【年収700万円】上位何パーセント?20代・30代の割合や生活費の実態も解説

年収700万円のライフプランとマネー戦略を示すアイキャッチ画像。ピンク背景に白い猫のイラストと「年収700万円 ライフプランとマネー戦略」の文字が描かれている。 家計管理
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年収700万円は一部上場企業の平均年収に相当する水準だが、ライフステージや居住地域によって生活の充実度は異なる。共働き世帯の増加や教育費の上昇により、世帯構成によって求められる家計管理の方向性も変化している。

この記事では、二人以上世帯(二人暮らし・3人家族・4人家族以上)と単身世帯(一人暮らし・独身)の実態を分析し、年収700万円という収入を活かすための具体的な生活設計を解説する。

年収700万円は上位何パーセント?

世帯年収や年齢層によって年収700万円の位置づけは大きく異なる。全世帯での分布状況と、20代から50代までの年齢層別の特徴から、年収700万円の到達状況を詳しく見ていく。

年収700万円の割合:全世帯での位置づけ

厚生労働省「国民生活基礎調査(2023年)」:世帯数の相対度数分布-累積度数分布,年次・所得金額階級別
所得階級累積割合上位からの割合
2000万円以上1.3%上位1.3%
1500~2000万円3.1%上位3.1%
1200~1500万円6.8%上位6.8%
1100~1200万円9.0%上位9.0%
1000~1100万円11.7%上位11.7%
900~1000万円15.3%上位15.3%
800~900万円19.9%上位19.9%
700~800万円25.7%上位25.7%
600~700万円32.0%上位32.0%
500~600万円40.5%上位40.5%
400~500万円51.2%上位51.2%
300~400万円64.1%上位64.1%
200~300万円78.5%上位78.5%
200万円未満100.0%

厚生労働省の「国民生活基礎調査」のデータによると、年収700~800万円は上位25.7%に位置しており、約4人に1人が到達している年収水準である。また、全世帯の中で年収700~800万円の層は多くなく、その上下の年収層を見ると、600~700万円が上位32.0%、800~900万円が上位19.9%となっている。

特徴的なのは、1000万円を超える世帯は全体の約11.7%にとどまり、1500万円以上となると3.1%まで減少することである。一方で、年収200~300万円の層は上位78.5%に位置しており、比較的低所得層の割合が大きいことが分かる。

このように、年収700万円台は平均的な収入を大きく上回る水準にあり、経済的な余裕を実感できる層と言える。ただし、後述するように世帯構成や居住地域によって実質的な生活水準は大きく異なってくる。

年収700万円の割合:年代別・年齢層の比較

厚生労働省「国民生活基礎調査(2023年)」:世帯主の年齢(10歳階級)・世帯人員1人当たり所得金額階級別
世帯人員1人当たり
所得金額階級
全年齢20代以下30代40代50代
1000万円以上0.9%0.0%0.7%0.6%1.8%
900~1000万円0.4%0.0%0.0%0.6%0.9%
800~900万円0.6%0.0%1.7%1.0%1.4%
700~800万円1.3%0.0%1.7%2.1%4.0%
600~700万円1.9%0.6%3.4%2.5%5.0%
500~600万円3.2%5.0%9.2%5.2%5.1%
400~500万円6.6%12.6%10.3%6.9%11.0%
300~400万円11.9%17.0%14.0%12.4%18.8%
200~300万円23.2%21.4%22.6%26.8%22.6%
200万円未満49.8%43.4%36.3%41.9%29.4%

年収700万円台(世帯人員1人当たり所得700~800万円)の割合を年齢層別にみると、20代では0.0%にとどまるのに対し、40代で2.1%、50代では4.0%まで上昇している。

全体的に年齢層が上がるにつれて高所得者の割合が増加する傾向がみられ、特に800万円以上の所得層では50代の割合が他の年代を上回っている。一方で、20代では400~500万円台が12.6%と比較的高い割合を示しており、若年層でも一定の所得水準に到達していることが分かる。

このように、年収700万円という水準は、年齢層によって到達のしやすさが異なっており、キャリアの進展とともに徐々に到達者が増えていく傾向にある。

年収700万円の生活レベル!年収・手取額の平均・目安

年収は同じでも、世帯構成によって生活レベルは大きく異なっている。二人暮らし・3人家族・4人家族以上(二人以上世帯)と一人暮らし・独身(単身世帯)の家計状況から、それぞれの生活実態を見ていく。

専門家のワンポイントアドバイス
収入が増えても、固定費の管理が生活レベルを大きく左右します。

二人暮らし・3人家族・4人家族の生活費の実態

二人以上世帯では、収入帯によって生活費(消費支出)の内訳に違いがみられる。収入が増えると、生活水準の変化が支出構造に表れている。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(700-750万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入470,994円
消費支出292,737円勤め先収入の62%
食費75,618円消費支出の26%
住居費24,627円消費支出の8%
光熱・水道19,467円消費支出の7%
交通・通信46,351円消費支出の16%
教育16,593円消費支出の6%
教養娯楽29,853円消費支出の10%
その他46,319円消費支出の27%
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(750-800万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入488,539円
消費支出298,723円勤め先収入の61%
食費78,845円消費支出の26%
住居費16,764円消費支出の6%
光熱・水道19,948円消費支出の7%
交通・通信49,587円消費支出の17%
教育17,272円消費支出の6%
教養娯楽29,515円消費支出の10%
その他51,602円消費支出の28%

収入が増えても食費や教養娯楽費の割合は安定しており、交通・通信費と教育費の支出が増加する傾向にある。

一人暮らし(独身)の生活費の実態

単身世帯の特徴は、収入帯が上がっても住居費の占める割合が高い点にある。また、自由裁量費用の使い方にも特徴がみられる。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(700-750万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入440,068円
消費支出260,432円勤め先収入の59%
食費56,583円消費支出の22%
住居費38,451円消費支出の15%
光熱・水道9,980円消費支出の4%
交通・通信35,957円消費支出の14%
教養娯楽34,024円消費支出の13%
その他36,949円消費支出の32%
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(750-800万円帯)
項目金額(月額)割合
勤め先収入479,963円
消費支出241,859円勤め先収入の50%
食費59,289円消費支出の25%
住居費51,302円消費支出の21%
光熱・水道10,181円消費支出の4%
交通・通信26,196円消費支出の11%
教養娯楽27,390円消費支出の11%
その他46,417円消費支出の28%

収入が増えると住居費(家賃・ローン)の割合が15%から21%に上昇しており、より良い住環境への投資が見られる傾向にある。

一方で、食費の割合は22-25%と安定しており、教養娯楽費も11-13%と一定の水準を保っている。これは、生活の質を重視する単身世帯の特徴を表している。

年収700万円で生活が苦しい原因と対策

年収700万円台は上位4分の1に位置づけられるが、実際の家計をみると預貯金の取り崩しやクレジット利用が目立っている。世帯別の実態から、生活を圧迫する要因を探っていく。

専門家のワンポイントアドバイス
預貯金の取り崩しが習慣化すると、将来の資産形成に大きな影響が出てきます。

子育て家族が貯金を取り崩す3つの理由

二人以上世帯では、収入以外の資金調達が家計の大きな特徴となっている。その内訳からは、生活の実態が見えてくる。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(700-750万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取379,057円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出293,701円全体の77%
うちクレジット購入借入金77,960円全体の21%
非消費支出87,558円税金・社会保険料など
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(750-800万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取397,163円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出309,524円全体の78%
うちクレジット購入借入金80,619円全体の20%
非消費支出95,037円税金・社会保険料など

月々の支払いのうち、約35%を預貯金の取り崩しで賄っており、さらにクレジット購入借入金も増加傾向にある。

このように、収入が増えても預貯金取り崩しの割合は変わらず、むしろ金額は増加している点に注意が必要である。

一人暮らし(独身)の生活費と借入金の実態

単身世帯においても、預貯金の取り崩しとクレジット利用は避けられない状況となっている。収入帯による違いも顕著である。

統計局「全国家計構造調査(2019年)」(700-750万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取438,034円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出341,573円全体の78%
うちクレジット購入借入金94,654円全体の22%
非消費支出91,831円税金・社会保険料など
統計局「全国家計構造調査(2019年)」(750-800万円帯)
項目金額(月額)補足
実収入以外の受取369,241円資産減少や負債増加を伴う収入
うち預貯金引出290,232円全体の79%
うちクレジット購入借入金77,841円全体の21%
非消費支出104,396円税金・社会保険料など

750-800万円帯でも預貯金引出が月29万円を超えており、高収入でも資産の取り崩しが継続的に発生している状況がうかがえる。

また、非消費支出(税金・社会保険料など)の金額も10万円を超えており、手取り収入が実収入を大きく下回る点も、生活を圧迫する要因となっている。

年収700万円の家計管理術!FPが教える節約のコツ

年収700万円台の世帯でも、収入と支出のバランスが崩れると生活は徐々に苦しくなってくる。ここでは、世帯別の具体的な改善策を提案する。

専門家のワンポイントアドバイス
生活費の見直しは、非消費支出の増加を考慮した計画から始めましょう。

二人暮らし・3人家族・4人家族の生活費の見直し方

二人以上世帯では、食費や教育費などの基本的な生活費の見直しが重要となる。特に、世帯人数が多いほど削減効果は大きくなる。

二人以上世帯の食費は生活費の26%を占めており、食材の購入方法や調理方法の工夫で、家計の改善余地は大きい。

具体的な改善策としては、まとめ買いや簡単な節約術の導入が効果的である。たとえば、食材の使い切りや買い物リストの作成で、ムダな生活費を抑えることができる。

また、交通・通信費も生活費の16-17%と高い割合を占めている。通信プランの見直しや、公共交通機関の定期券の活用など、固定費の削減を検討するとよい。

独身のゆとりのある生活を実現する方法

単身世帯では、住居費の負担が特に大きな課題となっている。750-800万円帯では住居費の割合が21%まで上昇する傾向がみられる。

居住地域や物件の選択で、住居費を抑える工夫が必要である。単身世帯では月5万円以上の住居費が発生しており、年間で60万円を超える支出となっている。

また、教養娯楽費が生活費の11-13%と比較的高めであることから、娯楽費の支出を見直すことも検討に値する。定額制サービスの活用や、趣味にかける費用の優先順位付けが有効である。

貯金を増やす!共通の家計改善ポイント

世帯構成にかかわらず、預貯金の取り崩しやクレジット購入借入金への依存は要注意である。月29万円を超える預貯金の取り崩しは、将来的な資産形成に大きな影響を及ぼす。

まずは、毎月の生活費を項目別に記録することから始めるとよい。生活費の傾向が把握できれば、優先順位をつけた生活費の見直しが可能となる。

クレジットカードの利用についても、ポイント還元などのメリットを活かしつつ、支払い総額の管理を徹底することが大切である。特に、月7-8万円のクレジット購入借入金は要注意である。

さらに、将来的な生活費に備えて、収入のうち一定額を積立てる習慣をつけることも推奨される。たとえば、月収の20%程度を定期預金や投資信託などの金融商品に回すなど、計画的な資産形成を心がけるとよい。

まとめ:年収700万円の適正な生活費と貯蓄バランス

年収700万円台は上位4分の1に位置する収入水準であるが、世帯構成や生活スタイルによって、実際の生活レベルは大きく異なってくる。

二人以上世帯では、食費と交通・通信費で生活費の42%を占めており、これらの支出管理が家計改善の鍵となる。一方、単身世帯では住居費の負担が大きく、収入が増えるほどその傾向が強まっている。

注目すべき点は、どちらの世帯でも預貯金の取り崩しやクレジット購入借入金が増加傾向にあることである。これは、収入のみでは理想の生活水準を維持することが難しい状況を示している。

収入が増えても、それに応じて生活費が増える傾向がみられることから、計画的な家計管理がより一層重要となる。生活費の優先順位づけや、固定費の見直しなど、基本的な家計改善の取り組みを継続することで、年収700万円台の収入を活かした安定的な生活設計が可能となるだろう。

月29万円を超える預貯金の取り崩しを抑制し、非消費支出の増加も考慮に入れた家計設計を行うことで、収入に見合った適切な生活レベルを維持することができる。

長期的な視点での資産形成も視野に入れ、将来に向けた安定的な家計づくりを心がけたい。

Q
年収700万円台でも預貯金を取り崩すのは問題ですか?
A

計画的な取り崩しなら問題ありませんが、月29万円を超える恒常的な取り崩しは将来の資産形成に影響を与える可能性があります。

Q
単身世帯の住居費が収入の21%というのは高すぎますか?
A

都市部では一般的な水準ですが、資産形成を考えると20%以下に抑えることをお勧めします。特に賃貸の場合は、立地や物件の選択で調整できる余地があります。

Q
二人以上世帯の食費26%は平均的な割合ですか?
A

やや高めの水準です。収入に対する割合としては25%以下を目標にすると、他の支出とのバランスが取りやすくなります。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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