東京23区の消費者物価指数を分析すると、2020年1月から2025年2月までの約5年間で、多くの商品・サービスの価格が大幅に上昇していることが明らかになった。総合指数は9.5%上昇し、特に食料品の上昇が顕著である。
この記事では、東京23区の消費者物価指数を詳細に分析し、各分野の価格動向を明らかにする。
物価上昇が著しいランキング:トップ10
2020年から2022年(ウクライナ侵攻前)の最も低い数値と2025年2月の最新データを比較し、物価上昇が特に著しい品目をランキング形式で紹介する。
順位 | 品目 | 2020-2022年最低値 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | うるち米B | 90.3 | 185.3 | 105.2 |
2 | 米類 | 91.5 | 181.6 | 98.5 |
3 | うるち米A | 93.6 | 175.2 | 87.2 |
4 | 生鮮果物 | 92.8 | 153.4 | 65.3 |
5 | ぶり | 92.8 | 144.7 | 55.9 |
6 | 生鮮野菜 | 93.2 | 137.8 | 47.9 |
7 | さけ | 95.5 | 139.8 | 46.4 |
8 | 塩さけ | 96.5 | 138.3 | 43.3 |
9 | 灯油 | 96.6 | 138.1 | 43.0 |
10 | ティシュペーパー | 95.4 | 130.2 | 36.5 |
物価上昇ランキングの上位はほぼ食料品が占めている。特に米類の上昇が顕著で、「うるち米B」(コシヒカリ以外の品種)は105.2%と2倍以上の上昇率を示している。「うるち米A」(コシヒカリ)も87.2%の上昇となっており、米価全体が大幅に高騰している。
食料品以外では「灯油」が43.0%の上昇率でランクインしており、エネルギー価格の高騰が見られる。また「ティシュペーパー」も36.5%上昇しており、日用品の価格上昇も著しい。
特徴的なのは上位10品目のうち7品目が食料品であり、しかも生鮮食品が多いことである。米・魚・野菜・果物といった基礎的な食材の価格が大幅に上昇しており、日々の食費負担が増加している。これらの上昇は気候変動による生産量の減少や、円安による輸入コストの上昇、資材・肥料・飼料価格の高騰など複合的な要因が背景にある。
物価上昇率の上位品目を見ると、特に基礎的な生活必需品の価格上昇が著しいことがわかる。これらは消費支出に占める割合も大きく、家計への影響が大きいと考えられる。
食料
東京23区における食料関連の消費者物価指数を分析すると、多くの食品で大幅な価格上昇が見られる。
米類・パン・麺類
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
米類 | 101.2 | 98.0 | 91.5 | 96.6 | 101.8 | 181.6 | 79.4 |
うるち米A | 100.5 | 98.2 | 93.6 | 95.6 | 100.5 | 175.2 | 74.3 |
うるち米B | 101.7 | 98.0 | 90.3 | 97.2 | 102.5 | 185.3 | 82.2 |
パン | 100.9 | 99.3 | 101.1 | 115.7 | 125.4 | 127.8 | 26.7 |
麺類 | 100.0 | 99.9 | 100.0 | 110.1 | 122.7 | 121.6 | 21.6 |
米類の価格上昇が突出しており、特に「うるち米B」(コシヒカリ以外の品種)は2020年1月から2025年2月までの5年間で82.2%と大幅に上昇している。「うるち米A」(コシヒカリ)も74.3%上昇しており、米価全体の高騰が顕著である。
米価上昇は2024年から2025年にかけて急激に加速しており、気候変動による収量減少や生産コストの上昇が影響していると考えられる。パンも26.7%、麺類も21.6%上昇しており、主食全般で大幅な値上がりが進んでいる。
魚介類・肉類
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
魚介類 | 101.7 | 98.5 | 108.9 | 126.2 | 130.0 | 132.3 | 30.1 |
生鮮魚介 | 102.8 | 97.8 | 114.0 | 131.7 | 130.9 | 132.8 | 29.2 |
塩干魚介 | 100.0 | 100.8 | 104.6 | 117.9 | 124.8 | 127.5 | 27.5 |
肉類 | 100.4 | 100.4 | 102.1 | 108.5 | 111.7 | 118.6 | 18.1 |
生鮮肉 | 100.3 | 100.7 | 103.0 | 109.3 | 113.0 | 119.6 | 19.2 |
加工肉 | 100.8 | 99.0 | 98.1 | 104.9 | 106.2 | 114.1 | 13.2 |
魚介類の価格上昇も著しく、「魚介類」全体で30.1%の上昇となっている。特に「生鮮魚介」は29.2%上昇しており、2022年から2023年にかけての上昇が急激である。これは漁獲量の減少や燃料費の高騰が影響していると考えられる。
肉類も全体で18.1%上昇しており、特に「生鮮肉」は19.2%上昇している。食肉の価格上昇は徐々に進行しており、飼料価格の上昇や流通コストの増加が要因と考えられる。
乳卵類・野菜・果物
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乳卵類 | 99.6 | 100.0 | 100.2 | 109.1 | 122.1 | 119.8 | 20.3 |
鶏卵 | 99.2 | 98.0 | 104.9 | 110.2 | 136.9 | 128.8 | 29.8 |
生鮮野菜 | 98.4 | 101.9 | 105.1 | 108.3 | 113.1 | 137.8 | 40.0 |
乾物・加工品類 | 99.2 | 99.6 | 99.0 | 102.1 | 110.1 | 117.5 | 18.4 |
生鮮果物 | 103.2 | 96.0 | 110.1 | 115.8 | 125.0 | 153.4 | 48.6 |
生鮮食品の価格上昇が顕著であり、特に「生鮮果物」は48.6%と約半値上昇している。これに続いて「生鮮野菜」も40.0%の大幅上昇となっており、天候不順による収穫量の減少や生産コストの上昇が影響していると考えられる。
「鶏卵」も29.8%上昇しており、特に2023年から2024年にかけての上昇が著しい。これは飼料価格の高騰や鳥インフルエンザなどの影響による供給減少が背景にあると推測される。
調理食品・飲料・外食
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
油脂・調味料 | 100.1 | 99.7 | 102.4 | 113.8 | 120.0 | 120.1 | 20.0 |
菓子類 | 99.7 | 100.4 | 101.1 | 107.3 | 119.4 | 127.1 | 27.5 |
調理食品 | 100.7 | 99.3 | 101.7 | 108.7 | 117.1 | 119.9 | 19.1 |
飲料 | 99.6 | 99.0 | 100.8 | 107.0 | 110.7 | 118.4 | 18.9 |
酒類 | 100.6 | 100.2 | 100.1 | 105.0 | 108.8 | 109.5 | 8.8 |
一般外食 | 100.0 | 100.0 | 100.2 | 107.6 | 111.8 | 117.2 | 17.2 |
加工食品や外食の価格も全般的に上昇しており、「菓子類」は27.5%の上昇率となっている。原材料や包装資材の値上がりが大きく影響していると考えられる。「調理食品」も19.1%上昇しており、惣菜やレトルト食品などの値上げが進んでいる。
「一般外食」も17.2%上昇しており、食材費の高騰や人件費の上昇を反映した外食価格の値上げが影響している。比較的上昇率が低いのは「酒類」で8.8%となっているが、それでも物価全体の上昇率を下回ることはなく、食料品全般で値上がり傾向が続いている。
住居
東京23区における住居関連の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの物価上昇の実態が見えてくる。
設備修繕費の高騰が住居費を押し上げている
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
住居 | 99.8 | 100.4 | 100.7 | 101.4 | 101.9 | 102.9 | 3.11 |
民営家賃 | 99.8 | 100.1 | 100.3 | 100.3 | 100.5 | 101.5 | 1.70 |
持家の帰属家賃 | 99.9 | 100.1 | 100.2 | 100.6 | 100.8 | 101.5 | 1.60 |
設備修繕・維持 | 99.2 | 102.3 | 104.6 | 108.4 | 111.5 | 114.3 | 15.22 |
住居費用の中で突出した上昇を示しているのは「設備修繕・維持」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で15.22%上昇している。これは住居関連の他の項目と比較して約9倍の上昇率であり、給湯器やシステムキッチンなどの設備費用、火災・地震保険料の値上げが大きく影響している。
特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著で、建設資材価格の高騰と人手不足による工事費の上昇が主な要因と考えられる。

専門家のワンポイントアドバイス:
住居費の中で設備修繕・維持が大きく上昇していることを考えると、住宅の定期的なメンテナンスが重要です。小さな修繕を先延ばしにすると、後で大きな出費になる可能性があります。修繕積立金の見直しや、年間のメンテナンス予算を家計に組み込むことをお勧めします。
水道光熱費
東京23区における水道光熱費の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの間に大きな変動があったことが分かる。
エネルギー価格の高騰が家計を直撃
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
光熱・水道 | 102.1 | 93.5 | 107.0 | 131.4 | 107.2 | 113.3 | 11.0 |
電気代 | 103.0 | 92.1 | 109.9 | 136.9 | 106.5 | 116.4 | 13.0 |
都市ガス代 | 102.3 | 89.6 | 108.2 | 151.1 | 113.7 | 119.1 | 16.4 |
プロパンガス | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 110.2 | 115.1 | 115.1 | 15.1 |
灯油 | 107.4 | 99.0 | 119.2 | 129.9 | 132.9 | 138.1 | 28.6 |
上下水道料 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 0.0 |
水道光熱費のなかでも特に「都市ガス代」が2020年1月から2025年2月までの5年間で16.4%の大幅な上昇を示している。特に2022年から2023年にかけて急上昇しており、ウクライナ危機などによる国際エネルギー価格の高騰が大きく影響している。
これに続いて「電気代」も13.0%上昇し、エネルギー全般の価格上昇が家計に大きな負担となっている。一方で「上下水道料」は変動がなく、公共料金の安定性が見られる。
家具・家事用品
東京23区における家具・家事用品の消費者物価指数を分析すると、品目によって上昇率に差が見られる。
紙製品の価格が大幅上昇、洗剤も値上がり
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
家具・家事用品 | 98.5 | 101.1 | 101.6 | 108.8 | 114.4 | 119.7 | 21.5 |
家庭用耐久財 | 97.0 | 100.7 | 99.7 | 110.3 | 111.3 | 120.0 | 23.7 |
家事雑貨 | 98.6 | 100.7 | 101.5 | 109.8 | 115.1 | 119.5 | 21.2 |
ティシュペーパー | 97.3 | 100.4 | 96.4 | 104.7 | 130.6 | 130.2 | 33.8 |
トイレットペーパー | 99.8 | 101.1 | 100.7 | 108.3 | 125.5 | 125.2 | 25.5 |
洗剤 | 100.2 | 102.1 | 102.5 | 104.7 | 114.7 | 123.2 | 23.0 |
家具・家事用品の中で最も上昇率が高いのは「ティシュペーパー」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で33.8%上昇している。また「トイレットペーパー」も25.5%の上昇となっており、紙製品全般の価格高騰が顕著である。
これは原材料費の上昇や物流コストの増加が主な要因と考えられる。「家庭用耐久財」も23.7%上昇しており、エアコンや冷蔵庫などの家電製品も大幅な値上がりとなっている。
被服・履物
東京23区における被服・履物の消費者物価指数を分析すると、衣料品と履物の価格が全体的に上昇している。
下着類が最も値上がり、衣料品全般で価格上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
被服及び履物 | 97.8 | 97.8 | 98.7 | 103.8 | 106.6 | 110.0 | 12.5 |
衣料 | 96.5 | 96.7 | 99.5 | 104.4 | 106.2 | 110.5 | 14.5 |
シャツ・セーター・下着類 | 98.5 | 98.9 | 98.1 | 103.0 | 108.5 | 109.6 | 11.3 |
下着類 | 99.7 | 100.4 | 99.7 | 106.6 | 114.8 | 118.4 | 18.8 |
履物類 | 100.3 | 97.5 | 95.9 | 102.0 | 102.6 | 107.8 | 7.5 |
被服関連サービス | 99.9 | 99.9 | 100.0 | 104.8 | 107.9 | 111.3 | 11.4 |
被服・履物の中で最も上昇率が高いのは「下着類」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で18.8%上昇している。次いで「衣料」全般が14.5%上昇しており、衣料品の価格上昇が顕著である。
特に2022年から2023年にかけて急激な上昇を示しており、原材料価格の高騰や円安による輸入コストの増加が影響していると考えられる。一方「履物類」は7.5%と比較的緩やかな上昇にとどまっている。
保健医療
東京23区における保健医療の消費者物価指数を分析すると、医薬品や診療費の動向が浮かび上がる。
風邪薬が大幅値上げ、診療費は減少傾向
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
保健医療 | 100.0 | 99.8 | 99.2 | 99.6 | 101.8 | 104.0 | 4.0 |
医薬品・健康保持用摂取品 | 99.7 | 99.8 | 99.6 | 101.4 | 105.5 | 108.8 | 9.1 |
総合かぜ薬 | 99.1 | 99.9 | 96.8 | 120.8 | 121.1 | 118.4 | 19.5 |
ドリンク剤 | 100.0 | 100.1 | 98.6 | 99.1 | 111.9 | 114.5 | 14.5 |
保健医療用品・器具 | 98.5 | 99.9 | 99.3 | 100.4 | 108.6 | 113.4 | 15.1 |
診療代 | 100.6 | 99.8 | 98.9 | 98.5 | 97.8 | 98.6 | -2.0 |
保健医療分野で最も上昇率が高いのは「総合かぜ薬」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で19.5%上昇している。特に2022年から2023年にかけて価格が急上昇しており、感染症対策の需要増加や原材料費の上昇が背景にあると考えられる。
「保健医療用品・器具」も15.1%上昇し、マスクや衛生用品などの価格が全体的に上昇している。一方「診療代」は2.0%の減少を示しており、医療費の抑制策や保険適用範囲の変更などが影響していると推測される。
交通・通信
東京23区における交通・通信の消費者物価指数を分析すると、通信料の大幅な低下と交通費の上昇という対照的な動きが見られる。
携帯電話料金の大幅下落とガソリン価格の高騰
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
交通・通信 | 100.7 | 100.1 | 89.6 | 91.9 | 94.5 | 96.2 | -4.5 |
交通 | 100.0 | 99.6 | 99.9 | 101.7 | 104.6 | 104.4 | 4.4 |
自動車等関係費 | 101.9 | 100.0 | 101.9 | 102.8 | 105.9 | 110.1 | 8.0 |
自動車 | 99.9 | 100.3 | 101.5 | 102.6 | 105.1 | 107.9 | 8.0 |
ガソリン | 111.2 | 100.3 | 122.3 | 123.0 | 128.0 | 135.7 | 22.0 |
駐車料金 | 100.0 | 100.0 | 103.0 | 106.0 | 106.0 | 106.0 | 6.0 |
自動車保険料(任意) | 100.0 | 99.0 | 96.2 | 95.5 | 99.6 | 103.6 | 3.6 |
通信 | 99.8 | 100.4 | 67.2 | 71.8 | 73.5 | 73.4 | -26.5 |
通信料(固定電話) | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 88.8 | 88.8 | -11.2 |
通信料(携帯電話) | 98.1 | 101.4 | 47.0 | 47.9 | 53.1 | 54.7 | -44.2 |
交通・通信分野で最も注目すべき動きは「通信料(携帯電話)」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で44.2%という大幅な下落を記録している。特に2021年から2022年にかけての下落が顕著で、政府による携帯電話料金引き下げ政策の影響が大きく現れている。
一方で「ガソリン」は22.0%の大幅上昇となっており、国際的な原油価格の高騰が家計の交通費負担を押し上げている。交通関連費は概ね上昇傾向にある一方、通信費の大幅下落により、交通・通信費全体では4.5%の減少となっている。

専門家のワンポイントアドバイス:
通信費の大幅な下落は家計にとって朗報です。特に携帯電話料金は44%も下がっていますので、まだ料金プランを見直していない方は、現在の契約を確認してみましょう。また、固定費の削減は効果が長期的に続くため、光熱費や保険料なども定期的に見直すことで、物価上昇の影響を緩和できます。
教育費
東京23区における教育関連の消費者物価指数を分析すると、授業料や補習教育費に変動が見られる。
授業料の大幅減少と補習教育費の上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教育 | 102.4 | 99.6 | 101.0 | 101.1 | 103.2 | 93.9 | -8.3 |
授業料等 | 104.0 | 98.4 | 99.9 | 99.9 | 100.6 | 85.2 | -18.1 |
補習教育 | 98.7 | 102.4 | 103.5 | 103.8 | 109.1 | 113.9 | 15.4 |
教育費関連で最も特徴的な動きを示しているのは「授業料等」で、2020年1月から2025年2月までの5年間で18.1%の大幅な下落を記録している。これは高等教育の無償化政策や教育費負担軽減策の影響と考えられる。
その一方で「補習教育」費は15.4%上昇しており、学習塾や習い事などの費用が増加傾向にある。授業料の減少と補習教育費の上昇という対照的な動きにより、教育費全体としては8.3%の減少となっている。

専門家のワンポイントアドバイス:
教育費が大幅に下落していますが、補習教育(塾や習い事)の費用は逆に上昇しています。お子さんがいるご家庭では、公的支援制度を最大限活用しながら、子どもの教育に必要な費用を長期的に計画することが重要です。教育費は一時的に大きな出費になるため、教育資金の積立は早めに始めることをお勧めします。
教養娯楽
東京23区における教養娯楽の消費者物価指数を分析すると、レジャー関連費用の変動が見られる。
娯楽サービス費が最も上昇し、インターネット料金も値上がり
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年2月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教養娯楽 | 100.6 | 101.1 | 101.7 | 103.3 | 111.7 | 115.2 | 14.5 |
教養娯楽用耐久財 | 97.3 | 97.4 | 99.4 | 103.9 | 103.3 | 108.4 | 11.4 |
教養娯楽用品 | 100.1 | 99.2 | 97.8 | 105.0 | 109.9 | 113.4 | 13.3 |
教養娯楽サービス | 101.3 | 102.3 | 102.8 | 102.5 | 113.6 | 116.7 | 15.2 |
インターネット接続料 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 108.0 | 108.0 | 8.0 |
教養娯楽分野では「教養娯楽サービス」が2020年1月から2025年2月までの5年間で15.2%と最も高い上昇率を示している。これは映画・演劇・スポーツ観戦などの入場料や旅行関連費用の上昇を反映しており、特に2023年から2024年にかけての上昇が顕著である。「教養娯楽用品」も13.3%上昇しており、書籍や音楽・映像メディアなどの価格上昇が見られる。
「インターネット接続料」は2023年まで変動がなかったが、2024年に入って8.0%の上昇を示しており、通信インフラの維持・拡充コストの増加が価格に反映されていると考えられる。
まとめ:過去5年間で物価は大きく上昇し、品目によるばらつきが鮮明に
2020年から2025年にかけての東京23区の物価変動を分析すると、総合物価指数は9.5%上昇しているが、品目によって上昇率に大きな差がある。特に食料品の価格上昇が顕著であり、米類は約80%、生鮮果物は約49%、魚介類は約30%の上昇となっている。これらの上昇は、気候変動による収量減少、原材料費・エネルギー価格の高騰、円安による輸入コスト増加など、複合的な要因によるものである。
住居費用は比較的安定しており、住居全体で3.1%の上昇にとどまっているが、設備修繕・維持費は15.2%上昇しており、住宅の維持コストが増加している。水道光熱費では灯油が28.6%、都市ガス代が16.4%上昇しており、エネルギー価格の高騰が家計を圧迫している。
交通・通信分野では対照的な動きが見られ、携帯電話料金は政府の料金引き下げ政策により44.2%下落した一方、ガソリン価格は22.0%上昇している。教育費も大学授業料の無償化などにより18.1%減少している。
このように、東京23区の物価は全体としては上昇傾向にあるが、政策的な介入があった分野では価格下落も見られており、品目によって物価変動の方向性や度合いが大きく異なることが明らかとなった。家計運営においては、こうした品目ごとの物価変動を踏まえた支出計画が重要となる。
- Q東京23区で最も値上がりした品目は何ですか?
- A
最も値上がりしたのは「うるち米B」(コシヒカリ以外の品種)で、2020年1月から2025年2月までの5年間で82.2%上昇しています。次いで「米類」全体が79.4%、「うるち米A」(コシヒカリ)が74.3%と、米価の上昇が顕著です。
- Q物価上昇が最も低い分野はどこですか?
- A
物価が下落している分野としては「交通・通信」が4.5%減少しており、特に「通信料(携帯電話)」は44.2%の大幅な下落を示しています。また「教育」も8.3%減少しており、「授業料等」は18.1%下落しています。これらは政府の政策的介入による影響が大きいと考えられます。
- Q家計への影響が大きい品目はどれですか?
- A
家計への影響が大きいのは消費支出の割合が高い「食料」で、5年間で23.1%上昇しています。特に主食である米類や生鮮食品の上昇が著しく、毎日の生活費を押し上げています。また「光熱・水道」も11.0%上昇しており、電気代(13.0%)やガス代(16.4%)の上昇が家計の固定費負担を増加させています。