時系列で見るGoogleの検索エンジンアップデートとWebライターとしての対応

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Googleの検索エンジンは、検索サービスが開始された2000年から何度もアップデートされている。ここでは、これまでのアップデートを振り返りつつ、ウェブライターとしてどのような対応が必要か、クライアントがなぜ執筆時にレギュレーションを設定するのかについて考える。

アップデートとウェブライターとのかかわりを確認する前に、YMYL領域のウェブライターにとって重要な、E-E-A-T と品質評価ガイドラインについて触れておく。

E-E-A-T と品質評価ガイドライン

Googleは、ウェブサイトの評価基準としてE-E-A-T(「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」)を重視している。これは、ウェブページの品質を評価する際に考慮される要素であり、特にYMYL(Your Money or Your Life)トピックにおいて重要視される。

  • 経験(Experience): コンテンツ作成者が持つトピックに関する実体験や人生経験の量である。経験が豊富なコンテンツは信頼性を高める。
  • 専門性(Expertise): コンテンツ作成者が持つトピックに関する知識や技術の量である。専門的な知識を持つコンテンツは信頼性が高いと評価される。
  • 権威性(Authoritativeness): コンテンツ制作者やウェブサイトがトピックの有力な情報源として認知される度合いである。有名なサイトや専門家の情報は信頼性が高いとされる。
  • 信頼性(Trustworthiness): ページの正確性、誠実性、安全性の量である。SSL接続を使用し、正確な情報を提供するページは信頼性が高いとされる。

E-E-A-T と品質評価ガイドラインのポイント

  • 信頼性が最も重要、ほかの要素も信頼性の一因である。
  • E-E-A-Tのすべてに優れている必要はない。
  • E-E-A-T自体は、直接ランキングに影響しない。
  • YMYLでは、特にE-E-A-Tを重視している。

品質評価ガイドラインは、Googleがウェブページを評価するための詳細な指標を定めたガイドラインである。このガイドラインは、検索品質評価者がウェブページを評価する際の基準となるものであり、E-E-A-Tの概念に基づいて作成されている。

品質評価ガイドラインでは、ページの目的、コンテンツの質と量、ウェブサイトの情報、評判、E-E-A-Tなどの観点から、ウェブページの品質を総合的に判断するよう定めている。また、YMYLトピックについては、E-E-A-Tをより重視し、厳格に評価することが求められている。

ウェブライターは、E-E-A-Tと品質評価ガイドラインを理解し、これらの基準に沿ったコンテンツを作成することが重要である。特に、信頼性の高い情報源を使用し、正確で誠実なコンテンツを提供することが求められる。

※参考:Google「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成

2011年~2014年のアップデート

2011年~2014年にかけて、Googleは検索エンジンのアルゴリズムを大きく変更するアップデートを複数回実施した。これらのアップデートは、検索結果の質を高め、ユーザーにより良い検索体験を提供することを目的としている。以下の表は、この期間に行われた主要なアップデートをまとめたものである。

年月アップデート概要
2011年パンダアップデート パンダアップデートの目的は、低品質なコンテンツの検索順位を下げ、ユーザーが求めている良質なコンテンツを上位表示することで、ユーザーの満足度を上げることである。
 具体的には、内容が薄い、独自情報がない、文章が稚拙、他サイトからのコピーコンテンツなどの低品質なコンテンツの順位を下げることを目指した。
〇 ウェブライターとしての対応
記事の品質が重要となる。適切な日本語、わかりやすい文章で書かなければならない。
2012年ペンギンアップデート ペンギンアップデートの目的は、ランキング操作を目的としたリンク構築やスパム行為を行うサイトを排除し、検索結果の品質を高めることである。
 具体的には、リンクプログラムへの参加、自動生成されたコンテンツからのリンク、クローキング、不正なリダイレクト、隠しテキストや隠しリンク、コンテンツに関係のないキーワードの詰め込み、リッチスニペットやマークアップの悪用などがペナルティの対象となった。
〇 ウェブライターとしての対応
同じ語句の繰り返し使用するなどは極力避け、自然にキーワードを盛り込む必要がある。
2013年ハミングバードアップデート ハミングバードアップデートの目的は、検索クエリからユーザーの検索意図をくみ取り、関連性が高く、的確な検索結果を表示することである。
 具体的には、ユーザーが検索する際に、単なるキーワード検索だけでなく、会話のような言葉での検索を、Googleの検索エンジンが理解できるようになった。これにより、Googleの検索エンジンは単にキーワードを含むWEBページを検索結果に上位表示させるだけでなく、ユーザーの検索意図に対して適切な検索結果が表示されやすくなった。
〇 ウェブライターとしての対応
構成案の段階で、ユーザーの検索意図を理解し、ユーザーが求める内容を書く必要がある。
2014年パイレーツアップデート パイレーツアップデートの目的は、著作権侵害件数の多いWebサイトの検索順位を下げることである。
 具体的には、デジタルミレニアム法案(DMCA)に抵触する、著作権侵害を行うホームページの評価を下げるための検索エンジンアルゴリズムである。他人の写真やテキスト、動画などを無断で使用している悪質なサイト運営者への措置として、2012年8月に初めて実施され、2014年10月に再び更新された。
〇 ウェブライターとしての対応
他のサイトの情報や書籍を情報源とする場合は、出典・引用を明示する必要がある。
※出典:Google検索セントラル「最新ドキュメントの更新内容

これらのアップデートにより、Googleはユーザーにとってより価値のある検索結果を提供することを目指している。ウェブライターは、これらのアップデートの目的を理解し、ユーザーが求める高品質なコンテンツを作成することが求められる。

具体的には、オリジナルで充実した内容を提供し、適切なキーワードを自然に配置することが重要である。また、他サイトからのコピーコンテンツや過度なキーワードの詰め込みは避けなければならない。

ウェブライターは、Googleのアップデートの動向を常に把握し、SEOの観点だけでなく、ユーザー視点に立ったコンテンツ作りを心がける必要がある。これにより、検索エンジンからの評価を高め、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供することができる。

2015年~2021年

2015年以降、Googleは検索エンジンのアルゴリズムを継続的に改良し、ユーザーにより良い検索体験を提供するためのアップデートを実施している。特に、モバイル端末での検索が増加する中、モバイルフレンドリーなウェブサイトを優先的に表示するアップデートや、AIを活用した自然言語処理技術を導入するアップデートが注目される。

年月アップデート概要
2015年モバイルフレンドリーアップデート モバイルフレンドリーアップデートとは、Googleが2015年4月と2016年5月に実施した検索エンジンのアルゴリズムアップデートである。このアップデートの目的は、モバイルデバイスでのユーザビリティを高めることである。
 具体的には、モバイルデバイス(スマートフォンやタブレットなど)で表示しやすいウェブサイトを優先的に表示するようになった。これにより、モバイルでの閲覧に適していないサイトは、検索結果の順位が下がる可能性が高くなった。
〇 ウェブライターとしての対応
縦長で表示されることを意識した構成が必要である。表やグラフを使う際には、横長にならないよう注意しなければならない。
2016年9月ペンギンアップデート4.0 ペンギンアップデート4.0の目的は、ウェブスパムと呼ばれる不適切な検索エンジン最適化手法に対処することである。
 具体的には、リンク売買やキーワードの無秩序な詰め込みなど、検索ランキングを不当に操作する手法に対してペナルティを課すアップデートであった。このアップデートにより、Googleのコアアルゴリズムに組み込まれ、リアルタイムでの更新が可能となった。ペナルティの影響がサイト全体ではなく、個々のページやディレクトリ単位で評価されるようになった。
 また、ペンギンアップデート4.0では、不正なリンクがあったとしても、それがプラスにもマイナスにも働かないという新たな取り組みが行われた。
〇 ウェブライターとしての対応
※サイト構築に関わるアップデート
2019年10月BERTアップデート BERTアップデートの目的は、ユーザーが検索したキーワードのニュアンスや文脈をより深く理解し、それに基づいてより関連性の高い検索結果を表示することである。
 具体的には、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)という人工知能(AI)ベースの自然言語処理技術を採用した。この技術は文章を前後から読むことができ、文脈やニュアンスを読み取る精度が高い。
 このアップデートにより、検索エンジンは単にキーワードを含むWEBページを検索結果に上位表示させるだけでなく、ユーザーの検索意図に対して適切な検索結果が表示されやすくなった。ユーザーはより有益な情報に辿り着きやすくなる。BERTアップデートは、2019年10月に初めて導入され、その後70言語以上に展開された。
〇 ウェブライターとしての対応
※サイト構築に関わるアップデート
2021年6月・Core Web Vitals Core Web Vitalsとは、Googleが2020年に発表したユーザー体験(UX)を高めるための指標であり、2021年6月から検索エンジンのランキング要因に組み込まれた。この指標は、Webページの快適な表示速度や操作性、画面の安定性などを定量的に測るもので、ユーザーのWebサイト体験を向上させることを目的とする。
Core Web Vitalsは以下の3つの指標から構成されている:
LCP(Largest Contentful Paint):ユーザーがURLをリクエストしてからコンテンツが表示されるまでの速度を測る指標。
FID(First Input Delay):ユーザーが最初に操作を行ってから、ブラウザが応答するまでの速度を測る指標。
CLS(Cumulative Layout Shift):ページを読み込むときに起こるレイアウトのズレを示すもので、Webサイトの視覚的安定性を数値化した指標。
〇 ウェブライターとしての対応
※サイト構築に関わるアップデート
※出典:Google検索セントラル「最新ドキュメントの更新内容

これらのアップデートは、モバイル端末の普及や人工知能技術の進歩を反映したものであり、より高度で自然な検索体験の提供を目指している。ウェブライターは、モバイルフレンドリーなコンテンツ作りに加え、ユーザーの検索意図を深く理解し、的確に応えるコンテンツを作成することが求められる。

BERTアップデートにより、Googleは文脈やニュアンスをより正確に理解できるようになったため、キーワードの羅列ではなく、自然な文章でコンテンツを作成することが重要である。また、ユーザーの検索意図を的確に捉え、それに合ったコンテンツを提供することが求められる。

ウェブライターは、これらのアップデートの特徴を理解し、SEOを意識しつつも、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成することに注力すべきである。品質の高いコンテンツを継続的に提供することにより、検索エンジンからの評価を高め、ユーザーからの信頼を獲得することができる。

2021年~

2021年以降、Googleは「○年○月 Core Update」と呼ばれるコアアルゴリズムアップデートを年に数回実施しつつ、ヘルプフルコンテンツシステムの導入・改善を進めている。これらは個別のテクニックよりも、「サイト全体としてユーザーの役に立っているか」をより強く評価する方向の変化である。

コアアップデートは、検索アルゴリズム全体の広範な見直しであり、特定のテクニックだけが狙い撃ちされるわけではない。コンテンツの質、専門性、信頼性、サイト全体の評価など、多くの要素が総合的に再評価されるアップデートである。その流れの中で登場したのが、ヘルプフルコンテンツアップデートと、それを支えるヘルプフルコンテンツシステムである。

年月アップデート概要
2022年8月Helpful content updateHelpful Content Update⓵
Helpful Content Updateは、ユーザーに役立つコンテンツを高く評価し、ユーザーの期待に応えていないコンテンツとの差別化を図ることを目的としている。評価対象はページ単位ではなく、サイト全体となる。
2022年12月Helpful content updateHelpful Content Update②
適用範囲の拡大
2023年9月Helpful content updateHelpful Content Update③
※出典:Google検索セントラル「最新ドキュメントの更新内容

ヘルプフルコンテンツシステム

ヘルプフルコンテンツアップデートは、「ユーザーにとって本当に役立つコンテンツ」を高く評価し、検索エンジンだけを意識して作られたページの評価を下げることを目的としたアップデートである。評価対象はページ単位ではなくサイト全体であり、「役に立たないコンテンツが多いサイト」は、個々に良質なページがあっても、まとめて評価を落とされる可能性がある。

この仕組みを支えるのがヘルプフルコンテンツシステムである。ヘルプフルコンテンツシステムは、サイト全体のシグナルを生成し、「ユーザーが検索したときに、そのサイトで探していた情報がきちんと得られるか」を機械学習的に判断するアルゴリズムである。ユーザーの期待を裏切るようなページが多いサイトは「低評価サイト」として扱われ、検索結果全体で不利になる。

ウェブライターにとって重要なのは、アップデート名や細かい仕様を暗記することではなく、「ユーザー第一のコンテンツ作成」が一貫した評価軸になっていると理解することである。検索エンジン向けのテクニックを優先するのではなく、「誰のどんな悩みを解決するための記事か」「検索意図にきちんと答え切れているか」「サイト全体として同じ読者に価値を出せているか」を常に自問しながら執筆する姿勢が求められている。

自己評価方法

Googleはヘルプフルコンテンツシステムの影響を含む「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」について、自己評価方法を公表している。

  • コンテンツと品質に関する質問
  • 専門性に関する質問
  • ユーザーを第一に考えたコンテンツであるかどうかの質問
  • 検索エンジンを第一に考えていないかについての質問
  • コンテンツに関する「誰が、どのように、なぜ」にについての質問
  • コンテンツ作成の過程についての質問
  • コンテンツを作成した理由

各質問を見ると、これまでGoogleが目指してきたアップデートに即していることがわかる。質の高いコンテンツを提供してきたサイトについて、その方向性は間違っていないといえるだろう。

まとめ

Googleの検索エンジンアルゴリズムは、2000年の検索サービス開始以来、ユーザーにより良い検索体験を提供するために、継続的に進化してきた。パンダ、ペンギン、ハミングバードなどの大規模なアップデートにより、低品質なコンテンツやスパム行為が排除され、ユーザーが求める高品質なコンテンツが上位表示されるようになった。

また、モバイル端末の普及に伴い、モバイルフレンドリーなウェブサイトを優先的に表示するアップデートや、AIを活用した自然言語処理技術BERTの導入により、検索エンジンはユーザーの検索意図をより深く理解できるようになった。

ウェブライターは、これらのアップデートの特徴と目的を理解し、ユーザーファーストのコンテンツ作りを心がける必要がある。オリジナルで価値のある情報を提供し、適切なキーワードを自然に配置することが重要である。また、モバイル端末に適した構成やレイアウトを考慮し、ユーザーの検索意図に合ったコンテンツを作成することが求められる。

Googleの検索エンジンアルゴリズムは今後も進化を続けるであろう。ウェブライターは、こうした変化に柔軟に対応し、常にユーザー視点に立ったコンテンツ作りを心がけることが重要である。品質の高いコンテンツを継続的に提供することにより、検索エンジンからの評価とユーザーからの信頼を獲得し、長期的な成功を収めることができる。

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