【暮らしと金利(応用)】家計の資産運用と債券:利回り・デュレーション・コンベクシティを解説

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債券投資において、金利は重要な役割を果たす。本記事では、債券投資と金利の関係を、利回り、デュレーション、コンベクシティの観点から解説する。これらの概念を理解することは、効果的な債券投資戦略の構築に不可欠である。

利回りと債券価格

債券の利回りは、以下の要素によって決定される。

  1. クーポンレート:債券の表面利率であり、債券発行時に定められる。
  2. 債券価格:市場で取引される債券の価格であり、需給関係によって変動する。

一般的に、債券価格と利回りは逆の関係にある。

  • 債券価格が上昇すると、利回りは低下する。
  • 債券価格が下落すると、利回りは上昇する。

この関係は、金利変動が債券投資に与える影響を理解する上で重要である。

CFP
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専門家のワンポイントアドバイス
債券価格と利回りの逆の関係は、債券の「価格変動リスク」を表しています。金利上昇局面では、債券価格が下落し、評価損が発生する可能性があります。一方、金利低下局面では、債券価格が上昇し、評価益が期待できます。債券投資では、この価格変動リスクを適切にコントロールすることが重要です。

デュレーション

デュレーションは、金利変動に対する債券価格の感応度を表す指標である。具体的には、金利が1%変動した場合の債券価格の変動率を表す。

デュレーションの特徴は以下の通り。

  1. 残存期間が長いほど、デュレーションは大きくなる。
  2. クーポンレートが高いほど、デュレーションは小さくなる。
  3. 金利が低いほど、デュレーションは大きくなる。

デュレーションを理解することは、金利変動リスクを管理する上で重要である。

コンベクシティ

コンベクシティは、金利変動に対する債券価格の感応度の変化率を表す指標である。具体的には、金利変動に対するデュレーションの変化率を表す。

コンベクシティの特徴は以下の通りである。

  1. コンベクシティが大きいほど、金利変動に対する債券価格の感応度の変化率が大きくなる。
  2. コンベクシティは、債券のキャッシュフロー(利払いと元本償還)の分散度合いによって決まる。
  3. 一般的に、コンベクシティは残存期間が長く、クーポンレートが低い債券ほど大きくなる。

コンベクシティを理解することは、金利変動リスクをより詳細に分析する上で重要である。

<表> 金利変動が債券価格に与える影響

金利変動債券価格利回り
金利上昇下落上昇
金利低下上昇低下

この表は、金利変動が債券価格と利回りに与える影響を簡潔にまとめたものである。

債券投資戦略への応用

利回り、デュレーション、コンベクシティの概念は、以下のような債券投資戦略に活用される。

  1. ラダー戦略:満期の異なる債券に分散投資することで、金利変動リスクを分散する。
  2. バーベル戦略:短期債と長期債に投資し、中期債を避けることで、金利変動リスクを調整する。
  3. イミュニゼーション戦略:債券ポートフォリオのデュレーションを目標年数に合わせることで、金利変動の影響を中立化する。

これらの戦略は、投資家の目的やリスク許容度に応じて選択される。

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専門家のワンポイントアドバイス
債券投資戦略の選択には、投資家自身のニーズや市場環境の分析が欠かせません。例えば、金利上昇が予想される局面では、デュレーションの短い債券や変動金利債への投資が有効な場合があります。一方、金利低下局面では、長期債や固定金利債にシフトすることで、キャピタルゲインを狙うことができます。投資戦略の決定には、綿密なリサーチと柔軟な発想が求められます。

まとめ

債券投資において、利回り、デュレーション、コンベクシティは重要な概念である。利回りと債券価格は逆の関係にあり、金利変動が債券投資に大きな影響を与える。デュレーションは金利変動に対する債券価格の感応度を、コンベクシティはその変化率を表す。これらの概念を理解することは、効果的な債券投資戦略の構築に不可欠である。投資家は、自身の投資目的やリスク許容度を考慮し、適切な債券投資戦略を選択することが重要である。

Q
デュレーションが長い債券と短い債券では、どちらが金利変動リスクが高いのでしょうか?
A

デュレーションが長い債券の方が、金利変動リスクが高くなります。デュレーションは金利変動に対する債券価格の感応度を表すため、デュレーションが長いほど金利変動の影響を大きく受けます。例えば、金利上昇局面では、デュレーションの長い債券の方が価格下落幅が大きくなる傾向があります。

Q
債券投資戦略の選択において、最も重要な考慮事項は何でしょうか?
A

債券投資戦略の選択において、最も重要なのは投資家自身のニーズや投資目的を明確にすることです。例えば、安定的なインカムゲインを重視するのか、キャピタルゲインを狙うのかによって、適切な戦略は異なります。また、投資家のリスク許容度や投資期間も、戦略選択の重要な要素です。自身のニーズを踏まえた上で、市場環境の分析を行い、最適な戦略を構築することが求められます。

Q
金利変動リスクを軽減するための債券投資戦略には、どのようなものがありますか?
A

金利変動リスクを軽減するための代表的な債券投資戦略には、以下のようなものがあります。

  • ラダー戦略:満期の異なる債券に分散投資することで、金利変動リスクを平準化します。
  • バーベル戦略:短期債と長期債に投資し、金利変動リスクを相殺します。
  • イミュニゼーション戦略:債券ポートフォリオのデュレーションを目標年数に合わせることで、金利変動の影響を中立化します。

これらの戦略を適切に組み合わせることで、金利変動リスクをコントロールしつつ、安定的なリターンを目指すことが可能となります。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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