【驚愕の学資保険!実は多くない受取額①】学資保険のデメリット:インフレで価値半減!? 対策を徹底解説

驚いた表情でメガネをかけた若い女性が指さしている様子 教育費
∟ Image created with Canva
この記事は約11分で読めます。

子どもの未来のために学資保険への加入を考えているみなさん。学資保険を比較検討して、高い返戻率に魅力を感じて選んでいるだろう。しかし、その魅力的な数字の裏には、見過ごされがちな落とし穴がある。

こおn記事では、学資保険の隠れたデメリットであるインフレによる資金の目減りについて詳しく解説する。加入前に知っておくべき重要な情報と、教育資金を効果的に準備するための対策を紹介する。あなたの大切な教育資金計画を、より賢明なものにするヒントがここにある。

学資保険とインフレの関係

学資保険は高い返戻率を謳い文句に、長期的な教育資金準備の手段として人気がある。しかし、その価値はインフレによって大きく左右される。ここでは、インフレが学資保険の実質的な価値にどのような影響を与えるかを詳しく見ていく。

CFP歴10年超
CFP歴10年超

専門家のワンポイントアドバイス
インフレ率の予測は難しいですが、過去のデータを参考に、年平均1~2%程度を想定して計画を立てるのが賢明です。

学資保険の仕組み:インフレに弱い原因

学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品である。この保険の最大の特徴は、契約時に決められた金額が、将来的に確実に支払われる点にある。つまり、契約時の物価水準を基に給付金額が設定され、それが変動することはない。

たとえば、18年後に400万円の保険金額を受ける契約をした場合、18年後には確実に400万円が支払われる。この点が、多くの人にとって学資保険の魅力となっている。

しかし、この「固定された保険金額」という特徴は、長期的な視点で見ると必ずしも有利とは限らない。なぜなら、時間の経過とともに進行するインフレーションの影響を受けるからだ。

インフレが学資保険に与える影響

インフレーションとは、物価が持続的に上昇する現象のことである。これにより、同じ金額でも購入できる物やサービスの量が減少する。つまり、お金の価値が時間とともに低下するのだ。

学資保険の場合、保険金額は固定されているため、インフレの影響をもろに受けることになる。契約時に400万円の価値があると思っていた保険金が、18年後には実質的にそれ以下の価値しかない可能性がある。

たとえば、年率2%のインフレが18年間続いた場合、400万円の実質的な価値は約280万円相当にまで目減りしてしまう。これは、当初想定していた教育費用を賄えなくなる可能性を示唆している。

このように、学資保険の仕組みとインフレの関係を理解することは、将来の教育資金計画を立てる上で非常に重要である。次の章では、具体的な数字を用いて、インフレが学資保険の価値にどのような影響を与えるかをさらに詳しく見ていく。

インフレが学資保険の価値に与える具体的な影響

学資保険の仕組みとインフレの関係について理解したところで、具体的な数字を見ていこう。ここでは、現在400万円と想定される大学費用が、18年後にどのように変化するかを、異なるインフレ率のシナリオで検証する。

大学費用400万円の18年後の変化

現在400万円と想定される大学費用が、18年後にどのように変化するかを、年間インフレ率0.5%、1%、2%、3%のケースで見てみよう。

インフレ率18年後の大学費用増加額
0.5%約437万円37万円
1%約477万円77万円
2%約569万円169万円
3%約675万円275万円

この表からわかるように、インフレ率によって18年後に必要となる金額は大きく異なる。特に注目すべきは、年2%以上のインフレが続くと、当初の想定額から150万円以上の上乗せが必要になる点だ。

たとえば、年率2%のインフレが続いた場合、18年後には569万円が必要となる。これは当初の想定額400万円と比べて、実に169万円もの差が生じることを意味する。さらに、年率3%のインフレ下では、275万円もの追加資金が必要となる計算だ。

一方、学資保険で準備した400万円は、契約時の金額のまま変わらない。つまり、インフレが進行すればするほど、学資保険の実質的な価値は目減りしていくのである。

このような具体的な数字を見ると、学資保険に加入する際には、将来のインフレ率を慎重に考慮する必要があることがわかるだろう。高い返戻率をうたう学資保険であっても、インフレの影響を考えると、必ずしも十分な教育資金が確保できるとは限らないのだ。

過去18年間の大学授業料の実際の推移

多くの人は、18年後の教育費用がそれほど変わらないとイメージするかもしれない。しかし、実際の大学授業料の推移を見ると、その認識が必ずしも正確でないことがわかる。平成15年(2003年)から令和3年(2021年)までの18年間の大学授業料の変化を見てみよう。

年度国立大学授業料前年比私立大学授業料前年比
H15520,800円807,413円
H16520,800円0%817,952円1.30%
H17535,800円2.88%830,583円1.54%
H18535,800円0%836,297円0.69%
H19535,800円0%834,751円-0.18%
H20535,800円0%848,178円1.61%
H21535,800円0%851,621円0.41%
H22535,800円0%858,265円0.78%
H23535,800円0%857,763円-0.06%
H24535,800円0%859,367円0.19%
H25535,800円0%860,266円0.10%
H26535,800円0%864,384円0.48%
H27535,800円0%868,447円0.47%
H28535,800円0%877,735円1.07%
H29535,800円0%900,093円2.55%
H30535,800円0%904,146円0.45%
R1535,800円0%911,716円0.84%
R2535,800円0%927,705円1.75%
R3535,800円0%930,943円0.35%

国立大学の場合、平成15年の520,800円から平成17年に535,800円に上昇した後は変化がない。一見、インフレの影響は小さいように見える。

しかし、私立大学の状況は大きく異なる。平成15年に807,413円だった私立大学の平均授業料は、令和3年には930,943円となり、約15.3%上昇している。これは年平均で約0.8%のペースで上昇していることになる。

特に注目すべきは、平成28年から平成29年にかけての2.55%という大幅な上昇だ。また、平成15年から平成16年、平成19年から平成20年、令和元年から令和2年にかけても1.5%を超える上昇が見られる。デフレと言われた期間であってもこれだけ上昇しているのだ。

この実際のデータから、以下の重要な点が浮かび上がる。

  1. 教育費用は長期的に見ると確実に上昇傾向にある。
  2. その上昇は一定ではなく、年によって大きく変動する可能性がある。
  3. 18年という期間で見ると、15%以上の上昇が現実に起こっている。

これらの事実は、教育資金の準備において、インフレの影響を軽視してはいけないことを示している。学資保険に加入する際には、このような長期的な費用の上昇トレンドを考慮に入れ、より慎重な計画を立てる必要があるだろう。

インフレに備えた教育資金準備の方法

これまでの内容を踏まえ、学資保険に加入を考えている方々や、すでに加入している方々に向けて、インフレリスクを考慮した教育資金準備の方法を提案する。

CFP歴10年超
CFP歴10年超

専門家のワンポイントアドバイス
教育資金の準備は早ければ早いほど有利です。子どもが生まれたら、すぐに準備を始めることをおすすめします。

学資保険の適切な活用法

学資保険は依然として教育資金準備の選択肢の一つだが、インフレリスクを考慮した活用が重要である。契約時には、将来のインフレ率を見込んだ上で、余裕を持った契約金額を設定することが賢明だ。たとえば、現在の教育費用に20%程度上乗せした金額を目標にするなど、将来の値上がりに備えることが考えられる。

また、学資保険の受け取り方法にも注意が必要だ。一括受け取りよりも、進学時期に合わせた分割受け取りを選択すること(在学中ではなく、大学前に受け取るタイプ)で、インフレの影響を軽減できる可能性がある。

学資保険以外の教育資金準備方法

インフレリスクに対応するためには、学資保険以外の方法も検討する価値がある。たとえば、投資信託や株式などの金融商品を活用することで、インフレ率を上回る運用収益を目指すことができる。

特に、積立投資信託・NISAなどを利用することで、長期的かつ安定的な資産形成が可能となる。ただし、これらの方法にはリスクも伴うため、自身のリスク許容度を十分に考慮する必要がある。

ハイブリッドアプローチの検討

最も効果的な方法の一つは、学資保険と他の金融商品を組み合わせたハイブリッドアプローチだ。たとえば、教育資金の一部を学資保険で確保しつつ、残りを投資信託で運用するなどの方法が考えられる。

この方法により、安定性と成長性のバランスを取ることができ、インフレリスクに対してより強固な備えとなる。ただし、このアプローチを取る際は、自身の金融リテラシーを高めることが重要となる。

CFP歴10年超
CFP歴10年超

専門家のワンポイントアドバイス
資産配分を決める際は、子どもの年齢が上がるにつれてリスクを下げていく「年齢別資産配分」の考え方も参考になります。

定期的な見直しの重要性

教育資金の準備は、一度計画を立てて終わりではない。経済状況や教育費用の変化に応じて、定期的に計画を見直すことが極めて重要だ。

特に、子どもの成長段階や、教育方針の変更などに合わせて、柔軟に計画を調整していく必要がある。年に一度は資金計画を見直し、必要に応じて積立額の増額や運用方法の変更を検討すべきだ。

専門家のアドバイスを受ける

教育資金の準備は、家庭の将来に大きな影響を与える重要な決断である。そのため、ファイナンシャルプランナーなどの専門家のアドバイスを受けることをお勧めする。

専門家は、個々の家庭状況に応じたカスタマイズされた計画を提案してくれる。また、税制面でのアドバイスや、利用可能な公的支援制度の情報なども得られ、より効果的な資金計画を立てることができるだろう。

以上の方法を組み合わせることで、インフレリスクに備えつつ、より確実な教育資金の準備が可能となる。重要なのは、早めに行動を起こし、長期的な視点を持って計画を立てることだ。子どもの未来のために、今日から一歩を踏み出そう。

まとめ:インフレを考慮した賢明な教育資金準備のために

学資保険は、多くの親にとって子どもの教育資金を準備するための魅力的な選択肢に見えるかもしれない。しかし、本記事で見てきたように、インフレの影響を考慮すると、その魅力は必ずしも絶対的なものではない。

18年後の教育費用は、現在の想定額を大きく上回る可能性がある。実際の大学授業料の推移を見ても、特に私立大学では過去18年間で15%以上の上昇が起きている。このような長期的な価値の目減りは、固定給付金額の学資保険にとって大きな課題となる。

しかし、これは学資保険が全く役に立たないということではない。重要なのは、インフレリスクを認識し、それに備えた総合的な教育資金準備戦略を立てることだ。学資保険の適切な活用、他の金融商品との組み合わせ、定期的な計画の見直し、そして必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが、この課題への有効な対策となる。

教育資金の準備は、子どもの未来に直結する重要な取り組みだ。短期的な利益や安心感に惑わされず、長期的な視点を持って計画を立てることが極めて重要である。インフレという見えづらいリスクに目を向け、それに備えることで、より確実に子どもの教育を支援することができるだろう。

最後に、教育資金の準備に正解は一つではない。各家庭の状況や価値観に合わせて、柔軟に戦略を組み立てていくことが大切だ。この記事が、あなたの家族にとって最適な教育資金準備の道筋を見つける一助となれば幸いである。

Q
学資保険に加入済みですが、インフレ対策として今からできることはありますか?
A

はい、あります。追加で積立投資を始めたり、契約内容の見直しを検討したりすることができます。また、定期的に資金計画を見直すことも重要です。

Q
インフレ対策として、外貨建ての金融商品は有効ですか?
A

外貨建て商品はインフレヘッジになる可能性がありますが、為替リスクも伴います。自身のリスク許容度と相談しながら、慎重に検討する必要があります。

Q
学資保険以外の教育資金準備方法として、どのような選択肢がありますか?
A

投資信託、株式、債券などの金融商品や、NISA(少額投資非課税制度)の活用、また教育ローンの検討なども選択肢となります。家庭の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
・CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー
◇ウェブライティング講座を開講中

十河 賢をフォローする

注意事項

当サイトでは、金融商品に関する情報を提供していますが、以下の点にご注意ください。

  • 掲載情報の正確性には十分配慮しておりますが、その完全性、正確性、適時性、および特定目的への適合性を保証するものではありません。
  • 当サイトの情報は、金融商品の購入や投資の推奨を目的としたものではありません。
  • 実際に金融商品をご検討・ご利用の際は、各金融機関が提供する商品説明や契約締結前交付書面等を必ずご確認ください。
  • 金融商品には、元本割れなどのリスクが伴う場合があります。ご自身の判断と責任においてお取引ください。
  • 当サイトの情報に基づいて行われた判断の結果生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

詳細な免責事項については、免責事項ページをご覧ください。

教育費
十河 賢をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました