投資信託の種類と自分に合った商品の選び方:初心者でもわかる比較ポイント

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  • 投資信託
  • ETF
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  • 多様な投資信託の中から自分に合ったものを選びたい方
  • インデックス型とアクティブ型の違いを知りたい方
  • 投資信託選びの具体的な判断基準を探している方
  • 執筆者・監修者:十河 賢
  • 経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
  • CFP保有者・証券外務員二種
  • 宅建士(未登録)・住宅ローンアドバイザー
  • SEO検定1級・エクセルVBAエキスパート
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投資信託は種類が多く、初めて選ぶ際に迷いが生じることは珍しくない。どの商品が自分に適しているのか、商品間にどのような違いがあるのか判断できない投資家も多い。

本記事では、投資対象や運用手法から見た投資信託の種類と特徴を分かりやすく解説し、投資目的やリスク許容度に合った商品の選び方を紹介する。初心者から経験者まで役立つ実践的な投資信託選びの指針となる情報を提供する。

投資信託とは何か

投資信託は、多数の投資家から集めた資金を一つにまとめ、専門家が株式や債券などの金融商品に分散投資する仕組みである。個人では難しい分散投資を少額から始められるという特徴がある。日本では1990年代後半から徐々に普及し、現在では資産運用の主要な選択肢となっている。

投資信託は、投資対象、運用手法、投資地域などによって様々な種類に分けられる。それぞれの特徴を理解することで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことができる。投資信託は種類によってリスクとリターンの特性が大きく異なるため、商品選びにおいては特性の理解が不可欠である。

投資対象から見た投資信託の種類

投資信託は投資対象によって性格が大きく異なる。株式型、債券型、バランス型、REIT型の4つの基本的な種類があり、それぞれ異なるリスクとリターンの特性を持っている。

株式型投資信託

株式型投資信託は、主に国内外の株式に投資を行う投資信託である。株式は長期的に見れば債券より高いリターンが期待できる一方、短期的には大きな価格変動が生じることがある。株式型投資信託は企業の成長を反映した価格上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)と、企業が株主に還元する配当金(インカムゲイン)の両方からリターンを得ることができる。株式型投資信託は長期投資において高いリターンが期待できるが、相応の価格変動リスクを伴うことを理解して投資する必要がある。

債券型投資信託

債券型投資信託は、主に国債や社債などの債券に投資するファンドである。債券は、発行体(国や企業)が一定期間後に元本を返済することを約束した借用証書であり、その間は定期的に利息が支払われる。債券型投資信託は、これらの利息収入(インカムゲイン)を主なリターン源とする。株式と比べて価格変動が小さく安定性に優れるが、一般的に期待リターンは低めである。債券型投資信託は金利変動によって価格が変動するリスクがあり、長期金利の上昇局面ではマイナス影響を受ける可能性がある。

バランス型投資信託

バランス型投資信託は、株式と債券をバランスよく組み合わせた商品である。株式と債券の配分比率はファンドごとに異なり、例えば株式60%・債券40%といった形で運用されている。バランス型のメリットは、株式と債券が異なる値動きをすることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えられる点にある。初心者や、株式ほどのリスクは取りたくないが債券だけでは物足りないと考える投資家に適している。バランス型投資信託は単一資産への投資よりもリスク分散効果が高く、安定した運用成果を目指す投資家に向いている。

REIT型投資信託

REIT型投資信託は、不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)に投資するファンドである。REITは、オフィスビル、商業施設、マンションなどの不動産を保有・運用し、そこから生じる賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品である。REIT型投資信託は、不動産市場への投資機会を少額から得られるメリットがある。株式や債券とは異なる値動きをする傾向があり、ポートフォリオの分散効果を高めることができる。REIT型投資信託は、定期的なインカム収入を得ながら資産価値の成長も期待できる特性を持つ。

ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー

専門家のワンポイントアドバイス
投資信託を選ぶ際には、各種類の収益構造の違いをよく理解しましょう。株式型は値上がり益に期待する一方、債券型やREIT型は安定的な分配金も魅力です。初めての方は、複数の資産に分散投資するバランス型から始めると、リスクを抑えながら投資の基本を学べますよ。

種類主な投資対象リスクリターン
株式型国内外の株式高い高い
債券型国債、社債など低い低い
バランス型株式と債券中程度中程度
REIT型不動産投資信託中程度中程度

運用手法から見た投資信託の種類

投資信託の運用手法は大きく分けてインデックス型とアクティブ型の2種類がある。それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットを持ち、投資家の目的によって適した選択肢が変わる。

インデックス型投資信託

インデックス型投資信託は、日経平均株価やTOPIX、S&P500などの市場指数に連動することを目指す投資信託である。インデックスに含まれる銘柄を同じ比率で保有することで、市場平均と同等のパフォーマンスの実現を目指す。銘柄選択のための調査コストが少なくて済むため、手数料(信託報酬)が低いことが特徴である。長期的には多くのアクティブファンドがインデックスを上回ることができていないという調査結果もあり、コスト効率の良さから人気を集めている。インデックス型投資信託はコストが安く、市場平均のリターンを安定的に追求できる点が大きな魅力である。

アクティブ型投資信託

アクティブ型投資信託は、ファンドマネージャーが独自の分析や判断によって銘柄を選択し、市場平均を上回るリターンを目指す投資信託である。企業訪問や財務分析などを通じて割安株や成長株を発掘し、投資タイミングを見計らって運用を行う。このような積極的な運用のため、一般的にインデックス型よりも手数料は高めに設定されている。市場が非効率な分野や、専門的な知識が優位性を発揮できる領域では、アクティブ運用が効果的な場合もある。アクティブ型投資信託は運用者の能力によってパフォーマンスに差が出るため、運用会社や運用担当者の実績を確認することが重要である。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
インデックス型とアクティブ型の選択で迷ったら、コスト面も重視してみましょう。長期投資では0.5%の信託報酬の差が20年後には10%以上のリターン差になることも珍しくありません。特に大型株や効率的な市場では、低コストのインデックス投資が賢明な選択となることが多いですよ。

投資地域から見た投資信託の種類

投資信託は投資対象となる地域によっても分類され、国内型、先進国型、新興国型などがある。地域によってリスク・リターン特性や為替リスクが異なるため、投資目的に合わせた選択が重要である。

国内型投資信託

国内型投資信託は、主に日本国内の株式や債券に投資するファンドである。為替リスクがないことや、身近な企業や経済情報を得やすいことから、投資初心者が最初に選ぶことも多い。日本市場の特徴として、配当利回りは海外に比べて低めだが、企業の財務状況は相対的に健全な企業が多いことが挙げられる。国内型投資信託は為替変動リスクがなく、身近な企業への投資であるため初心者にも分かりやすい商品である。

先進国型投資信託

先進国型投資信託は、米国、欧州、カナダ、オーストラリアなどの経済的に成熟した国々の資産に投資するファンドである。先進国市場は金融規制や情報開示が整備されており、流動性も高いため投資しやすい環境が整っている。特に米国市場はイノベーションを生み出す企業が多く、成長性が期待できる。一方で、為替変動によるリスクが存在するため、円高となれば日本人投資家のリターンは目減りすることになる。先進国型投資信託は経済成長と通貨価値の両面からリターンを期待できるが、為替リスクを考慮する必要がある。

新興国型投資信託

新興国型投資信託は、中国、インド、ブラジル、ロシアなどの経済成長著しい発展途上国の資産に投資するファンドである。人口増加や所得向上による消費拡大、インフラ整備などを背景に高い経済成長率が期待できる。一方で、政治リスク、法制度の未整備、為替の不安定性など、先進国と比べてリスクは高い。その分、リターンの期待値も高く設定されている。新興国型投資信託は高いリターンポテンシャルがある反面、先進国よりも価格変動が大きいことを認識しておく必要がある。

投資家タイプ別おすすめの投資信託

投資家のリスク許容度や経験によって、適した投資信託は異なる。ここでは初心者向け、安定性重視、成長性重視の3つのタイプ別におすすめの投資信託を紹介する。

初心者向け投資信託

投資初心者にとって、複雑な金融商品や市場動向を理解することは容易ではない。そのため、運用の仕組みが比較的シンプルで、過度なリスクを取らずに投資を始められる商品が適している。バランス型投資信託は、株式と債券のバランスが取れているため、単一資産への投資より価格変動が抑えられる傾向がある。また、インデックス型投資信託は市場平均に連動するため、個別銘柄選択の難しさを回避できる。これらは初心者が投資の基本を学びながら、実際の資産運用を経験するのに適した選択肢である。初心者は投資の基本を学ぶために、低コストのインデックスファンドやバランス型ファンドから始めることが賢明である。

安定性重視の投資家向け

安定性を重視する投資家は、資産価値の大きな変動を避け、着実な資産形成を目指す傾向がある。こうした投資家には、債券型投資信託が適している。特に国債に投資するファンドは、信用リスクが低く、比較的安定したパフォーマンスが期待できる。また、国内型の投資信託は為替リスクがないため、為替変動による資産価値の変動を避けたい投資家に向いている。さらに、低ボラティリティ株式(価格変動の小さい株式)に投資するファンドも、安定性を求める投資家の選択肢となる。安定性重視の投資家は価格変動を抑えつつも、インフレに負けない程度のリターンを目指すことが大切である。

成長性重視の投資家向け

成長性を重視する投資家は、ある程度のリスクを取りながら、長期的な資産拡大を目指す。このタイプの投資家には、株式型投資信託、特にグロース株(成長株)に投資するファンドが適している。また、テクノロジーやヘルスケアなど、成長産業に特化したセクターファンドも選択肢となる。新興国市場は経済成長率が高いため、新興国株式や債券に投資するファンドも成長志向の投資家にとって魅力的である。ただし、これらは価格変動が大きいため、長期的な視点での投資が重要である。成長性重視の投資家は高いリターンを追求する一方、分散投資によってリスクを管理することも忘れてはならない。

投資シーン別の選び方

投資の目的や期間によって最適な投資信託は変わる。積立投資、退職資金づくり、定期的な収入確保など、目的に応じた投資信託の選び方を解説する。

積立投資におすすめの投資信託

積立投資は、定期的に一定額を投資する方法で、時間分散効果によってリスクを抑えられる利点がある。この投資手法には、コストが低く長期投資に適したインデックス型投資信託が適している。特に、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)での積立投資では、長期的な複利効果を最大化するために、信託報酬の低いインデックスファンドが有利である。また、複数の国や資産クラスに分散投資するグローバル分散型ファンドも、世界経済全体の成長を享受できるため積立投資に向いている。積立投資では長期的な視点が重要であり、その間の価格変動を過度に気にせず継続することが成功の鍵である。

退職資金づくりに適した投資信託

退職資金の形成には、長期的な時間軸での運用が可能である一方、退職時期が近づくにつれてリスクを下げていく必要がある。このような資金形成には、ライフサイクル型(ターゲットイヤー型)投資信託が適している。これは、設定された目標年(退職予定年など)に向けて、徐々に株式の比率を下げ、債券の比率を上げていく自動調整機能を持つファンドである。また、安定した資産形成を目指すバランス型ファンドも、リスクとリターンのバランスが取れているため、退職資金形成に適している。退職資金形成では、若いうちはリスクを取り、退職が近づくにつれてリスクを下げていく段階的なアプローチが効果的である。

定期的な収入を得たい場合

定期的な収入を得ることを目的とする場合、インカム収入(利息や配当金)を重視したファンド選びが重要となる。債券型投資信託は、定期的な利息収入を得られるため、インカム志向の投資家に適している。特に高配当株式に投資するファンドや、社債に投資するファンドは、相対的に高い分配金が期待できる。また、REIT型投資信託は不動産からの賃料収入を原資とした分配金が魅力であり、定期的な収入を求める投資家にとって有効な選択肢となる。定期的な収入を目的とする場合、分配金の持続可能性や税金面も考慮して商品を選ぶことが大切である。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
投資信託を長期で保有する場合、年に1回は保有ファンドの見直しをしましょう。市場環境の変化や自分のライフステージの変化に合わせて、資産配分を調整することが大切です。ただし、短期的な市場の変動に一喜一憂して頻繁に売買すると、かえってパフォーマンスを下げることがありますので、冷静な判断を心がけてください。

まとめ:適切な投資信託選びのポイント

投資信託の種類を理解し、自分に合った商品を選ぶことは、資産形成の成功に大きく影響する。投資対象(株式型、債券型、バランス型、REIT型)、運用手法(インデックス型、アクティブ型)、投資地域(国内型、先進国型、新興国型)などの観点から適切な商品を選択することが重要である。

また、自分の投資家タイプや投資目的に合わせた商品選択も大切である。初心者ならバランス型やインデックス型、安定性重視ならば債券型や国内型、成長性重視ならば株式型や新興国型が適している。さらに、積立投資や退職資金形成、定期的な収入確保など、投資シーンに応じた選択も必要となる。

投資信託選びの基本原則として、以下の点を意識することが重要である。まず、分散投資によってリスクを抑えること。単一の投資信託だけでなく、複数の異なる特性を持つ投資信託を組み合わせることで、リスク分散効果を高めることができる。次に、長期保有の視点を持つこと。短期的な市場変動に一喜一憂せず、長期的な目線で投資を継続することが、複利効果を最大化する鍵となる。

最後に、投資信託のコスト(信託報酬など)にも注意を払うべきである。長期投資においては、わずかなコストの差が最終的な運用結果に大きな影響を与える。特に同じ目的のファンドであれば、コストの低いものを選ぶことが賢明である。

これらのポイントを踏まえて投資信託を選ぶことで、効果的な資産運用を実現し、将来の資産形成に役立てることができる。

Q
初心者はどの種類の投資信託から始めるのがおすすめですか?
A

初心者の方には、バランス型のインデックスファンドがおすすめです。株式と債券に分散投資されているため価格変動が抑えられ、さらにインデックス型は運用コストが低いため長期投資に適しています。例えば、株式60%・債券40%程度の配分のバランスファンドは、適度なリスクとリターンのバランスが取れており、投資の基本を学ぶのに最適です。

Q
インデックス型とアクティブ型、どちらの投資信託が有利ですか?
A

どちらが有利かは投資環境によって異なります。統計的には、特に効率的な市場(米国大型株など)では、75%以上のアクティブファンドがインデックスを長期的に上回れていません。一方、非効率的な市場(新興国や小型株など)では、優秀な運用者による銘柄選択が効果を発揮することがあります。コストの差を考慮すると、基本はインデックス型を中心に、特定の分野でアクティブ型を選ぶという組み合わせが賢明です。

Q
投資信託の種類ごとの平均的なリターンはどれくらいですか?
A

過去の長期データでは、グローバル株式型が年率6〜8%程度、債券型が2〜4%程度、バランス型(60/40)が4〜6%程度、REIT型が4〜7%程度のリターンとなっています。ただし、これは過去の平均であり、将来の運用成果を保証するものではありません。また、短期的には大きく変動することがあり、例えば2008年の金融危機では株式型ファンドは一時的に50%近く下落した例もあります。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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