【冬季】寒さに備えた暖房の上手な使い方:電気代を抑えて快適に冬を乗り切る

貯金箱と電卓、コインの画像。賢い節約術と効果的な家計管理の概念を表現。 マネー
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寒い冬を快適に過ごしたいものの、暖房を沢山使うと電気代がかさんで家計に響いてしまう。そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。暖房費を節約しながら、適度な暖かさを確保することは大切です。この記事では、暖房の賢い使い方と、電気代を抑える具体的な方法を紹介します。寒い季節を快適に過ごすためのヒントをお届けします。

暖房器具の種類と省エネ方法

暖房器具には主にエアコン、ガス・石油ファンヒーター、電気カーペットや床暖房、電気こたつなどがあります。用途に合わせて適切に使い分けることが、暖房費の節約と快適性の両立につながります。

省エネ性能の高いエアコンの室内機と室外機を示す画像。適切な使用方法と合わせて、電気代節約に効果的。
∟ 写真(クレジット):PACUTASO/すしぱく(2024年5月20日)

エアコンの活用方法と節約

エアコンは家庭の電力消費の中でも大きな割合を占める暖房器具です。しかし、使い方次第で省エネ効果は大きく変わってきます。快適さとコストパフォーマンスを両立させる上手な活用方法を紹介します。

エアコンの活用方法・使い分け

エアコンを省エネ運転するためには、常に適切な温度設定を心がけましょう。一般的に暖房時の室温は20℃前後が快適とされています。設定温度を21℃から20℃に1度下げるだけでも、大きな節約効果が期待できます。

不在時や睡眠時には、こまめにエアコンの運転を止めるようにしましょう。部屋が暖まってくれば、すぐに温度は下がりません。就寝15分前や外出直前にエアコンをオフにすれば、無駄な消費を防げます。タイマー機能を活用するのも賢い方法です。

さらに、カーテンの活用も省エネのカギとなります。厚手の遮熱カーテンを利用し、日中の日射熱を遮断することで、冷暖房負荷を軽減できます。併せて扇風機で室内の空気を循環させれば、設定温度をもう少し低めに保っても快適に過ごせます。

このようにエアコンの使い方一つ一つを工夫することで、ムダを排除しつつ、暖かさとコストパフォーマンスを両立できるのです。

エアコンの節約効果

エアコンの設定温度を1度下げるだけでも、確実に省エネ効果が期待できます。たとえば、外気温が6度の日に、設定を21度から20度に下げるだけで、1年を通して53kWh以上の電力消費を抑えられます。CO2排出量も25kg減らせ、約1,650円の電気代節約になります。

また、寝る前や外出時には意識的にエアコンの運転を止めることをおすすめします。就寝中や不在時に8時間つけっぱなしは無駄が多いものです。1日の運転時間を1時間短縮するだけで、年間で40kWh以上の電力を節約でき、電気代にして約1,260円の大幅な節約につながります。

このように、小さな気づかいから大きな省エネが生まれます。エアコンの効率的な運転を心がけることで、暖かさとコスパを両立できるのです。

エアコンのメンテナンス

エアコンの性能を維持し、省エネを実現するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。

フィルターが目詰まりしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合を比べると、年間で電気31.95kWhの省エネ、原油換算8.05L、CO2削減量15.6kg、約990円の節約になります。

内部のクリーニングも専門業者に依頼すると、キレイな状態が保たれて効率的に運転できます。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)

ガス・石油ファンヒーター

ストーブやファンヒーターといった燃料式の暖房器具は、電気よりもランニングコストが抑えられる利点があります。しかし、無駄な消費は避けたいものです。適切な温度設定と、使用シーンに合わせた運転を心がけましょう。

ガス・石油ファンヒータの活用方法・使い分け

燃料式の暖房器具は部分暖房に適しています。寝室やリビングなど、長時間過ごす場所に設置して効率よく活用しましょう。暖房時の目安室温は20℃前後が快適です。この設定温度を21℃から20℃に1度下げるだけで、確実に省エネにつながります。

また、不在時や就寝時には、こまめに消し忘れに気をつけましょう。在室時間の15分前に切れば、あまり室温が下がる前に消灯できます。着る物を調整して、できるだけ低めの設定温度で過ごすのがコツです。

ガス・石油ファンヒータの節約効果

ガスファンヒーターの場合、設定温度を21℃から20℃に下げると、年間で8.15m3のガス節約、約1,320円の電気代節約になります。 石油ファンヒーターなら、温度を1度下げるだけで、年間で灯油10リットル以上の省エネ、電気代にして約880円のおトクが期待できます。

さらに、ガス・石油どちらのストーブでも、1日1時間の運転を控えるだけで大きな節約効果があります。ガスなら年間で約2,150円石油なら約1,470円の電気代節約につながるのです。

ガス・石油ファンヒータのメンテナンス

燃料式の暖房器具も、定期的なフィルターの手入れが欠かせません。こまめに掃除機でホコリを取り除き、目詰りを防ぎましょう。燃焼効率が保たれ、無駄な燃料消費を抑えられます。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)

足元からぽかぽか、電気カーペットと床暖房の上手な活用術

寒い季節こそ、足元から体を暖めることが快適な秘訣です。電気カーペットや床暖房を賢く使えば、部分暖房ながらも十分な暖かさが得られます。

電気カーペットの活用方法・使い分け

電気カーペットは部屋の広さに合わせて適切な大きさを選びましょう。3畳用と2畳用では消費電力が大きく変わります。設定温度は無理なく「中」程度で十分です。上に毛布を掛ければ、さらに低く設定することもできるでしょう。

一方の床暖房は、ある程度広い空間を均一に暖められるのが特長です。運転を止めてもしばらく暖かさが持続するので、就寝時間の30分前にはオフを心がけましょう。タイマー機能が便利でしょう。

電気カーペットのガス・石油ファンヒータの節約効果

3畳用の電気カーペットを2畳用に小さくすれば、年間で約90kWhの省エネ、電気代にして約2,790円の節約になります。設定温度を「強」から「中」に下げるだけでも、約185kWhの省エネ、5,770円の大幅な節約が可能です。

床暖房は運転時間に気をつける必要があります。オーバーランを防げば、確実に電気代の節約につながります。

電気カーペットのガス・石油ファンヒータのメンテナンス

電気カーペットは目に見えないホコリがたまりやすい器具です。こまめに掃除機がけをして、手入れを怠らないようにしましょう。そうすれば故障を防げ、長く安全に使えます。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)

家族みんなでゆったり、電気こたつの省エネ使い方

寒い日が続く冬こそ、家族みんなでゆったりとくつろげる電気こたつが重宝します。しかし、過剰な使用は家計に響きます。適切な温度設定と工夫次第で、確実に省エネが可能です。

電気こたつの活用方法・使い分け

電気こたつは足元から体を暖められる部分暖房器具です。上半身の冷えを防ぐため、カーディガンなどの上着を着用するのがおすすめです。併せて、電気ストーブなど別の暖房器具と組み合わせて使うと良いでしょう。

設定温度は無理なく「中」程度が適温です。こたつ布団には、上掛けと敷布団を合わせて使うと、さらに保温効果が高まります。

電気こたつのガス・石油ファンヒータの節約効果

電気こたつの設定温度を「強」から「中」に下げるだけで、年間約49kWhの省エネ、約1,520円の電気代節約になります。また、こたつ布団にあわせて上掛けと敷布団を使えば、年間約32kWhの省エネ、約1,010円の削減が期待できます。

電気こたつのガス・石油ファンヒータのメンテナンス

電気こたつも他の器具同様、こまめな掃除が必要不可欠です。放置するとホコリがたまり、故障の原因にもなりかねません。定期的に手入れをして、長くきれいな状態をキープしましょう。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)


冬は、夏と比べると、暖房・冷蔵庫・照明の割合が多いことは同じですが、給湯の割合も12.6%と見逃せない数値になっています。

<資料> 家庭における電気の使用割合(冬季の1日間)

※出典:経済産業省「冬季の省エネ・節電メニュー」(調査:2024年5月20日)

冷蔵庫・照明・給湯の節約方法

家庭のエネルギー消費の中で大きな割合を占める冷蔵庫、照明、給湯。これらの上手な節約方法を知ることで、家計に優しく、かつ環境にも配慮した生活を送ることができます。ここでは、それぞれの分野における具体的な省エネ術を紹介します。日々の小さな工夫の積み重ねが、大きな効果につながります。

冷蔵庫の節約方法と節約効果

冷蔵庫の節約は、年間通して、効果的です。電気の使用割合が大きいことから、節約を意識した冷蔵庫の使い方を身につけておきましょう。

  1. 【適正な収納量を心がける】
    冷蔵庫に過剰に食材を詰め込むと、冷気の循環が阻害され電力消費が増えてしまいます。中身を半分程度に減らすことで、年間で電気代を約1,360円節約できます。
  2. 【無駄な開閉を控える】
    開け閉めの回数が多いと、外気の出入りにより冷気が逃げ、電力消費が増加します。開閉回数を半分に抑えるだけで、年間で約320円の電気代を節約できます。
  3. 【開け時間を短縮する】
    ドアを開けている時間が長いと、多くの冷気が逃げてしまいます。開け時間を10秒以内に抑えることで、20秒開けた場合に比べ約190円の電気代を節約できます。
  4. 【適正な温度設定】
    設定温度を「強」から「中」に変更するだけで、年間で約1,910円の電気代節約につながります。過剰な冷却は避け、適正な温度に設定しましょう。
  5. 【適切な設置場所を選ぶ】
    冷蔵庫を壁から適切な間隔を空けて設置することで、熱がこもらず電力消費を抑えられます。壁から離すことで、年間約1,400円の電気代節約が見込めます。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約

このように、冷蔵庫の使い方を工夫するだけで、家庭の電気代を大幅に節約できます。環境にも家計にも優しい賢い利用方法を実践しましょう。

照明の選び方と節約方法

家庭の電力消費において、照明も大きな割合を占めています。そこで、照明に関する省エネ対策として、以下の取り組みが効果的です。

  1. 【省エネ型照明への切り替え】
    従来の白熱電球から電球形蛍光ランプに変更すると、年間約2,600円の電気代節約になります。さらに、電球形LEDランプに切り替えれば、約2,790円の節約が見込めます。
  2. 【照明の使用時間を短縮】
    蛍光ランプの点灯時間を1日1時間短縮するだけで、年間約140円の電気代節約につながります。白熱電球の場合は約610円、LEDランプでも約100円の節約効果があります。
  3. 【間引き点灯の実践】
    照明を常時全て点灯するのではなく、使用する場所の灯りだけをつける「間引き点灯」を心がけましょう。不要な個所の消灯は大きな節約につながります。
  4. 【人感センサーの活用】
    廊下や玄関、トイレなど人の出入りが多い場所に人感センサー付き照明を設置すると、無駄な点灯を防げます。
  5. 【適正な明るさの保持】
    照明の明るさは、目的に応じた適正な範囲に抑えましょう。過剰な明るさは省エネの妨げとなります。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)

このように、省エネ型の照明器具を選び、使用時間を工夫することで、家庭での大幅な電力節約が期待できます。照明に関する賢い取り組みを実践しましょう。

給湯の使い方と節約効果

冬季は特に、風呂・給湯器は、家庭のエネルギー消費に大きな影響を与えます。風呂・給湯器でも使い方の工夫で省エネを実践しましょう。

  1. 【お湯はためる】
    浴槽に水をためて沸かすよりも、お湯をためる方が省エネになります。お湯をためる際は、必ずフタをして熱が逃げないようにしましょう。
  2. 【間隔をあけずに入浴】
    入浴は間隔をあけずに行うことで、追い焚きによるエネルギー消費を抑えられます。2時間の放置により4.5℃低下した200Lのお湯を1日1回追い焚きする場合、年間で約6,190円の節約になります。
  3. 【シャワーは短く】
    シャワーは不必要に流したままにせず、使用時間を短くすることが大切です。45℃のお湯を流す時間を1分間短縮するだけで、年間約2,070円のガス代を節約できます。さらに、同じ1分間の短縮で、年間約1,140円の水道代も節約できるのです。つまり、シャワーを1分短くすることで、ガスと水道代合わせて年間約3,210円もの節約効果が期待できます。
  4. 【温水洗浄便座の設定見直し】
    温水洗浄便座のフタを閉じる、暖房便座や洗浄水の温度を下げるなどの工夫で、節電効果が期待できます。例えば、便座の設定温度を1段階下げるだけで、年間約820円の節約になります。
  5. 【給湯器の選択】
    ガス給湯器は、エネルギー効率の高いエコジョーズやエコフィールなどの機器に交換することで、大幅な省エネが可能です。従来型に比べ、熱効率が約15%アップします。

※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」(調査:2024年5月20日)
※出典:日本ガス協会「ご家庭でできる省エネ方法」(調査:2024年5月20日)

風呂・給湯器の省エネは、毎日の積み重ねが大きな効果を生みます。無理のない範囲で上手に節約し、経済的でエコな生活を目指しましょう。

光熱費・水道代はどのくらいかかる?

水道光熱費について、ほかの人と比べて、高いのか低いのかも気になるのではないでしょうか。ここでは、単身の勤労者世帯と二人以上の勤労者世帯の、年収階級別の水道光熱費を紹介します。

単身世帯の収入別の光熱費・水道代

一人暮らしなら、税金や社会保険料を除いた可処分所得の5%以内となるよう、光熱費・水道代の節約を目指そう。

<表> 年収階級別 光熱費・水道代(単身世帯)

※出典:総務省「家計調査2023(単身世帯のうち勤労世帯)」(調査:2024年5月20日)

単身世帯の場合、暖房費や光熱費は年収によってそれほど変わらず、月々1万円前後が平均的な支出額となっています。

年収が100万円未満の単身世帯では、月平均約1万500円(年収の5.7%)を光熱費などに費やしています。一方、年収600万円以上の高額所得者でも、月々約1万700円(年収の2.2%)と、金額自体は低所得者とさほど変わりません。

しかし、年収に占める割合で見ると、低所得の単身世帯ほど光熱費の負担が大きくなっています。単身者世帯では1人分の光熱使用量で済むため、絶対額はそれほど変わらないものの、可処分所得に対する比率が高くなるためです。

このように、単身世帯では年収による光熱費の差は小さいものの、低所得世帯にとっては無視できない支出項目です。エアコンの適切な温度設定や、無駄な電気を使わないなどの節約対策を講じることが重要となります。

二人以上世帯の収入別の光熱費・水道代

夫婦世帯や子育て世帯なら、少なくとも可処分所得の10%以内に、できれば7%以内が理想です。

<表> 年収階級別 光熱費・水道代(二人以上世帯)

※出典:総務省「家計調査2023(二人以上世帯のうち勤労世帯)」(調査:2024年5月20日)

二人以上の世帯となると、人数分の光熱費がかかるため、単身世帯に比べて支出額は高くなります。平均的な世帯では月々2万円から2万5千円程度を光熱費や水道代として支払っています。

低年収の200万円未満世帯では月平均約2万円(可処分所得の12.4%)、一方で高年収の1500万円以上世帯でも月平均約2万7千円(可処分所得の2.6%)と、絶対額では高所得世帯の方が光熱費は高くなる傾向にあります。

ただし、可処分所得に占める割合で見ると、高年収世帯の方が光熱費の負担は軽くなっています。200万円未満世帯では可処分所得の12%以上を光熱費に費やしていますが、1500万円以上世帯では2.6%と低い水準です。

二人以上世帯では、世帯人数が多いため、単身世帯に比べて光熱使用量が増える分、支出額も高くなります。しかし、可処分所得が高い世帯ほど、光熱費の負担は相対的に軽くなる傾向があります。

このように、世帯人数と年収によって、光熱費への対処の仕方は変わってきます。低所得世帯では徹底した節約が必要ですが、中間所得世帯でも一定の節約対策は求められます。適切な暖房の使い方や無駄をなくすことで、快適性を維持しつつ光熱費を抑えることができるでしょう。

まとめ

適切な暖房設定と機器の賢い使い方で、暖房費を大幅に節約できることがわかりました。特に単身世帯は年収の5%程度、二人以上世帯でも10%以内に抑えるのが理想的です。毎日の小さな工夫の積み重ねが、快適な生活と家計の助けになります。エアコンのメンテナンスも重要なポイントです。データを参考に、自分の暮らしに合わせた節約対策を見直してみましょう。

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