円225万円約29万円約254万円
15,000円270万円約34万円約304万円

年間リターン:2%

毎月の積立額15年後の元本15年後の運用益15年後の積立総額
5,000円90万円約22万円約112万円
7,500円135万円約34万円約169万円
10,000円180万円約45万円約225万円
12,500円225万円約56万円約281万円
15,000円270万円約67万円約337万円

年間リターン:3%

毎月の積立額15年後の元本15年後の運用益15年後の積立総額
5,000円90万円約34万円約124万円
7,500円135万円約51万円約186万円
10,000円180万円約68万円約248万円
12,500円225万円約85万円約310万円
15,000円270万円約102万円約372万円

年間リターンを1%とすると、毎月1万円の投資で約203万円となり、目標額を達成できます。運用成果が順調で、2%や3%になれば、さらに余裕が生まれます。

これはあくまでもシミュレーションであり、上手くいくとは限りません。そのため、損失が出ることも考え、積立額を増やしておく方法もあります。

また学資保険は大学資金だけでなく、万一のときの備えになります。資産運用が上手くいかなかった場合のリスク抑制にもなるでしょう。

補足:同条件で10年で準備する場合

運用期間が10年しかない場合の資産運用シミュレーション結果を紹介しておきます。学資保険の返戻率は、期間が短くなることで、105%に満たない可能性があります。

毎月の積立額1%2%3%
10,000円約126万円約133万円約140万円
12,500円約158万円約166万円約175万円
15,000円約190万円約200万円約210万円
17,500円約222万円約233万円約245万円
20,000円約253万円約266万円約280万円

運用期間が短くなると、年間リターン1%では、毎月15,000円を積み立てなければ目標達成が厳しくなります。運用期間によって、毎月積み立てる金額が大きくなる点をおさえておきましょう。

【具体例⓶】374万円を目標に中期(10年)で準備する:運用未経験

大学資金に小学校入学時から貯蓄した児童手当の全額(約108万円)を充てることを前提とし、私立理科系大学(約482万円)を目標にします。私立理科系大学を目標にしておけば、国立大学や私立文科系に進路変更したとしても柔軟に対応できます。

また運用経験がないため、学資保険を中心に不足額を貯金します。ただし、学資保険には年齢上限がある点と加入期間が10年の場合、高くても返戻率105%程度しか見込めません。また、インフレ対策は手薄になっていますので、無理のない範囲で目標額をあげておく方法もあります。

目標額を達成するための具体的な準備例

  1. 学資保険の活用:200万円(15歳まで保険料17,344円・返戻率106.7%)
  2. 普通預金の活用:74万円
  3. 国の教育ローン:100万円(毎月返済額18,000円・利息と保証料の総額76,772円)

運用未経験者で、子どもの小学校入学時(6、7歳)から準備を始める場合の具体例です。学資保険の受取額を増やすことはできますが、毎月の保険料が4~5万円程度になることから、国の教育ローンとの併用としています。すべてローンで準備するよりも負担は軽く、保険料の支払期間とローンの返済期間は重複しないため、教育資金のための支出は毎月2万円弱となります。それでも目標額には到達しないため、残りは普通預金や定期預金でコツコツ貯めていきます。

※正確には、11年ほどの準備期間がありますので、もう少し余裕があります。
※学資保険の保険料払込期間は6歳から15歳までで、大学入学時から4回に分けて50万円ずつ受け取れる。
※国の教育ローンは、融資額から保証料が引かれます。そのため、ここでは保証料を別途支払うことを前提として計算しています。

補足:同条件で15年以上で準備する場合

運用未経験者で、準備期間が15年以上あれば、児童手当を最初から貯めておくことで、約198万円を活用できます。学資保険も、返戻率がより高い商品を選べるようになるとともに、毎月の保険料を下げることができます。貯金を併用すれば、教育ローンを使用せず、目標額に到達する可能性が高くなります。

ただし、物価上昇リスクをカバーしていないので、学費が上がった場合は、不足するかもしれません。

【具体例③】400万円を目標に短期(5年)で準備する:運用経験問わず

もともと大学進学の意思はなく、就職したり、実家の稼業を継いだりする予定で、急きょ、大学進学を希望する場合などで起こるケースです。大学資金の準備をしておらず、本来なら5年もありません。資産運用できるほど期間はないため、運用経験の有無は問いません。

資金がまったくない場合、国の教育ローンと奨学金を組み合わせる方法があります。奨学金の基準を満たさなければ、国の教育ローンや民間の教育ローン、企業や団体の奨学金などの方法もあります。

ここでも、私立理科系学部への進学を想定します。このころなら、希望する進学先は明確なので、目標額も設定しやすい特徴があります。

目標額を達成するための具体的な準備例

  1. 国の教育ローンの活用:200万円(毎月返済額19,000円・返済期間10年・利息と保証料の総額310,990円)
  2. 奨学金の活用:200万円
  3. 毎月の給与からの補填(または貯蓄を切り崩す):82万円

● 国の教育ローン 具体例(シミュレーション)

項目内容
借入金額200万円
金利(固定金利)年2.40%
毎月の返済額19,000円
返済期間10年
利息額総額249,400円
保証料総額61,590円
利息と保証料の総額310,990円
※日本政策金融公庫「国の教育ローン 返済シミュレーション」(調査:2024年5月24日)
※国の教育ローンは、融資額から保証料が引かれます。そのため、ここでは保証料を別途支払うことを前提として計算しています。

● 貸与型奨学金 具体例(シミュレーション)

項目内容
貸与総額200万円
貸与利率0.940%
月賦返還額12,763円/月(最終回は12,991円/月)
返還期間14年(2028年4月~2042年3月)
利息総額144,412円
返還総額2,144,412円
※日本学生支援機構「奨学金貸与 返還シミュレーション」(調査:2024年5月24日)

そのほかのケース

前述の具体例以外にも、家庭の状況に応じて様々なケースが考えられます。ここでは、親族からの支援や教育資金一括贈与の活用、二人目以降の子どもへの対応、その他の注意点について説明します。まずは、親族からの支援や教育資金一括贈与の活用について見ていきましょう。

親族からの支援や教育資金一括贈与の活用

親族からの支援(都度贈与)や教育資金一括贈与は、前述のどのパターンでも教育資金の負担を軽減できる有効な方法です。特に、祖父母などから援助を受けられる場合は、教育資金準備の選択肢が広がります。

教育資金一括贈与は、一定の要件を満たせば贈与税が非課税となるため、大きな金額を一括で受け取ることができます。ただし、贈与者の年齢や資産状況、贈与額の上限などに注意が必要です。

親族からの支援や教育資金一括贈与を活用する場合は、早めに家族で話し合い、計画的に進めることが大切です。

教育資金一括贈与など、ライフプランにおける教育資金についてはこちらの記事を参考にしてください。

二人目以降の子どもへの対応

二人目以降の子どもを予定している場合は、一人目に偏らないよう注意する必要があります。具体的には、二人目以降の教育資金も見据えた目標額の設定、上の子の教育費の残金を下の子に回す方法の検討、各子どもの教育方針や進路に応じた資金配分の調整が重要です。

特に、上の子の教育費の残金を下の子に回す場合は、タイミングや金額の調整が重要です。また、各子どもの個性や希望を尊重しながら、公平性にも配慮することが求められます。

子どもの人数が増えると、教育資金の準備はより複雑になります。しかし、計画的に取り組むことで、各子どもの教育方針に合わせた資金準備が可能です。

その他の注意点

教育資金準備は長期的な取り組みになるため、家計の状況に応じて柔軟に計画を見直すことが大切です。子どもの成長に伴い、教育方針や進路が変化する可能性もあるので、定期的に見直しを行い、必要に応じて準備方法を調整しましょう。

また、奨学金や教育ローンを利用する場合は、返済計画をしっかりと立て、無理のない範囲で活用することが重要です。返済は卒業後の家計にも影響を及ぼすため、長期的な視点で検討する必要があります。

  • 家計の状況に応じた柔軟な計画の見直し
  • 子どもの教育方針や進路に合わせた準備方法の調整
  • 奨学金や教育ローンの返済計画の重要性

教育資金の準備は、各家庭の状況に合わせて、長期的かつ柔軟に取り組むことが求められます。本記事で紹介した具体例を参考に、自分の家庭に最適な方法を見つけていきましょう。

教育資金準備における長期的な視点の重要性

教育資金の準備は、子どもの将来に大きく影響する重要な課題です。長期的な視点を持つことで、より効果的な準備が可能になります。ここでは、教育資金準備における長期的な視点の重要性について説明し、早めの準備開始がもたらすメリットについて詳しく見ていきます。

早めの準備開始がもたらすメリット

教育資金の準備において、長期的な視点を持つことが非常に重要です。早めに準備を開始することで、さまざまなメリットを享受することができます。

まず、早めに準備を始めることで、長期運用が可能な選択肢が広がります。中・長期の準備方法には、学資保険や普通預金・定期預金、資産運用などがあります。これらの方法は、時間をかけてコツコツと資金を積み立てていくことで、複利効果を最大限に活用することができます。また、長期的な運用期間を確保することで、市場の短期的な変動に左右されにくくなり、安定的なリターンを得ることができます。

さらに、早期の準備は教育ローンの返済負担を小さくすることにもつながります。教育費用は高額なため、家庭によっては教育ローンを利用することになります。しかし、借入額が大きいほど、返済期間が長期化し、利息の支払いも増加します。早めに準備を始めることで、教育ローンへの依存度を下げ、借入額を抑えることができます。その結果、返済負担が小さくなり、家計への影響を最小限に抑えられます。

教育資金の準備は、長期的な資金計画を立てることが重要です。目標額を定期的に見直し、長期と短期の準備方法を組み合わせることで、効果的な資金準備が可能です。また、ライフプランに応じて柔軟に計画を変更していくことも必要です。子供の進路や家庭の状況は時間とともに変化するため、定期的に計画を見直し、必要に応じて調整を行いましょう。

短期

準備方法特徴具体例
国の教育ローン低金利だが、借入額に制限がある
利息の負担がある
日本政策金融公庫の教育ローン(教育一般貸付)
民間の教育ローン幅広い選択肢がある
利息の負担がある
各銀行の教育ローン
各信用金庫の教育ローン
家族・親族からの援助その都度、支援を受けられる
子育て世帯の金銭的負担はない
祖父母などからの資金援助
親族間の貸借
教育資金の一括贈与非課税枠があり、税制面でのメリットがある
子育て世帯の金銭的負担はない
祖父母などからの1,500万円までの教育資金一括贈与

中・長期

準備方法特徴具体例
学資保険長期で安全に資産形成ができる
6歳ぐらいまでに加入する必要がある
※保険会社によって年齢上限が異なります。
各生命保険会社の学資保険
普通預金・定期預金リスクは低いが、金利も低い銀行の普通預金・定期預金
ゆうちょ銀行の普通預金・定期預金
児童手当一定の年齢までの子供のいる家庭に支給される0~15歳の子供に支給される児童手当
資産運用リスクはあるが、長期的に高いリターンが期待できる
投資未経験者にはリスクが高い
投資信託や株式による資産運用
特定口座やNISAを利用した運用
奨学金返済義務の有無や支給額が異なる給付型奨学金
貸与型奨学金
企業や団体の奨学金

長期的な資金計画の立て方

教育資金の準備では、長期的な資金計画を立てることが非常に重要です。以下では、長期的な資金計画の立て方について詳しく説明します。

目標額の定期的な見直し

教育資金の目標額は、子供の成長に合わせて定期的に見直す必要があります。当初設定した目標額が、実際の教育費用と乖離している可能性があるためです。教育費用は年々上昇傾向にあり、また、子供の進路や希望する学校によっても大きく異なります。定期的に目標額を見直すことで、適切な資金準備が可能になります。

長期と短期の準備方法の組み合わせ

教育資金の準備には、長期と短期の準備方法を組み合わせることが効果的です。長期的な準備方法である学資保険や資産運用によって、計画的に資金を積み立てることができます。一方、短期的な準備方法である教育ローンや一括贈与は、不足分を補うために活用することができます。長期と短期の準備方法をバランスよく組み合わせることで、リスクを分散し、安定的な資金準備が可能になります。

ライフプランに応じた柔軟な計画変更

教育資金の計画は、家庭のライフプランに応じて柔軟に変更していく必要があります。子供の進路や家庭の状況は時間とともに変化するため、当初立てた計画通りに進まない可能性があります。定期的に計画を見直し、必要に応じて準備方法や目標額を調整することが重要です。また、予期せぬ出来事に備えて、緊急時の資金調達方法についても検討しておく必要があります。

長期的な資金計画を立てることで、教育資金の準備における不安を減らし、子供の将来に向けて安心して投資することができます。定期的な見直しと柔軟な対応を心がけ、家庭に合った最適な準備方法を選択していくことが重要です。

まとめ

教育資金の準備は、子どもの将来を左右する重要な課題です。本記事では、教育資金の準備方法として、借りる、公的支援を受ける、ためる、家族・親族からもらう、保険を活用する、運用するの6つに分類し、それぞれの具体的な方法を解説しました。また、家庭の状況に合わせた準備方法の選び方として、目標額、準備期間、リスク許容度の3つの基準を提示し、具体例を交えて説明しました。

教育資金準備における長期的な視点の重要性も忘れてはいけません。早めに準備を開始することで、長期運用のメリットを活かし、教育ローンの返済負担を軽減することができます。各家庭の状況に合わせて、長期と短期の準備方法を組み合わせ、柔軟に計画を立てることが肝要です。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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