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毎年の冬の暖房費に頭を悩ませている北海道の家庭は少なくない。今年は気象現象の影響でさらなる寒さが予想されており、暖房費の上昇が懸念される。しかし、適切な対策と知識があれば、快適さを保ちながら暖房費を抑えることは可能である。
この記事では、今冬の気象予測から具体的な節約方法まで、北海道で暮らす人々に役立つ情報を詳しく解説する。
今冬はさらなる寒さに備えが必要か
今冬は気象変動の影響により、暖房の使用頻度が高まる可能性が出てきている。北海道の各家庭における暖房費への影響が懸念されるため、早めの準備と対策が重要となってきている。
専門家のワンポイントアドバイス:
灯油の追加購入が必要になった場合、配達価格は店頭価格より高くなるため、余裕をもって購入計画を立てましょう。
ラニーニャ現象で予想される厳しい寒さ
ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の海水温が平年より低下する現象である。この現象が発生すると、日本の冬の気温に影響を与えることが知られている。
2023年の冬季の北海道では、旭川市で最低気温がマイナス8度前後、石狗市ではマイナス4度前後を記録した。気象予報によると、2024年から2025年にかけての冬は、このラニーニャ現象の影響により、グラフで示された気温をさらに下回る可能性があるとされている。
冬の寒さが一段と厳しくなる一方で、特徴的なのは冬の終わりから春先にかけて急激な気温上昇が見込まれることである。このような大きな気温変動は、暖房の使用方法にも影響を与えることが予想される。
※参考:日本気象協会「お知らせ」
冬の家計を左右する暖房費
北海道の各家庭では、灯油による暖房を基本としながら、エアコンなど電気による暖房も併用している。暖房費は灯油代と電気代の両面から家計に影響を与えている。
北海道の灯油使用量と価格の現状
北海道の一般家庭における灯油の年間使用量は、戸建住宅で約1,540リットル、集合住宅で約582リットルとなっている。現在の灯油価格は18リットルあたり2,139円(店頭価格)であり、戸建住宅の場合、年間で約18万円の灯油代がかかる計算となる。
灯油価格 | 全国平均 | 北海道 |
---|---|---|
店頭価格 | 2,110円 | 2,139円 |
配達価格 | 2,282円 | 2,192円 |
使用量は住宅の延床面積が増えるほど増加する傾向にあり、特に12月から3月の冬季に集中している。また、配達価格では18リットルあたり2,192円とさらに高額となるため、計画的な購入が重要となっている。
エアコン使用による電気代の影響
北海道の家庭の約41パーセントが暖房用に電気を使用している。地域別のエアコン使用状況をみると、札幌市では38パーセントが冷房のみに使用しているのに対し、53パーセントが冷暖房両方に使用している。一般家庭の年間電気使用量は、戸建住宅で3,392kWh、集合住宅で2,518kWhとなっており、暖房使用時期には特に電気代の上昇が見られる。
地域によってエアコンの使用傾向に違いがあり、オホーツク地域では51パーセントが冷房専用として使用している一方、道南では68パーセントが冷暖房両方に使用しているなど、地域特性が表れている。
近年の電気消費量は2015年以降横ばいで推移しているものの、灯油と電気を併用する家庭では、両方の費用を考慮した暖房計画が必要となっている。
※出典:北海道消費者協会「令和3年度 北海道家庭用エネルギー消費実態調査」
暖房の使用時間と地域差
海道の家庭における暖房の使用時間を見ると、最も寒い時期で、1日8時間未満の使用が全体の27%となっている。また、使用時間が1日12時間未満の家庭が47%、12時間以上使用する家庭が35%となっている。これらの使用時間の違いは、各家庭の暖房費用に大きく影響している。
※出典:北海道「令和3年度 Webアンケート調査」
実践できる冬の暖房費節約術
北海道の家庭での暖房費節約は、日々の小さな工夫の積み重ねで大きな効果を生む。暮らし方を少し変えるだけで、家計の負担を軽減できる。
専門家のワンポイントアドバイス:
暖房器具の掃除や点検は、11月までに済ませておくのがおすすめです。
暮らし方を見直して実現する節約
人のいない部屋の暖房を控えめにすることや、外出前・就寝前の暖房管理が効果的な節約につながる。FF式石油ストーブの使用時間を1日1時間短縮するだけで、年間9.8リットル、約990円の節約となる。
また、室温設定を2℃下げて20℃にすると、FF式石油ストーブで年間35.8リットル(約3,610円)、セントラルヒーティングでは年間210.4リットル(約21,230円)もの節約効果が期待できる。
住まいの工夫で防ぐ熱の損失
窓からの冷気を防ぐことは大きな節約につながる。全ての窓に厚手のカーテンを取り付け、裾を床まで垂らすだけで、年間49リットル、約4,940円の節約効果がある。カーテンの上下に隙間を作らないことがポイントだ。
さらに、窓への断熱シートの活用や、すき間風を防ぐ工夫も効果的である。暖かい空気は部屋の上方に溜まりやすいため、扇風機などで空気を循環させることで、設定温度を低くしても暖かく感じられる。
着衣の工夫で高める体感温度
重ね着や足元の防寒など、着衣を工夫することで室温が低めでも快適に過ごせる。カーディガンの着用で2.2℃、靴下の着用で0.6℃、ひざかけの使用で2.5℃と、体感温度を上げることができる。
これらの工夫を組み合わせることで、暖房に頼り過ぎず、効率的に暖かく過ごすことが可能となる。
※参考:北海道「灯油等を節約する暮らしの工夫」
※出典:北海道「令和3年度 Webアンケート調査」
わが家でできる節約術チェックシート
専門家のワンポイントアドバイス:
チェックリストは季節の変わり目に確認し、必要な対策から順番に実施していきましょう。
まとめ:快適な暮らしと節約の両立に向けて
2024年から2025年の冬は、ラニーニャ現象の影響でより寒くなることが予想されている。北海道の家庭では、暖房費の上昇が懸念されるが、適切な対策を講じることで、快適さを保ちながら家計の負担を抑えることができる。
暖房費の節約は、使用時間の見直しや温度設定の調整など、日々の小さな心がけから始められる。窓周りの断熱対策や着衣の工夫を組み合わせることで、より大きな効果が期待できる。
重要なのは、我慢を強いるのではなく、家族の生活リズムに合わせて無理なく続けられる方法を選ぶことである。チェックシートを活用しながら、自分の家庭に合った節約術を見つけ、実践していくことが大切である。
- Qラニーニャ現象の影響はいつまで続くの?
- A
気象庁の予報では、冬の終わりから春先にかけて影響が弱まると予想されています。
- Q灯油の使用量は住宅の広さでどのくらい変わるの?
- A
北海道の調査では、延床面積が増えるにつれて使用量が増加する傾向にあります。
- Q暖房の使用時間を短縮するとどのくらい節約できるの?
- A
FF式ストーブの場合、1日1時間の短縮で年間約990円の節約効果があります。
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