年収600万円の割合と生活レベルを解説!生活は苦しいのか?:FPの家計改善策

年収600万円のライフプランとマネー戦略を示すアイキャッチ画像。ピンク背景に白い猫のイラストと「年収600万円 ライフプランとマネー戦略」の文字が描かれている。 ライフプラン
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  • 年収600万円台で預貯金の取り崩しに不安を感じている人
  • 年収600万円台で家計の見直しを検討している人
  • 年収600万円台で生活レベルの向上を目指している人
  • 執筆者・監修者:十河 賢
  • 経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
  • CFP保有者・証券外務員二種
  • 宅建士(未登録)・住宅ローンアドバイザー
  • SEO検定1級・エクセルVBAエキスパート
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年収600万円は上位3割に入る収入だが、世帯構成によって生活の実態は大きく異なっている。近年、物価上昇やクレジット利用の増加が目立ち、収入の高さが必ずしも生活の余裕につながっていない状況である。

この記事では、二人以上世帯と単身世帯それぞれの家計状況を分析し、収入に見合った生活レベルを実現するための具体的な改善策を解説する。

年収600万円以上の割合は約7%

※厚生労働省「国民生活基礎調査(2022年)
※所得には、社会保険料と税金が含まれます。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」のデータによると、年収600万円は日本の所得分布において上位33.2%に位置する年収だ。具体的には、年収600万円以上700万円未満の世帯が全体の7.3%、500万円以上600万円未満の世帯が8.4%を占めており、合計すると15.7%の割合になる。

この数字は、年収600万円が平均的な収入を上回る水準であることを示している。つまり、この収入レベルに達している人は、すでにある程度の経済的安定を手に入れていると言える。ただし、家計的に余裕を感じていない人は多いと思われる。

年収600万円台の生活レベルを世帯別に解説

年収は同じでも、世帯構成によって生活レベルは大きく異なっている。二人以上世帯と単身世帯の家計状況から、それぞれの生活実態を見ていく。

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収入が同じでも、固定費の割合で生活レベルは大きく変わります。

ファミリー(二人以上世帯)の生活レベル

二人以上世帯では、収入帯によって消費支出の内訳に違いがみられる。収入が増えると、生活水準の変化が支出構造に表れている。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(600-650万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入402,342円
消費支出262,991円勤め先収入の65%
食費71,932円消費支出の27%
住居費19,442円消費支出の7%
光熱・水道18,930円消費支出の7%
交通・通信44,698円消費支出の17%
教育10,291円消費支出の4%
教養娯楽25,684円消費支出の10%
その他72,014円消費支出の28%
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(650-700万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入443,018円
消費支出272,579円勤め先収入の62%
食費73,584円消費支出の27%
住居費17,580円消費支出の6%
光熱・水道19,704円消費支出の7%
交通・通信42,197円消費支出の15%
教育12,897円消費支出の5%
教養娯楽26,694円消費支出の10%
その他79,923円消費支出の30%

収入が増えても食費や光熱・水道費の割合はほぼ変わらず、教育費と教養娯楽費の支出が増える傾向にある。

ひとり暮らし(単身世帯)の生活レベル

単身世帯の特徴は、収入帯が上がっても住居費の占める割合が高い点にある。また、自由裁量費用の使い方にも特徴がみられる。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(600-650万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入373,338円
消費支出199,944円勤め先収入の54%
食費43,784円消費支出の22%
住居費34,101円消費支出の17%
光熱・水道10,269円消費支出の5%
交通・通信35,928円消費支出の18%
教養娯楽23,291円消費支出の12%
その他52,572円消費支出の26%
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(650-700万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入427,070円
消費支出233,571円勤め先収入の55%
食費50,078円消費支出の21%
住居費54,209円消費支出の23%
光熱・水道9,848円消費支出の4%
交通・通信37,512円消費支出の16%
教養娯楽25,399円消費支出の11%
その他56,525円消費支出の25%

収入が増えると住居費の割合が17%から23%に上昇しており、より良い住環境を選択する傾向がうかがえる。

一方で、食費の割合は22%前後と安定しており、教養娯楽費も11-12%と一定の水準を保っている。これは、生活の質を重視する単身世帯の特徴を表している。

年収600万円台でも生活が苦しくなるケース

年収600万円台は高所得層に位置づけられるが、実際の家計をみると預貯金の取り崩しやクレジット利用が目立っている。世帯別の実態から、生活を圧迫する要因を探っていく。

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預貯金の取り崩しが習慣化すると、将来の資産形成に影響が出てきます。

二人以上世帯で生活が苦しくなるケース

二人以上世帯では、収入以外の資金調達が家計の大きな特徴となっている。その内訳からは、生活の実態が見えてくる。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(600-650万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取355,165円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出278,274円全体の78%
うちクレジット購入借入金69,002円全体の19%
非消費支出71,515円税金・社会保険料など
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(650-700万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取387,338円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出303,874円全体の78%
うちクレジット購入借入金77,912円全体の20%
非消費支出81,156円税金・社会保険料など

月々の支払いのうち、約30%を預貯金の取り崩しで賄っており、さらにクレジット購入借入金も増加傾向にある。

このように、収入が増えても預貯金取り崩しの割合は変わらず、むしろ金額は増加している点に注意が必要である。

単身世帯で生活が苦しくなるケース

単身世帯においても、預貯金の取り崩しとクレジット利用は避けられない状況となっている。収入帯による違いも顕著である。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(600-650万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取333,376円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出260,665円全体の78%
うちクレジット購入借入金55,050円全体の17%
非消費支出80,401円税金・社会保険料など
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(650-700万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取305,220円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出234,652円全体の77%
うちクレジット購入借入金69,408円全体の23%
非消費支出95,859円税金・社会保険料など

650-700万円帯になるクレジット購入借入金の割合が増加しており、特に住居費の増加が影響していると考えられる。

また、非消費支出の金額も大きく、手取り収入が実収入を大きく下回る点も、生活を圧迫する要因となっている。

FPが提案する家計改善のポイント

年収600万円台の世帯でも、収入と支出のバランスが崩れると生活は徐々に苦しくなってくる。ここでは、世帯別の具体的な改善策を提案する。

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支出の見直しは、まず使途不明金の把握から始めましょう。

二人以上世帯の改善ポイント

二人以上世帯では、食費や交通・通信費などの基本的な生活費の見直しが重要となる。特に、世帯人数が多いほど削減効果は大きくなる。

食費が消費支出の27%を占めているため、食材の購入方法や調理方法の工夫で、家計の改善余地は大きい。

具体的な改善策としては、まとめ買いや簡単な節約術の導入が効果的である。たとえば、食材の使い切りや買い物リストの作成で、ムダな支出を抑えることができる。

また、交通・通信費も消費支出の15-17%と高い割合を占めている。通信プランの見直しや、公共交通機関の定期券の活用など、固定費の削減を検討するとよい。

単身世帯の改善ポイント

単身世帯では、住居費の負担が特に大きな課題となっている。収入が増えると住居費の割合が23%まで上昇する傾向がみられる。

家賃の見直しや立地の選択で、住居費を抑える工夫が必要である。

また、教養娯楽費が消費支出の11-12%と比較的高めであることから、娯楽費の支出を見直すことも検討に値する。定額制サービスの活用や、趣味にかける費用の優先順位付けが有効である。

共通の改善ポイント

世帯構成にかかわらず、預貯金の取り崩しやクレジット購入借入金への依存は要注意である。計画的な支出管理が不可欠となる。

まずは、毎月の支出を項目別に記録することから始めるとよい。支出の傾向が把握できれば、優先順位をつけた支出の見直しが可能となる。

クレジットカードの利用についても、ポイント還元などのメリットを活かしつつ、支払い総額の管理を徹底することが大切である。

さらに、将来的な支出に備えて、収入のうち一定額を積立てる習慣をつけることも推奨される。たとえば、ボーナスの一部を定期預金にまわすなど、計画的な資産形成を心がけるとよい。

まとめ:年収600万円台でも賢い家計管理が重要

年収600万円台は平均的な収入を上回る水準であるが、世帯構成や生活スタイルによって、実際の生活レベルは大きく異なってくる。

二人以上世帯では、食費と交通・通信費で消費支出の44%を占めており、これらの支出管理が家計改善の鍵となる。一方、単身世帯では住居費の負担が大きく、収入が増えるほどその傾向が強まっている。

注目すべき点は、どちらの世帯でも預貯金の取り崩しやクレジット購入借入金が増加傾向にあることである。これは、収入のみでは理想の生活水準を維持することが難しい状況を示している。

収入が増えても、それに応じて支出が増える傾向がみられることから、計画的な家計管理がより一層重要となる。支出の優先順位づけや、固定費の見直しなど、基本的な家計改善の取り組みを継続することで、年収600万円台の収入を活かした安定的な生活設計が可能となるだろう。

家計改善の具体策を実践し、預貯金の取り崩しやクレジット利用を抑えることで、収入に見合った適切な生活レベルを維持することができる。

長期的な視点での資産形成も視野に入れ、将来に向けた安定的な家計づくりを心がけたい。

Q
年収600万円台でも預貯金を取り崩すのは問題ですか?
A

計画的な取り崩しなら問題ありませんが、毎月の生活費を補填する目的での取り崩しは要注意です。

Q
単身世帯の住居費が収入の23%というのは高すぎますか?
A

都市部では珍しくない水準ですが、将来の資産形成を考えると20%以下に抑えることをお勧めします。

Q
二人以上世帯の食費27%は平均的な割合ですか?
A

やや高めの水準です。まとめ買いや食材の使い切りなど、工夫の余地があります。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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