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毎月の電気料金の支払い、思っていたより高くなっていないだろうか?新電力会社の参入で選択肢は増えましたが、基本料金、従量料金、燃料費調整額など、複雑な仕組みに頭を悩ませている人も多いはず。実は表面的な料金の安さだけでは損をする可能性があり、知っておくべき重要なポイントがある。
この記事では、新電力と大手の料金体系を具体的な数字で比較し、あなたに最適な電力会社の選び方をシミュレーションを交えて解説する。
電気料金の基本構造
電気料金は見かけの料金と実際の請求額が大きく異なることがある。これは電気料金が複数の要素で構成されているためだ。基本的な仕組みを理解することで、プラン選択時の判断材料となる。
専門家のワンポイントアドバイス:
燃料費調整額は過去の燃料価格を基準に算出されます。その月の請求書に反映される燃料費調整額は、実は3~5ヶ月前の燃料価格がベースになっていることを覚えておきましょう。
電気料金の3つの構成要素
電気料金は「基本料金」「従量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つの要素で構成されている。基本料金は契約アンペア数に応じた固定費用であり、使用量に関係なく毎月発生する。
従量料金は使用量に応じて計算され、「電力量料金単価」と「燃料費調整単価」を合計した金額に使用量を掛けて算出される。電力量料金単価は会社やプランによって設定された基本的な単価だ。一方、燃料費調整単価は原油・LNG・石炭の価格変動を反映して毎月変動する。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの普及を促進するための費用として、全国一律の単価で使用量に応じて加算される。
燃料費調整額と再エネ賦課金の仕組み
燃料費調整額は電力会社が発電のために使用する燃料の価格変動を電気料金に反映させる制度である。従来の電力会社は一定の上限を設けているが、新電力会社の多くは上限を設定していない。そのため、燃料価格が高騰した際に請求額が大きく上昇するリスクがある。
再エネ賦課金は全ての電力会社で同一の単価が適用される。この費用は電力会社の選択による違いは生じないため、プラン比較時の判断材料とはならない。
主要電力会社の料金プラン比較
東京電力エリアを例に、新電力各社の料金プランを比較する。基本料金と従量料金の構造が会社によって大きく異なるため、使用量に応じて最適なプランが変わってくる。
専門家のワンポイントアドバイス:
電力会社を切り替える際は、現在の契約アンペアが適切かどうかも一緒に見直すことをお勧めします。使用する電化製品が少ない場合、アンペアを下げることで基本料金を抑えられる可能性があります。
基本料金と従量料金の違い
新電力各社の料金体系は、基本料金の有無と従量料金の段階制に大きな特徴がある。以下に40A契約の場合の料金体系を示す。
プラン名 | 基本料金(税込) | ~120kWh | 120~300kWh | 300kWh~ |
---|---|---|---|---|
楽天でんき | 0円 | 36.85円 | 36.85円 | 36.85円 |
auでんき/Pontaでんき | 1,246.99円 | 29.79円 | 36.39円 | 40.48円 |
ドコモでんき Basic | 1,247.00円 | 29.80円 | 36.40円 | 40.49円 |
おうちでんき | 1,247.00円 | 29.80円 | 36.40円 | 40.49円 |
使用量別シミュレーション
実際の使用量に基づくシミュレーションでは、使用量によって最適なプランが変わってくることが分かる。
プラン名 | 200kWh使用時 | 300kWh使用時 | 400kWh使用時 |
---|---|---|---|
楽天でんき | 7,370円 | 11,055円 | 14,740円 |
auでんき/Pontaでんき | 7,732.99円 | 11,311.99円 | 15,359.99円 |
ドコモでんき Basic | 7,735円 | 11,315円 | 15,364円 |
おうちでんき | 7,735円 | 11,315円 | 15,364円 |
ポイント還元制度の比較
各社はポイント還元制度を設けており、実質的な負担額に影響を与える。楽天でんきは電気料金の0.5%(ガスとセット契約で1.0%)のポイント還元に加え、楽天経済圏でのポイント上乗せがある。auでんきは使用金額に応じて0.5~1.0%の還元、Pontaでんきは毎月150ポイント固定の還元がある。おうちでんきはPayPayカードゴールド利用で最大3.0%の還元が受けられる。
プラン名 | 基本還元率 | 条件付き還元率 | 追加特典 |
---|---|---|---|
楽天でんき | 電気料金0.5% | ガスとセット:1.0% カード払い:1.0% | ・楽天市場で0.5倍上乗せ ・新規申込特典:3000pt |
auでんき | 8,000円未満:0.5% 8,000円以上:1.0% | au PAYカード支払い:2.0% | なし |
Pontaでんき | 毎月150ポイント固定 | なし | なし |
おうちでんき | PayPayカード:1.0% | PayPayカードゴールド:最大3.0% | ・初月全額無料 ・おうち割:スマホ・ネット1回線で月110円引き |
ドコモでんき | 支払方法による | dカードの種類による | ・東北・東京エリアは新規申込停止中 |
大手の新電力会社以外にも、魅力的なポイント還元制度を持つ電力会社がある。CDエナジーでは使用量に応じて1.0%から6.0%のポイント還元を実施しており、楽天ポイントやdポイントから選択できる。東邦ガスのポイントでんきプランではdポイントで2.0%から8.0%の還元率を提供している。また、大阪ガスのスタイルプランdではdポイントで1.0%から6.0%の還元が受けられる。TERASELでんきでは楽天ポイントで0.5%の還元を行っている。
これらのプランは高い還元率が特徴だが、サービス提供地域が限定される場合や、契約条件に制限がある場合もあるため、詳細は各社の公式サイトで確認する必要がある。
新電力会社選択時の注意点
電気料金の比較では基本料金や使用量に応じた従量料金だけでなく、長期的な視点での検討が必要である。特に新電力会社特有のリスクについて理解しておく必要がある。
専門家のワンポイントアドバイス:
新電力会社を選ぶ際は、その会社の電力調達方法を確認することをお勧めします。自社発電設備を持っている会社は、市場価格の変動の影響を受けにくく、料金の安定性が期待できます。
燃料費調整額の変動リスク
新電力会社の多くは燃料費調整額に上限を設定していないため、燃料価格高騰時に請求額が大きく上昇する可能性がある。2022年には世界的な燃料価格の高騰により、燃料費調整単価が9.72円/kWhまで上昇した事例がある。この時、多くの新電力会社で経営が圧迫され、一部の会社では契約解除や大幅な料金値上げを実施することとなった。
従来の電力会社では燃料費調整額に一定の上限が設けられているため、燃料価格の変動による影響を抑制できる仕組みとなっている。一方、新電力会社では市場価格の変動をそのまま料金に反映させるケースが多く、カタログ価格で見た場合の料金の安さが、必ずしも実際の請求額の安さを保証するものではない。
安定供給と会社の信頼性
新電力会社の多くは自社の発電設備を持たず、市場からの電力調達に依存している。そのため、電力需給が逼迫する時期や燃料価格が高騰する局面では、安定的な電力供給が困難になるリスクがある。
過去には経営が行き詰まり、サービスから撤退する新電力会社も発生している。その場合、契約者は急遽別の電力会社に切り替える必要が生じ、一時的に割高な料金プランでの契約を余儀なくされるケースもある。
このように、新電力会社の選択には料金面での比較だけでなく、会社の経営基盤や電力供給の安定性についても考慮する必要がある。特に、電力の安定供給が重要な事業者や、急な料金変動に対応が困難な家庭では、これらのリスクを十分に検討した上で契約を決定することが望ましい。
まとめ:電気料金プラン選びのポイント
電気料金の選択では、表面的な料金比較だけでなく、総合的な判断が重要である。基本料金と従量料金の構造は各社で大きく異なり、特に楽天でんきは基本料金0円・一律従量料金という特徴的な料金体系を採用している。一方で、auでんき、ドコモでんき、おうちでんきは従来の電力会社に近い段階的な料金体系となっている。
使用量によって最適なプランは変化する。200kWh程度の使用量では楽天でんきが最も安価だが、それぞれのプランには独自のポイント還元制度があり、実質負担額は契約者の利用状況によって変わってくる。特にCDエナジーや東邦ガスなど、高率のポイント還元を実施している会社もあり、選択肢は広がっている。
一方で、新電力会社特有のリスクにも注意が必要である。燃料費調整額に上限がないケースが多く、燃料価格高騰時には想定以上の請求額となる可能性がある。また、電力の安定供給や会社の経営基盤についても考慮が必要だ。過去には経営破綻により契約解除となったケースもある。
電気料金プランの選択では、単純な料金比較だけでなく、自身の使用状況、支払方法、リスク許容度などを総合的に判断することが重要である。特に、長期的な視点での安定性を重視するか、短期的なコスト削減を優先するかは、契約者の状況に応じて判断する必要がある。
- Q新電力会社に切り替えると、停電のリスクは高くなりますか?
- A
送電線は従来の電力会社のものを使用するため、停電のリスクは変わりません。ただし、新電力会社の経営状況により契約解除となった場合は、新たな電力会社を探す必要があります。
- Q燃料費調整額に上限がないと、具体的にどのくらい料金が上がる可能性がありますか?
- A
2022年の燃料価格高騰時には、一般家庭で数千円、大口利用者では数万円の上昇が見られました。新電力会社選択時は、この変動リスクを考慮する必要があります。
- Qポイント還元率の高い会社を選べば、必ず得なのでしょうか?
- A
必ずしもそうではありません。基本料金や従量料金の水準、燃料費調整額の仕組み、さらに会社の安定性なども含めて総合的に判断する必要があります。
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