10%還元の本当の価値は?ポイント・割引・キャッシュバックを徹底比較

ポイントと割引の比較解説画像 - WAONや楽天、Vポイント、PayPay、dポイント、pontaなど各種ポイントと即時割引の違いを説明するヘッダー画像 家計管理
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魅力的な「10%還元」を謳う広告やキャンペーンが至る所で目につくようになった。しかし、同じ10%還元でも、ポイント、割引、キャッシュバックでは実質的な価値が大きく異なり、消費者は思わぬ損をしているかもしれない。

この記事では、それぞれの還元方法の特徴と落とし穴を解説し、あなたに最も得な買い物の方法を提案する。

「10%還元」の3つの形態

消費者にとって「10%還元」は魅力的な特典だが、その仕組みを正確に理解しているケースは少ない。各還元方法の特徴を詳しく見ていく。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
還元方法を選ぶ際は、実質還元率だけでなく、その後の使い道まで考慮することが大切です。特に有効期限のあるポイントは、確実に使える金額のみを貯めることをお勧めします。

ポイント還元とは何か

ポイント還元は、購入金額に応じて後から特定のポイントが付与される仕組みである。

商品購入時には定価を支払う必要があり、その後付与されるポイントには使用期限が設定されている。また、付与されたポイントは使用可能な店舗や商品に制限があることが一般的である。ポイントの付与タイミングも、即時付与から翌月以降の付与まで、サービスによって様々な形態が存在する。

即時割引とは何か

即時割引は、商品購入時の支払い金額から一定額を差し引く仕組みである。

購入時点で支払金額から割引額が差し引かれ、消費税も割引後の金額で計算される。追加の手続きは不要で、支払い時に自動的に適用される点が特徴である。値引き後の金額が正式な売上金額となるため、後から金額が変更されることはない。

キャッシュバックとは何か

キャッシュバックは、商品購入後に現金または電子マネーで還元される仕組みである。

購入時点では商品の定価を支払う必要があり、還元までには一定の期間を要する。多くの場合、還元を受けるための最低利用金額が設定されており、還元金の受け取りにも期限が設定されている。現金または電子マネーでの還元となるため、使用用途に制限はない。

ポイント・割引・キャッシュバックの違い

基本的な違いを確認するために、10,000円(税込11,000円)の買い物を例に、各還元方法の実質的な価値を比較してみる。

還元方法支払時の負担還元額実質負担額
10%割引9,900円9,900円
10%ポイント還元11,000円1,100ポイント11,000円 – 1,100Pt
9,900円相当額
10%キャッシュバック11,000円1,000円11,000円 – 1,000円
10,000円

まず、10%割引は単純である。価格に対して10%の割引を受けられるため、消費税10%分(100円)の負担も減る。10%ポイント還元については、今回、税込価格に対する付与としているが、ポイントによって異なる。また、実際には「100円ごとに」「200円ごとに」「1000円ごとに」と付与される価格の単位も異なるため、端数は切り捨てられてしまう。

一方、キャッシュバックは、商品価格に対するキャッシュバックであるため、消費税分は返金されないのが一般的である。

ポイント還元率が同じでも損得が発生?

ポイント還元率について、もう少し詳しくみていきたい。

たとえば、楽天ポイントは、100円(税抜)につき1ポイントつくので還元率は1.0%、WAON POINTは200円(税込)につき2ポイント(イオン系列店)つくので還元率は同じく1.0%である。

楽天ポイントは100円ごとに付与されるため、WAON POINTに比べると、切り捨てられる可能性は下がる。単純に税を考慮しなければ、150円の買い物をしたときには、楽天では1ポイントつくが、WAON POINTではポイントが付与されない。150円分は切り捨てられることになる。

税抜と税込の違いはどうであろうか。楽天ポイントは税抜価格に対して1.0%なので、これを税込価格の還元率にすると、「1ポイント÷110円×100≒0.91%」となり、実質的にはWAON POINTよりも還元率は低い。

ただ、100円や200円などの単位を考えて買い物する人を除き、切り捨てられる可能性の低い楽天ポイントのほうが無駄が少ないだろう。

割引がもっともお得?

割引とポイント還元率を比べると、実質負担額はどちらも、9,900円(相当額)であった。しかし、割引は購入時点で還元されるのに対して、ポイントは次回以降に持ち越される。ふたたび、支出をしなければ、ポイントによる恩恵を受けられない。1,100ptは、次の買い物時でのみ利用できる。

一方、ポイント還元率とキャッシュバックを比べてみよう。税込価格に対して10%の還元率の場合、実質的にも還元率は10%である。キャッシュバックの場合は、「1000円÷11,000円×100≒0.91%」となり、消費税が返金されない分、実質的な還元率は下がる。

さまざまな要因によって、どれがお得かは一概に言えないが、条件が同じであれば、割引を選ぶといいだろう。

還元率以外の重要なポイント

ここまで、還元率10%で比較してきたが、この数値だけには現れないポイントがある。ここで紹介する要素を含めて検討したい。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
還元率が高い日に合わせて買い物を計画することで、年間の還元額を大きく増やすことができます。家計簿アプリなどを活用して、お得な日付をカレンダーに登録しておくと便利です。

時期による利用制限

各還元方法には、利用できる時期に制限があることが多い。

たとえばイオンでは、毎月5のつく日(5日・15日・25日)は還元率が2倍になる。また、毎月20日・30日は5%割引を受けられる。この日を逃すと特典を受けられない。

一方、Vポイントのように、「12/1~12/15 10倍」として、特定の商品に対して一定期間ポイントを増やすケースがある。特典を受けるには、対象商品を、その期間内に購入する必要がある。ポイント増加を計画的に狙うことはできないが、遭遇すれば高還元率の恩恵を受けられる。

支払方法による制約

還元を受けるには、指定された支払方法を使う必要がある。ポイント還元の場合、そのポイントが付与される独自のカードや電子マネーでの支払いが条件となることが多い。割引の場合も、特定のクレジットカードや電子マネーの利用が条件として設定されていることがある。

手軽にその場で作れるポイントカードならいいが、基本的にはクレジットカードの利用で特典を受けられる。一般的にはクレジットカードの申込から受け取りまでに一定期間あるため、早めに準備しておく必要がある。

そのほかにも、アプリやキャッシュレス決済の利用が条件となることがあるため、注意しよう。

有効期限の有無

一部のポイントには有効期限はないが、一般的には有効期限が設けられている。割引であれば、即座に特典を受けられるが、ポイントの場合、失効する可能性がある。

利用できる店舗

どの特典も、利用できる店舗は限定的である。各種ポイントの加盟店でなければ、利用できない。ポイントを使える店舗であっても、貯められないこともある。

また、WAON POINTは基本的にはイオン系店舗でしか使えない。しかし、Vポイントは比較的、多くの店舗で利用可能だ。PayPayポイントやdポイントも利用できる店舗が増えている。

ダブル特典の有無

基本的には異なるポイントを貯めることはできず、どれかひとつを選ぶ必要がある。また、割引とポイント還元の両方の特典を受けることはできない。

しかし、一部では、異なるポイントが同時に付与されたり、割引したうえでポイントが付くケースもある。

ポイント付加よりも価格の安さ

Vポイントや楽天ポイントは、広範囲の店舗で利用でき、ポイントは貯まるが、ポイントが貯まらない店舗で買い物するケースも考えられる。買い物シーンで消費行動に影響が出るのが、次のケースである。

  • 店舗A:ポイントは付かないが価格が安い
  • 店舗B:ポイントは付くが、少し高い

たとえば、10,000円の商品が9,800円で販売されている場合、200円の値引きは2%の割引に相当する。1%のポイント還元と比べると、ポイントの付かない店舗Aで買い物した方がお得である。比較するのは難しいが、次の式なら少し簡単に比較できる。

ポイントなしの価格 ÷ (1 + ポイント還元率)

たとえば、ポイントが付かない店舗Aでの価格が12,345円の場合、ポイント還元率1%の店舗Bと比べたいなら、

  • 12,345円 ÷ 1.01 ≒ 12,222.77円

となり、ポイントが付く店舗Bでの価格が12,223円以上であれば、ポイントの付かない価格の安い店舗Aのほうがお得となる。

  • 店舗Bの価格が12,223円以上の場合、ポイントなしの店舗Aのほうがお得。
  • 店舗Bの価格が12,222円以下の場合、ポイント付きの店舗Bのほうがお得。

ポイント還元率を覚えておけば、スマホの計算アプリで、値札を見ながら簡単に比較できる。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
商品価格の比較サイトとポイント還元率を組み合わせて検討することで、より賢い買い物が可能になります。特に高額商品の場合は、この方法で数千円単位の節約が期待できます。

Q
10%還元のキャンペーンで、実質的な還元率が最も高いのはどの方法ですか?
A

10,000円の商品を購入した場合、即時割引が最もお得です。税込11,000円から10%引きで9,900円となり、消費税も含めた割引が適用されるためです。

Q
ポイント還元で200円ごとに2ポイント付く場合、実質的な還元率はいくらになりますか?
A

200円で2ポイント(2円相当)なので、実質的な還元率は1.0%となります。ただし、端数の切り捨てにより、実際の還元率はさらに下がる可能性があります。

Q
イオンの5%割引デーと10倍ポイントデー、どちらがお得ですか?
A

通常のポイント還元が1%の場合、10倍で10%となりますが、ポイントは次回以降の使用となります。5%割引は即座に適用され、消費税軽減も含まれるため、すぐに活用したい場合は5%割引デーがお得です。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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