兵庫県の消費者物価指数を分析すると、2020年1月から2025年1月までの約5年間で、多くの商品・サービスの価格が大幅に上昇していることが明らかになった。総合指数は10.2%上昇し、特に生鮮果物は46.3%、生鮮野菜は48.4%と食料品の上昇が顕著である。日常生活に欠かせない品目の価格が軒並み上昇する中、家計への影響と対策を考える必要がある。
この記事では、兵庫県の消費者物価指数を詳細に分析し、各分野の価格動向を明らかにする。5年間の推移から見える特徴的な傾向や、家計への影響が大きい品目を中心に解説していく。
物価上昇が著しいランキング:トップ10
兵庫県の消費者物価指数データに基づき、2020年から2022年(ウクライナ侵攻前)の最も低い数値と、2025年1月の最新データを比較し、物価上昇が特に著しい品目をランキング形式で紹介する。
順位 | 品目 | 2020-2022年最低値 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 生鮮野菜 | 98.2 | 145.7 | 48.4 |
2 | 生鮮果物 | 101.7 | 146.3 | 43.9 |
3 | 生鮮魚介 | 95.9 | 131.2 | 36.8 |
4 | 魚介類 | 97.8 | 131.8 | 34.8 |
5 | 菓子類 | 99.5 | 127.3 | 27.9 |
6 | 設備修繕・維持 | 99.8 | 125.0 | 25.3 |
7 | 食料 | 99.8 | 124.3 | 24.5 |
8 | 乳卵類 | 97.7 | 120.1 | 22.9 |
9 | 調理食品 | 99.4 | 120.9 | 21.6 |
10 | 被服関連サービス | 98.9 | 119.3 | 20.6 |
物価上昇ランキングの上位は食料品が多くを占めており、特に「生鮮野菜」が48.4%と突出した上昇率を示している。 2020年の98.2から2025年には145.7まで上昇しており、わずか5年間で約1.5倍に価格が高騰している。
2位の「生鮮果物」も43.9%の上昇率で、生鮮食料品の価格上昇が顕著である。3位「生鮮魚介」(36.8%)、4位「魚介類」(34.8%)と続き、上位4品目はすべて食料品が占めている。5位には「菓子類」(27.9%)、6位には「設備修繕・維持」(25.3%)、7位に「食料」全体(24.5%)がランクインしている。
特徴的なのは上位10品目のうち7品目が食料品であり、しかも生鮮食品が多いことである。野菜・果物・魚・肉といった基礎的な食材の価格が大幅に上昇しており、日々の食費負担が増加している。これらの上昇は気候変動による生産量の減少や、円安による輸入コストの上昇、資材・肥料・飼料価格の高騰など複合的な要因が背景にある。
食料
兵庫県における食料関連の消費者物価指数を分析すると、多くの食品で大幅な価格上昇が見られる。
魚介類・肉類
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
魚介類 | 99.0 | 97.8 | 109.8 | 122.1 | 124.0 | 131.8 | 33.1 |
生鮮魚介 | 98.7 | 95.9 | 114.1 | 129.9 | 121.3 | 131.2 | 32.9 |
肉類 | 96.8 | 102.7 | 106.2 | 110.1 | 112.6 | 117.6 | 21.5 |
魚介類の価格上昇は著しく、「魚介類」全体で33.1%の上昇となっている。 特に「生鮮魚介」は32.9%上昇しており、2021年の95.9から2023年には129.9へと急上昇している。これは漁獲量の減少や燃料費の高騰が影響していると考えられる。
「肉類」も21.5%上昇しており、2020年から2025年にかけて持続的に上昇している。食肉の価格上昇は飼料価格の上昇や流通コストの増加が要因と考えられる。たんぱく源である魚や肉の価格上昇は、家計の食費負担を大きく増加させている。
乳卵類・野菜・果物
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乳卵類 | 101.3 | 98.6 | 97.7 | 106.9 | 122.5 | 120.1 | 18.6 |
生鮮野菜 | 98.2 | 98.3 | 101.8 | 100.9 | 111.1 | 145.7 | 48.4 |
生鮮果物 | 107.6 | 101.7 | 113.6 | 114.8 | 125.2 | 146.3 | 35.9 |
生鮮食品の価格上昇が顕著であり、特に「生鮮野菜」は48.4%と約1.5倍に上昇している。 特に2024年から2025年にかけての急上昇が著しく、111.1から145.7へと30%以上も上昇している。天候不順による収穫量の減少や生産コストの上昇が影響していると考えられる。
「生鮮果物」も35.9%の大幅上昇となっており、特に2024年から2025年にかけての上昇が目立つ。2021年の101.7から2025年には146.3まで上昇している。「乳卵類」は18.6%の上昇で、2022年から2024年にかけて大きく上昇した後、やや落ち着きを見せている。
これらの生鮮食品の価格上昇は、健康的な食生活の維持を困難にし、家計への負担を増大させている。特に低所得世帯や年金生活者にとって、生鮮食品の値上がりは深刻な問題となっている。
調理食品・飲料・外食
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
油脂・調味料 | 101.6 | 99.5 | 103.7 | 110.9 | 115.8 | 119.8 | 17.9 |
菓子類 | 99.5 | 100.2 | 102.0 | 108.7 | 117.9 | 127.3 | 27.9 |
調理食品 | 100.2 | 99.4 | 102.4 | 110.1 | 117.3 | 120.9 | 20.7 |
飲料 | 102.7 | 101.0 | 102.7 | 108.8 | 113.4 | 120.8 | 17.6 |
酒類 | 101.0 | 100.5 | 100.8 | 106.1 | 108.6 | 109.8 | 8.7 |
加工食品や飲料の価格も全般的に上昇しており、「菓子類」は27.9%の上昇率となっている。 原材料や包装資材の値上がりが大きく影響していると考えられる。特に2022年から2025年にかけての上昇が顕著である。
「調理食品」も20.7%上昇しており、惣菜やレトルト食品などの価格上昇が進んでいる。「飲料」は17.6%上昇し、「油脂・調味料」も17.9%上昇している。調理の基本となる材料の価格上昇は、家庭での食事作りのコストを押し上げている。
比較的上昇率が低いのは「酒類」で8.7%となっており、他の食料品に比べると抑制されている。これは酒税の改正や競争の激化による価格抑制効果と考えられるが、それでも物価全体の上昇率を下回ることはなく、食料品全般で値上がり傾向が続いている。
住居
兵庫県における住居関連の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの物価上昇の実態が見えてくる。
設備修繕費の高騰が住居費を押し上げている
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
住居 | 100.1 | 100.0 | 98.7 | 101.2 | 101.9 | 103.1 | 3.0 |
設備修繕・維持 | 100.6 | 100.4 | 99.8 | 116.8 | 119.8 | 125.0 | 24.3 |
住居費用の中で突出した上昇を示しているのは「設備修繕・維持」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で24.3%上昇している。 これは住居関連の他の項目と比較して約8倍の上昇率であり、給湯器やシステムキッチンなどの設備費用、火災・地震保険料の値上げが大きく影響している。
特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著で、99.8から116.8へと急上昇している。建設資材価格の高騰と人手不足による工事費の上昇が主な要因と考えられる。
住居全体の指数は同期間で3.0%の上昇にとどまっているが、これは家賃の上昇が比較的抑えられていることが影響している。しかし、設備修繕・維持費の大幅な上昇は、住宅の老朽化対策や修繕を迫られる世帯にとって大きな負担となっている。

専門家のワンポイントアドバイス:
住居費の中で設備修繕・維持費が大きく上昇していることを考えると、住宅の定期的なメンテナンスが重要です。小さな修繕を先延ばしにすると、後で大きな出費になる可能性があります。修繕積立金の見直しや、年間のメンテナンス予算を家計に組み込むことをお勧めします。
水道光熱費
兵庫県における水道光熱費の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの間に大きな変動があったことがわかる。
エネルギー価格の高騰が家計を直撃
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
光熱・水道 | 100.8 | 95.1 | 105.7 | 121.7 | 100.6 | 115.3 | 14.4 |
上下水道料 | 97.4 | 100.9 | 100.9 | 100.9 | 100.9 | 109.9 | 12.8 |
水道光熱費全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で14.4%の上昇を示している。 特に2022年から2023年にかけて大きく上昇し、105.7から121.7ポイントまで上昇した後、2024年に一旦下落したものの、2025年には再び上昇に転じている。この変動はウクライナ危機などによる国際エネルギー価格の高騰や為替変動の影響が大きいと考えられる。
一方、「上下水道料」は5年間で12.8%上昇しており、特に2024年から2025年にかけての上昇が目立つ。これはインフラ設備の老朽化対策やコスト増加に伴う料金改定の影響と考えられる。
エネルギー価格の上昇は、特に寒冷期における暖房費の増加など、家計への直接的な影響が大きい。また、電気・ガス料金の上昇は、あらゆる生活場面でのコスト増につながるため、省エネ対策の重要性が高まっている。
家具・家事用品
兵庫県における家具・家事用品の消費者物価指数を分析すると、継続的な上昇傾向が見られる。
家庭用耐久財と家事雑貨の価格が大幅上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
家具・家事用品 | 101.5 | 99.6 | 99.0 | 107.6 | 113.3 | 116.2 | 14.5 |
家庭用耐久財 | 102.7 | 97.9 | 97.4 | 110.4 | 110.4 | 114.9 | 11.9 |
家事雑貨 | 99.9 | 100.2 | 101.2 | 110.4 | 116.4 | 118.8 | 18.9 |
家具・家事用品全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で14.5%と大幅に上昇している。 特に「家事雑貨」は18.9%の上昇率を示しており、食器や鍋、フライパン、電球などの日用品の大幅な値上がりが見られる。2022年から2024年にかけての上昇が特に顕著である。
「家庭用耐久財」も11.9%上昇しており、電子レンジや電気冷蔵庫、エアコンなどの家電製品の価格上昇が著しい。2022年から2023年にかけて大きく上昇した後、比較的緩やかな上昇に転じている。
これらの価格上昇は、原材料費の高騰や半導体不足、サプライチェーンの混乱、円安による輸入コストの増加など、複合的な要因が背景にあると考えられる。家電製品や日用品の値上がりは、日常生活を維持するための基本的なコストを押し上げており、特に新生活を始める世帯や買い替えが必要な世帯にとって大きな負担となっている。
被服及び履物
兵庫県における被服・履物の消費者物価指数を分析すると、全体的に上昇傾向が見られる中、一部品目では比較的抑制された動きも見られる。
被服関連サービスの大幅値上げ、下着類も上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
被服及び履物 | 97.4 | 97.4 | 101.5 | 103.8 | 108.5 | 109.8 | 12.7 |
衣料 | 95.8 | 98.9 | 101.6 | 103.6 | 108.9 | 110.0 | 14.8 |
シャツ・セーター・下着類 | 97.3 | 93.7 | 104.0 | 104.5 | 107.3 | 110.1 | 13.2 |
下着類 | 101.0 | 98.3 | 100.2 | 102.8 | 107.6 | 108.7 | 7.6 |
履物類 | 101.6 | 98.7 | 99.1 | 102.3 | 106.8 | 106.4 | 4.7 |
被服関連サービス | 98.9 | 100.2 | 103.0 | 111.1 | 117.4 | 119.3 | 20.6 |
被服及び履物全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で12.7%上昇している。 注目すべきは「被服関連サービス」の20.6%という大幅な上昇率で、クリーニング代などのサービス料金が著しく上昇している。特に2022年から2024年にかけての上昇が顕著である。
「衣料」は14.8%、「シャツ・セーター・下着類」は13.2%、「下着類」は7.6%とそれぞれ上昇しており、特に2021年から2022年、そして2023年から2024年にかけての上昇が目立つ。これは原材料価格の高騰や人件費の上昇、円安による輸入コストの増加などが影響していると考えられる。
一方、「履物類」は4.7%と比較的抑制された上昇率となっており、他の被服項目に比べると緩やかな上昇にとどまっている。これは海外からの安価な製品の流入や、オンラインショッピングの普及による価格競争の激化が要因と考えられる。
被服費は家計の中では調整しやすい費目であるため、物価上昇に伴い消費者の購買行動が変化している可能性がある。特に高級品よりも実用的で長く使える商品への需要シフトが見られる。
保健医療
兵庫県における保健医療の消費者物価指数を分析すると、緩やかな上昇傾向が見られる。
医薬品・健康保持摂取品の価格上昇、全体としても上昇傾向
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
保健医療 | 100.1 | 99.2 | 99.5 | 99.9 | 101.5 | 102.7 | 2.6 |
医薬品・健康保持用摂取品 | 99.7 | 99.7 | 100.6 | 104.1 | 109.1 | 110.9 | 11.2 |
保健医療用品・器具 | 99.2 | 96.9 | 99.5 | 100.2 | 104.2 | 105.5 | 6.3 |
保健医療分野全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で2.6%と比較的緩やかな上昇率を示している。 2020年から2023年にかけては横ばい傾向が見られたものの、2023年以降は上昇に転じている。
「医薬品・健康保持用摂取品」は11.2%上昇しており、総合かぜ薬やドリンク剤、健康食品などの価格上昇が目立つ。特に2022年から2024年にかけての上昇が顕著である。
「保健医療用品・器具」も6.3%上昇しており、紙おむつやマスク、眼鏡などの価格が上昇している。こちらも2023年以降の上昇が著しい。
保健医療分野の価格上昇は、原材料費の高騰や人件費の上昇が主な要因と考えられる。特に高齢化社会の進行に伴い需要が増加している商品の価格上昇が目立つ。一方で、診療報酬の改定による抑制効果もあり、全体としては他の分野に比べて上昇率は抑えられている。
交通・通信
兵庫県における交通・通信の消費者物価指数を分析すると、通信料の大幅な下落と交通費の上昇という対照的な動きが見られる。
通信料の大幅下落とガソリン価格の高騰
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
交通・通信 | 100.8 | 99.8 | 90.5 | 92.0 | 94.9 | 96.4 | -4.4 |
交通 | 99.5 | 99.8 | 99.9 | 100.3 | 104.0 | 104.4 | 4.9 |
自動車等関係費 | 101.9 | 99.3 | 102.6 | 102.4 | 105.9 | 108.9 | 6.9 |
通信 | 99.8 | 100.5 | 66.5 | 71.2 | 72.8 | 72.7 | -27.2 |
交通・通信分野で最も注目すべき動きは「通信」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で27.2%という大幅な下落を記録している。 特に2021年から2022年にかけての下落が顕著で、100.5から66.5へと約34%の急落となっている。これは政府による携帯電話料金引き下げ政策の影響が大きく現れたものである。
一方で「交通」は4.9%の上昇となっており、特に「自動車等関係費」は6.9%上昇している。これは国際的な原油価格の高騰やタクシー運賃の値上げなどが影響していると考えられる。2021年から2022年にかけての上昇が目立ち、2022年以降も上昇傾向が続いている。
「交通・通信」全体としては4.4%の減少となっており、通信料の大幅下落が交通費の上昇を上回った結果となっている。この対照的な動きは、政策的介入の有無による影響の違いを示している。

専門家のワンポイントアドバイス:
通信費の大幅な下落は家計にとって朗報です。特に携帯電話料金が27.2%も下がっていますので、まだ料金プランを見直していない方は、現在の契約を確認してみましょう。また、固定費の削減は効果が長期的に続くため、光熱費や保険料なども定期的に見直すことで、物価上昇の影響を緩和できます。
教育費
兵庫県における教育関連の消費者物価指数を分析すると、授業料と補習教育費に異なる動きが見られる。
補習教育費の上昇が目立つ
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教育 | 102.7 | 99.0 | 98.7 | 97.6 | 98.2 | 98.5 | -4.1 |
授業料等 | 104.0 | 98.6 | 96.5 | 94.8 | 94.5 | 94.1 | -9.5 |
補習教育 | 99.5 | 99.8 | 104.2 | 104.2 | 107.3 | 109.4 | 9.9 |
教育費関連の特徴的な動きとしては、「授業料等」が2020年1月から2025年1月までの5年間で9.5%下落している一方、「補習教育」費は9.9%上昇している点が挙げられる。 これは高等教育の無償化政策や教育費負担軽減策の影響と、学習塾や習い事などの需要増加による価格上昇が反映されていると考えられる。
教育費全体としては4.1%の下落となっており、授業料の減少が補習教育費の上昇を上回った結果となっている。注目すべきは、2020年から2021年にかけての「授業料等」の大幅な下落と、2021年から2022年にかけての「補習教育」の上昇、そして2023年以降の継続的な上昇である。
特に「補習教育」については、2023年から2025年にかけての上昇が顕著であり、進学競争の激化による学習塾の需要増加や、習い事の多様化による価格上昇が考えられる。

専門家のワンポイントアドバイス:
授業料が下落傾向にある一方で、補習教育(塾や習い事)の費用は上昇しています。お子さんがいるご家庭では、公的支援制度を最大限活用しながら、子どもの教育に必要な費用を長期的に計画することが重要です。教育費は一時的に大きな出費になるため、教育資金の積立は早めに始めることをお勧めします。
教養娯楽
兵庫県における教養娯楽の消費者物価指数を分析すると、全体的に上昇傾向が見られる。
教養娯楽サービス費が大きく上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教養娯楽 | 100.8 | 100.3 | 101.6 | 103.6 | 109.1 | 112.1 | 11.2 |
教養娯楽用耐久財 | 97.5 | 97.4 | 99.9 | 104.9 | 104.2 | 109.1 | 11.9 |
教養娯楽用品 | 100.6 | 98.3 | 97.4 | 105.1 | 107.3 | 111.4 | 10.7 |
教養娯楽サービス | 101.6 | 101.5 | 102.6 | 102.6 | 109.6 | 111.6 | 9.8 |
教養娯楽分野全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で11.2%上昇している。 「教養娯楽用耐久財」が11.9%と最も高い上昇率を示しており、テレビやオーディオ機器、パソコンなどの電子機器の価格上昇が著しい。特に2022年から2023年、そして2024年から2025年にかけての上昇が顕著である。
「教養娯楽用品」も10.7%上昇しており、書籍や文具、玩具などの価格も上昇傾向にある。「教養娯楽サービス」は9.8%上昇しており、映画・演劇・スポーツ観戦などの入場料や旅行関連費用の上昇を反映している。特徴的なのは2023年から2024年にかけての急激な上昇で、102.6から109.6へと7%も上昇している。
この分野の価格上昇は、人々の余暇活動への需要回復や、エネルギー価格・人件費の上昇が影響していると考えられる。特に「教養娯楽サービス」の大幅な上昇は、コロナ禍からの回復に伴うサービス業の価格適正化や人件費の上昇が要因と推測される。
まとめ:兵庫県の過去5年間の物価は大幅上昇、生鮮食品と生活必需品の値上がりが顕著
2020年から2025年にかけての兵庫県の物価変動を分析すると、総合物価指数は10.2%上昇しており、品目によって上昇率に大きな差がある。特に食料品の価格上昇が顕著であり、生鮮野菜は48.4%、生鮮果物は43.9%、魚介類は33.1%の上昇となっている。これらの上昇は、気候変動による収量減少、原材料費・エネルギー価格の高騰、円安による輸入コスト増加など、複合的な要因によるものである。
住居費用は比較的安定しており、住居全体で3.0%の上昇にとどまっているが、設備修繕・維持費は24.3%上昇しており、住宅の維持コストが増加している。水道光熱費では全体で14.4%上昇しており、エネルギー価格の高騰が家計を圧迫している。家具・家事用品も14.5%と大幅に上昇している。
交通・通信分野では対照的な動きが見られ、通信費は政府の料金引き下げ政策により27.2%下落した一方、自動車等関係費は6.9%上昇している。教育費は授業料の負担軽減策により全体としては4.1%下落しているが、補習教育費は9.9%上昇している。
兵庫県の物価は全体としては上昇傾向にあるが、政策的な介入があった分野では価格下落も見られており、品目によって物価変動の方向性や度合いが大きく異なることが明らかとなった。家計運営においては、こうした品目ごとの物価変動を踏まえた支出計画が重要となる。
- Q兵庫県で最も値上がりした品目は何ですか?
- A
最も値上がりしたのは「生鮮野菜」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で48.4%上昇しています。2020年の98.2から2025年には145.7まで大幅に上昇しました。次いで「生鮮果物」が43.9%、「生鮮魚介」が36.8%と続き、食料品の価格上昇が顕著です。特に2024年から2025年にかけての生鮮野菜の上昇が急激で、111.1から145.7へと30%以上も上昇しています。
- Q物価上昇が最も低い分野はどこですか?
- A
物価が下落している分野としては「通信」が27.2%の大幅な下落を示しており、「教育」全体も4.1%、「授業料等」が9.5%下落しています。また「交通・通信」全体でも4.4%の下落となっています。比較的上昇が緩やかだったのは「保健医療」全体の2.6%、「住居」全体の3.0%、「履物類」の4.7%などです。これらの分野は、政府による料金引き下げ政策や教育費負担軽減策などの政策的介入が効果を発揮したことが要因として考えられます。
- Q家計への影響が大きい品目はどれですか?
- A
家計への影響が大きいのは消費支出の割合が高い「食料」で、全体で24.5%上昇しています。特に毎日の食卓に欠かせない生鮮野菜(48.4%)、生鮮果物(43.9%)、魚介類(33.1%)の上昇が著しく、日々の生活費を押し上げています。また「光熱・水道」も14.4%上昇しており、家計の固定費負担を増加させています。「設備修繕・維持」(24.3%)や「被服関連サービス」(20.6%)も大幅に上昇していますが、出費頻度は食料品に比べると低いため、影響は比較的限定的です。