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多くの人が家計の見直しを検討しているものの、具体的な改善方法がわからないという悩みを抱えている。北海道の勤労世帯の家計データを消費支出別に分析することで、自身の家計の立ち位置がわかり、具体的な改善のヒントを得ることができる。
この記事では、消費支出別の特徴と改善ポイントについて、実践的なアドバイスとともに解説していく。
消費支出が25万円未満の世帯の特徴と改善ポイント
消費支出が25万円未満の世帯について、世帯構成や収支バランスの特徴から、効率的な家計管理のポイントを見ていく。
専門家のワンポイントアドバイス:
食費の節約は、品質を下げることなく工夫することが大切です。特売品の活用と合わせて、保存方法の見直しで食品ロスを減らすことをお勧めします。
世帯構成と収支の特徴
項目 | 10万円 未満 | 10~15 万円 | 15~20 万円 | 20~25 万円 |
---|---|---|---|---|
世帯人員(人) | 1.20 | 1.61 | 1.90 | 2.43 |
18歳未満人員(人) | 0.06 | 0.21 | 0.32 | 0.60 |
有業人員(人) | 1.07 | 1.23 | 1.33 | 1.52 |
勤め先収入(円) | 219,262 | 245,767 | 272,057 | 343,603 |
可処分所得(円) | 194,488 | 230,744 | 249,576 | 336,687 |
消費支出(円) | 81,055 | 128,717 | 170,010 | 223,779 |
消費支出が25万円未満の世帯では、おもに単身もしくは2人世帯が中心となっており、世帯人員数に応じて収入や支出が増加する傾向にある。特に注目すべき点は、可処分所得に対する消費支出の割合が、10万円未満の世帯では約42%と低く抑えられており、必要最低限の支出に絞り込んでいる実態がうかがえることである。
支出内訳と改善のポイント
支出項目 | 10万円 未満 | 10~15 万円 | 15~20 万円 | 20~25 万円 |
---|---|---|---|---|
食料(円) | 26,009 (32.1%) | 34,190 (26.6%) | 45,512 (26.8%) | 60,983 (27.3%) |
住居(円) | 16,230 (20.0%) | 18,001 (14.0%) | 24,226 (14.2%) | 20,849 (9.3%) |
光熱・水道(円) | 8,144 (10.0%) | 15,215 (11.8%) | 15,822 (9.3%) | 18,940 (8.5%) |
家具・家事用品(円) | 1,404 (1.7%) | 3,644 (2.8%) | 4,162 (2.4%) | 7,047 (3.1%) |
被服及び履物(円) | 1,732 (2.1%) | 4,424 (3.4%) | 7,018 (4.1%) | 8,565 (3.8%) |
保健医療(円) | 1,203 (1.5%) | 5,051 (3.9%) | 5,478 (3.2%) | 8,738 (3.9%) |
交通・通信(円) | 15,393 (19.0%) | 19,265 (15.0%) | 26,582 (15.6%) | 36,181 (16.2%) |
教育(円) | 106 (0.1%) | 575 (0.4%) | 1,142 (0.7%) | 4,248 (1.9%) |
教養娯楽(円) | 2,952 (3.6%) | 12,398 (9.6%) | 16,113 (9.5%) | 22,984 (10.3%) |
その他の消費支出(円) | 7,882 (9.7%) | 15,953 (12.4%) | 23,956 (14.1%) | 35,246 (15.8%) |
[参考]持ち家の 帰属家賃(円) | 16,935 (20.9%) | 21,065 (16.4%) | 27,773 (16.3%) | 33,470 (15.0%) |
消費支出が25万円未満の世帯における支出の特徴として、食費と住居費、交通・通信費の3項目で支出全体の約6割を占めている。特に注目すべき点は、10万円未満の世帯では、食費が32.1%、住居費が20.0%、交通・通信費が19.0%と、生活必需品で支出の7割以上を占めていることである。
この収入帯における家計改善のポイントは、大きな割合を占める基礎的支出の見直しにある。
食費については、収入が増えても構成比は26~27%程度で安定しており、必要最低限の支出水準が保たれている。まとめ買いや季節商品の活用により、この比率を保ちながら質を高める工夫が有効である。
光熱・水道費は、10~15万円の世帯で11.8%と最も高くなるが、収入が増えるにつれて構成比は8.5%まで低下する。世帯人数が少ない利点を活かし、こまめな節約を心がけることで、支出割合の削減が期待できる。
教養娯楽費は、10万円未満の世帯では3.6%に抑えられているが、収入が増えるにつれて10%前後まで上昇する。これは、基礎的支出を賄ったうえでの余裕が生まれていることを示している。
一方、被服費や家具・家事用品費は、いずれの収入帯でも2~4%程度と低く抑えられており、必要最低限の支出にとどめている様子がうかがえる。これらの費目は、セール時期での購入やポイント活用など、計画的な支出により、生活の質を落とすことなく現状の比率を維持することが可能である。
消費支出が25万円以上40万円未満の世帯の特徴と改善ポイント
消費支出が25万円以上40万円未満の世帯について、世帯構成や収支バランスの特徴から、効率的な家計管理のポイントを見ていく。
世帯構成と収支の特徴
項目 | 25~30 万円 | 30~35 万円 | 35~40 万円 |
---|---|---|---|
世帯人員(人) | 2.90 | 3.21 | 3.22 |
18歳未満人員(人) | 0.75 | 0.95 | 0.85 |
65歳以上人員(人) | 0.25 | 0.35 | 0.18 |
有業人員(人) | 1.74 | 1.81 | 1.98 |
勤め先収入(円) | 435,800 | 405,896 | 496,657 |
可処分所得(円) | 396,865 | 414,463 | 456,347 |
消費支出(円) | 274,787 | 323,761 | 369,959 |
世帯人員は約3人で、18歳未満の子どもがいる世帯が多いことが特徴である。特に注目すべき点は、有業人員が1.7人から2.0人と、共働き世帯が中心となっており、世帯収入の増加に貢献していることである。
支出内訳と改善のポイント
支出項目 | 25~30 万円 | 30~35 万円 | 35~40 万円 |
---|---|---|---|
食料(円) | 74,814 (27.2%) | 77,727 (24.0%) | 93,253 (25.2%) |
住居(円) | 20,956 (7.6%) | 21,042 (6.5%) | 17,803 (4.8%) |
光熱・水道(円) | 23,719 (8.6%) | 24,227 (7.5%) | 21,967 (5.9%) |
家具・家事用品(円) | 12,360 (4.5%) | 9,931 (3.1%) | 18,592 (5.0%) |
被服及び履物(円) | 14,869 (5.4%) | 18,173 (5.6%) | 16,072 (4.3%) |
保健医療(円) | 11,925 (4.3%) | 16,020 (4.9%) | 19,879 (5.4%) |
交通・通信(円) | 39,041 (14.2%) | 56,823 (17.6%) | 63,055 (17.0%) |
教育(円) | 2,373 (0.9%) | 9,358 (2.9%) | 12,170 (3.3%) |
教養娯楽(円) | 24,091 (8.8%) | 36,566 (11.3%) | 37,940 (10.3%) |
その他の消費支出(円) | 50,640 (18.4%) | 53,893 (16.6%) | 69,229 (18.7%) |
この支出区分における特徴は、世帯人員の増加に伴う支出構造の変化である。食料費は金額こそ増加しているものの、消費支出に占める割合は24~27%と安定しており、規模の経済が働いていることがわかる。
基礎的支出である住居費と光熱・水道費の割合は、収入の増加に伴い低下傾向にある。これは、収入増加に比べてこれらの費用の上昇が緩やかであることを示している。
一方で、交通・通信費の割合は14~17%と高く、また教養娯楽費も8~11%と、ゆとりのある支出構造となっている。教育費は子どもの年齢に応じて2.9~3.3%まで上昇しており、今後の教育費増加に備えた計画的な支出管理が重要となる。
この収入帯での家計改善のポイントは、基礎的支出の割合を維持しながら、教育費や教養娯楽費などの選択的支出を計画的に管理することにある。特に、将来の教育費増加に備えた資金計画の検討が有効である。
専門家のワンポイントアドバイス:
教育費は今後増加する可能性が高いため、固定費の見直しで捻出した資金を教育費の積立にまわすことをお勧めします。
消費支出が40万円以上の世帯の特徴と改善ポイント
消費支出が40万円以上の世帯について、世帯構成や収支バランスの特徴から、資産形成も視野に入れた家計管理のポイントを見ていく。
世帯構成と収支の特徴
項目 | 40~45 万円 | 45~50 万円 | 50~55 万円 | 55~60 万円 | 60万円 以上 |
---|---|---|---|---|---|
世帯人員(人) | 2.59 | 2.89 | 3.23 | 2.75 | 2.81 |
18歳未満人員(人) | 0.25 | 0.43 | 1.35 | 0.75 | 0.28 |
有業人員(人) | 1.74 | 1.73 | 1.50 | 1.45 | 1.84 |
勤め先収入(円) | 516,326 | 489,871 | 655,410 | 685,303 | 738,521 |
可処分所得(円) | 485,903 | 500,702 | 505,330 | 613,366 | 666,802 |
消費支出(円) | 423,619 | 473,294 | 519,011 | 571,691 | 868,049 |
世帯人員は2.5~3.2人と、25~40万円の世帯に比べてやや少ない傾向にある。特に注目すべき点は、50~55万円の世帯を除き18歳未満人員が少なく、有業人員も1.4~1.8人程度と、世帯主の高収入が家計を支える構造となっていることである。
支出内訳と改善のポイント
支出項目 | 40~45 万円 | 45~50 万円 | 50~55 万円 | 55~60 万円 | 60万円 以上 |
---|---|---|---|---|---|
食料(円) | 99,997 (23.6%) | 97,362 (20.6%) | 101,775 (19.6%) | 58,333 (10.2%) | 97,997 (11.3%) |
住居(円) | 17,189 (4.1%) | 27,975 (5.9%) | 26,257 (5.1%) | 104,286 (18.2%) | 29,685 (3.4%) |
保健医療(円) | 29,869 (7.1%) | 19,748 (4.2%) | 100,719 (19.4%) | 8,328 (1.5%) | 12,713 (1.5%) |
交通・通信(円) | 62,770 (14.8%) | 68,073 (14.4%) | 62,160 (12.0%) | 75,149 (13.1%) | 341,871 (39.4%) |
教育(円) | 14,109 (3.3%) | 6,351 (1.3%) | 17,506 (3.4%) | 51,832 (9.1%) | 46,340 (5.3%) |
教養娯楽(円) | 56,094 (13.2%) | 94,659 (20.0%) | 83,620 (16.1%) | 64,092 (11.2%) | 38,219 (4.4%) |
その他の消費支出(円) | 87,999 (20.8%) | 104,559 (22.1%) | 70,195 (13.5%) | 147,906 (25.9%) | 242,658 (28.0%) |
この支出区分では、収入の増加に伴い支出構造が大きく変化している。食料費は金額こそ10万円前後と高額だが、消費支出に占める割合は10~23%と低下傾向にあり、選択的支出にまわせる余裕が生まれている。
特徴的なのは、教養娯楽費が50万円未満の世帯で13~20%と高い比率を占めていることである。また、60万円以上の世帯では交通・通信費が39.4%と突出して高く、自家用車の購入や維持費が影響している可能性がある。
教育費は、18歳未満人員の多い50~55万円の世帯と55~60万円の世帯で高くなっており、子どもの教育にかける余裕が生まれている。
この収入帯での家計改善のポイントは、高額な選択的支出の管理と資産形成の両立にある。可処分所得に余裕があるため、将来の教育費や老後の生活に備えた資産形成を計画的に進めることが重要である。
専門家のワンポイントアドバイス:
収入に余裕がある時期こそ、将来の支出増加に備えた資産形成を意識することが重要です。
まとめ:自身の消費支出に合わせた家計の見直しポイント
消費支出の金額によって、北海道の勤労世帯の家計には特徴的な傾向がみられる。
消費支出25万円未満の世帯では、食費や住居費、交通・通信費といった基礎的支出が7割を占めており、必要最低限の支出に絞り込んだ家計管理が行われている。この層では、まとめ買いや光熱費の節約など、基礎的支出の効率化がポイントとなる。
消費支出25万円以上40万円未満の世帯では、世帯人員の増加に伴い支出額は増えるものの、食費の割合は24~27%と安定している。また、教育費の割合が増加傾向にあり、将来の教育費増加に備えた計画的な支出管理が重要である。
消費支出40万円以上の世帯では、基礎的支出の割合が低下し、教養娯楽費や教育費など選択的支出の割合が高くなる特徴がある。この層では、選択的支出の管理と将来に向けた資産形成の両立がポイントとなる。
いずれの世帯でも、自身の消費支出の水準に合わせて優先順位をつけ、計画的な支出管理を行うことが、効率的な家計運営につながるといえる。
- Q消費支出の金額はどのように計算すればよいですか?
- A
1か月の支出から税金や社会保険料などの非消費支出を除いた金額が消費支出です。毎月の家計簿をつけることで、自身の消費支出の水準がわかります。
- Q世帯人員が増えると、どの支出項目が増えやすいですか?
- A
食費、光熱・水道費が比例的に増加する傾向にあります。一方で、住居費や交通・通信費は世帯人員が増えても極端には増加しにくい費目です。
- Q教育費の支出が今後増える可能性がある場合、どのように備えればよいですか?
- A
まずは毎月の消費支出から、教育費の平均的な支出額を把握します。そのうえで、今後必要となる教育費を見積もり、計画的な積立を始めることをお勧めします。
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