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家計管理に不安を感じている方は多いはずである。とくに単身世帯では、すべての支出を自身で管理する必要があり、適切な配分に悩むことがある。
この記事では、北海道の単身世帯における家計支出のデータをもとに、年代別の特徴とポイントを解説する。これにより、自身の家計管理の参考にすることができる。
家計収支の項目と見方
家計収支を理解するうえで、基本的な項目の意味を押さえておく必要がある。
専門家のワンポイントアドバイス:
住居費は手取り収入の30%以内に抑えることをお勧めします。
おもな項目の意味
勤め先収入は会社からの給与収入を表している。収入から税金や社会保険料などの非消費支出を除いた金額が、実際に使える金額となる。消費支出は、食費や住居費など日々の生活にかかる費用である。
表の基本情報
家計収支の表は、すべて一か月あたりの平均金額を示している。年齢区分は5歳ごとに分けられており、自身の年代に近い数値を参考にすることができる。また、帰属家賃は持ち家を所有した場合の家賃相当額を示しており、参考値として掲載している。
50歳未満の単身世帯における収入と支出の特徴
20代後半から40代の単身世帯では、収入が上昇し、支出の使い道も多様化する時期である。まずは、この年代の収支状況を確認してみよう。
収支項目 | 30歳未満 | 30~34 | 35~39 | 40~44 | 45~49 |
---|---|---|---|---|---|
勤め先収入 | 263,558 | 259,392 | 303,158 | 274,336 | 269,788 |
可処分所得 | 221,264 | 211,258 | 245,680 | 248,168 | 220,900 |
消費支出計 | 160,652 | 181,158 | 166,499 | 169,799 | 137,157 |
食料 | 34,496 | 36,348 | 42,339 | 37,387 | 37,330 |
住居 | 31,322 | 33,011 | 15,440 | 30,534 | 19,937 |
光熱・水道 | 9,147 | 10,905 | 12,467 | 12,376 | 8,480 |
家具・家事用品 | 2,478 | 5,925 | 5,023 | 6,100 | 6,713 |
被服・履物 | 4,497 | 5,380 | 4,932 | 3,614 | 6,413 |
保健医療 | 3,258 | 3,615 | 5,592 | 5,032 | 2,487 |
交通・通信 | 31,508 | 25,260 | 29,191 | 25,317 | 20,147 |
教育 | 24 | 514 | – | – | – |
教養娯楽 | 26,505 | 33,580 | 22,571 | 14,399 | 17,007 |
その他 | 17,416 | 26,622 | 28,945 | 35,040 | 18,642 |
非消費支出 | 48,496 | 52,815 | 65,045 | 52,077 | 56,121 |
帰属家賃(参考) | 599 | 18,554 | 31,295 | 14,614 | 6,871 |
収入面の特徴 収入は35~39歳でピークを迎え、月額30万円を超える水準となっている。収入が増加する時期には、将来に向けた貯蓄や資産形成を意識することが重要である。非消費支出は収入に応じて増加するため、手取り額の管理も必要となる。
住居費は30代前半までが比較的高く、その後減少傾向にある。基礎的な支出である食費、光熱・水道費は年代を通じて安定している。一方で、教養娯楽費は年齢とともに減少し、交通・通信費は30歳未満で最も高くなっている。
専門家のワンポイントアドバイス:
40代のうちに固定費を見直し、毎月2万円程度の余裕を作ることが望ましいです。
30歳未満(20代)の家計管理のポイントと注意点
20代の勤め先収入は平均26万円ほどであり、可処分所得は22万円程度となっている。給与の約2割が税金や社会保険料として差し引かれることを理解し、実際に使える金額を把握することが大切である。
消費支出は16万円程度で、そのうち住居費と交通・通信費が合わせて月6万円以上を占めている。固定費の割合が高いため、とくに家賃は手取り収入の3割(6.6万円)を超えないよう注意が必要である。食費は月3.4万円ほどだが、自炊の習慣をつけることで、さらに抑えることも可能である。
教養娯楽費は2.6万円と比較的高めであり、この部分は状況に応じて調整できる余地がある。また、貯蓄は可処分所得から消費支出を引いた6万円程度を上限として、現実的な金額から始めることが望ましい。
30代の家計管理のポイントと注意点
30代の収入は35~39歳でピークとなり、月額30.3万円に達する。収入が20代と比べて約4万円増加するが、非消費支出も6.5万円と1.5万円ほど増えるため、収支のバランスを意識することが重要である。
消費支出は16~18万円の範囲で推移しており、とくに教養娯楽費は3.3万円と20代より増加傾向にある。一方で住居費は年齢とともに減少し、35~39歳では1.5万円まで下がる。これは持ち家の増加が影響していると考えられ、帰属家賃が3.1万円まで上昇することからもわかる。
収入増加分のうち、少なくとも半分(2万円程度)は将来に向けた準備にまわすことを目安とするとよい。
40代の家計管理のポイントと注意点
40代の勤め先収入は27万円前後で推移し、35~39歳のピーク時と比べて3万円ほど減少する。可処分所得は22~24万円台を維持しているが、50代以降の収入減少を見据えた支出管理が必要である。
消費支出は13~16万円台で、30代後半と比べて2~3万円減少している。とくに教養娯楽費は1.4~1.7万円と大きく減り、その分、その他の消費支出が3.5万円程度まで増加している。
固定費では住居費が2~3万円台で、通信・交通費が2~2.5万円台となっている。これらの見直しで月1万円程度の削減は可能である。また、保健医療費は0.2~0.5万円と少額だが、今後の増加に備えた計画が必要となる。
50歳以上の単身世帯における収入と支出の特徴
50代以降の単身世帯では、収入が徐々に減少し、支出内容も変化していく時期である。現役世代の最終段階における収支状況を確認していこう。
収支項目 | 50~54 | 55~59 | 60~64 | 65~69 |
---|---|---|---|---|
勤め先収入 | 234,515 | 206,674 | 177,229 | 143,458 |
可処分所得 | 201,293 | 180,994 | 167,595 | 210,540 |
消費支出計 | 159,284 | 159,631 | 125,137 | 163,571 |
食料 | 22,100 | 60,759 | 29,895 | 31,255 |
住居 | 38,020 | 22,831 | 5,760 | 20,130 |
光熱・水道 | 12,299 | 9,258 | 10,619 | 12,977 |
家具・家事用品 | 2,196 | 1,502 | 3,090 | 2,151 |
被服・履物 | 6,471 | 6,453 | 10,404 | 1,473 |
保健医療 | 1,836 | 10,552 | 4,779 | 13,914 |
交通・通信 | 28,915 | 20,704 | 17,874 | 19,231 |
教育 | – | – | – | – |
教養娯楽 | 11,374 | 9,084 | 14,206 | 8,536 |
その他 | 36,073 | 18,487 | 28,510 | 53,903 |
非消費支出 | 47,853 | 33,977 | 35,429 | 25,512 |
帰属家賃(参考) | 8,492 | 13,740 | 35,177 | 25,835 |
専門家のワンポイントアドバイス:
65歳以降の医療費増加に備え、50代で毎月3万円程度の貯蓄をしておくと安心です。
50代の家計管理のポイントと注意点
50代の勤め先収入は40代後半と比べて大きく変化し、50代前半で23.4万円、後半では20.6万円まで減少する。収入が5年間で約3万円減少することを踏まえ、支出の見直しを計画的に進める必要がある。
消費支出は15.9万円前後で推移しているが、内訳に特徴的な変化が見られる。食費は50代前半の2.2万円から後半には6万円超まで急増する一方、住居費は3.8万円から2.2万円に減少している。交通・通信費は2.8万円から2万円へと縮小傾向にあり、見直しの余地が残されている。
非消費支出は4.7万円から3.3万円へと減少するため、手取り額の変化にも注意が必要である。
60代前半の家計管理のポイントと注意点
60~64歳では勤め先収入が17.7万円となり、50代後半から約3万円の減少となる。収入減少の一方で、保健医療費や被服費が増加する傾向にあるため、支出の優先順位を見直す必要がある。
消費支出は12.5万円まで減少するが、被服費は1万円超と50代より増加している。一方、住居費は0.5万円台まで大きく減少し、これは帰属家賃が3.5万円に増加していることから、持ち家の比率が高まっていることがわかる。
教養娯楽費は1.4万円と50代より増加しており、時間的なゆとりが生まれる時期の特徴が表れている。
65歳以降の家計管理のポイントと注意点
65~69歳では勤め先収入が14.3万円まで減少する一方、可処分所得は21万円と増加している。収入構造の変化に伴い、月々の収支管理方法を見直す必要がある。
消費支出は16.3万円と60代前半より増加し、とくにその他の消費支出が5.3万円と大きく増加している。また、保健医療費は1.3万円台まで上昇しており、医療費の管理がより重要になってくる。
食費は3.1万円程度で安定しているが、住居費は2万円台に戻っている。光熱・水道費は1.2万円台で推移しており、基礎的な支出の管理が重要となる。
まとめ:年代に応じた家計管理のポイント
家計収支は年代によって大きく変化することがわかる。20~30代は収入の使い道、40~50代は将来への備え、60代以降は収入構造の変化への対応が重要となる。
収入面では、35~39歳でピークとなる30.3万円から、65~69歳では14.3万円まで減少していく。一方で、非消費支出は収入に応じて変動するため、各年代で実際に使える金額を把握することが大切である。
支出面では、20代は住居費と交通・通信費で6万円以上を占める一方、50代後半になると食費が6万円を超えるなど、年代によって支出構造が大きく異なる。また、保健医療費は65~69歳で1.3万円台まで増加するなど、年齢に応じた支出の変化も見られる。
こうした変化を理解したうえで、自身の年代における収支の特徴を把握し、将来を見据えた家計管理を心がけることが望ましい。
- Q単身世帯の食費の平均はいくらですか?
- A
年齢によって異なりますが、20~40代では3~4万円、50代後半で最も高く6万円程度です。
- Q収入のピークはいつ頃ですか?
- A
北海道の単身世帯では35~39歳で月収30.3万円とピークを迎えます。
- Q年齢とともに増加する支出は何ですか?
- A
保健医療費が顕著で、65~69歳では1.3万円台まで増加します。
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