中学校の費用は、多くの家庭にとって大きな関心事であり、家計に直接影響を与える重要な要素である。
項目 | 公立中学校 | 私立中学校 |
---|---|---|
年間平均費用 | 約53.9万円 | 約143.6万円 |
3年間平均費用 | 約161.6万円 | 約430.4万円 |
主な高額費目 | 学校外活動費68% | 学校教育費74% |
- 私立は公立の約2.7倍、3年間で約268万円の差
- 公立は学校外活動費(特に塾代)が主要負担
- 私立は授業料・納付金を含む学校教育費が中心
- 学校外活動費は公立・私立とも約36万円でほぼ同額
では、公立中学校と私立中学校では具体的にどの費用項目に差があり、学年別・年収別でどのような傾向が見られるのか、補助学習費やその他の学校外活動費も含めて詳しく見ていく。
中学校の費用はいくら?
公立中学校と私立中学校では、学習費総額に大きな差がある。この差は、教育内容や設備の違いだけでなく、学校の運営方針や教育理念にも関係している。ここでは、両者の違いを詳しく見ていく。

専門家のワンポイントアドバイス:
教育費用の比較だけでなく、各学校の特色や教育方針も考慮して選択しましょう。
公立中学校と私立中学校の年間平均費用
公立中学校の学習費総額は年間約53万9千円、私立中学校では約143万6千円となっている。私立中学校の学習費総額は、公立中学校の約2.7倍に達する。
費目 | 公立中学校 | 私立中学校 |
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学校教育費 | 132,349円 | 1,061,350円 |
学校給食費 | 37,670円 | 7,227円 |
学校外活動費 | 368,780円 | 367,776円 |
合計 | 538,799円 | 1,436,353円 |
もっとも大きな差が生じているのは学校教育費で、私立中学校の学校教育費は公立の約8倍となっている。一方で、学校外活動費はほぼ同額であることがわかる。
公立中学校の3年間の費用
公立中学校の3年間の総費用は約161万6千円で、3年生の費用が最も高くなっている。
学年 | 学習費総額 |
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第1学年 | 531,544円 |
第2学年 | 443,848円 |
第3学年 | 640,925円 |
3年間の総額 | 1,616,317円 |
私立中学校の3年間の費用
私立中学校の3年間の総費用は約430万4千円で、私立中学校の3年間の総費用は、公立中学校の約2.7倍に達する。
学年 | 学習費総額 |
---|---|
第1学年 | 1,806,991円 |
第2学年 | 1,218,559円 |
第3学年 | 1,278,255円 |
3年間の総額 | 4,303,805円 |
公立中学校における年収別の教育費用
年間収入が400万円未満の世帯では平均約40万2千円の教育費用がかかるのに対し、1,200万円以上の世帯では約80万4千円となっている。
世帯年収 | 学習費総額 |
---|---|
400万円未満 | 402,000円 |
400万円~599万円 | 484,000円 |
600万円~799万円 | 518,000円 |
800万円~999万円 | 502,000円 |
1,000万円~1,199万円 | 644,000円 |
1,200万円以上 | 804,000円 |
私立中学校における年収別の教育費用
年間収入が400万円未満の世帯の平均教育費用は約123万8千円であるのに対し、1,200万円以上の世帯では約160万9千円となっている。
世帯年収 | 学習費総額 |
---|---|
400万円未満 | 1,238,000円 |
400万円~599万円 | 1,379,000円 |
600万円~799万円 | 1,220,000円 |
800万円~999万円 | 1,250,000円 |
1,000万円~1,199万円 | 1,491,000円 |
1,200万円以上 | 1,609,000円 |
補助学習費とその他の学校外活動費の実態
中学生の教育費用を考えるうえで、学校以外にかかる費用の実態を把握することは重要である。ここでは、学習塾や習い事などの補助学習費と、その他の学校外活動費について詳しく見ていく。
公立中学生の学校外活動費の内訳
公立中学生の学校外活動費は、年間平均で約36万9千円となっている。このうち、補助学習費が約30万3千円、その他の学校外活動費が約6万6千円を占めている。補助学習費が学校外活動費全体の約82%を占めており、公立中学生の家庭にとって大きな負担となっていることがわかる。
補助学習費の内訳を見ると、以下のようになっている。
費目 | 金額 |
---|---|
家庭内学習費 | 16,276円 |
通信教育・家庭教師費 | 29,379円 |
学習塾費 | 250,196円 |
その他 | 7,285円 |
学習塾費が補助学習費の大部分を占めており、多くの公立中学生が学習塾に通っていることがうかがえる。これは、高校受験を見据えた学力向上や、学校の授業の補完を目的としていると考えられる。
一方、その他の学校外活動費の内訳は以下のとおりである。
費目 | 金額 |
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体験活動・地域活動 | 995円 |
芸術文化活動 | 19,567円 |
スポーツ・レクリエーション活動 | 30,247円 |
国際交流体験活動 | 65円 |
教養・その他 | 14,770円 |
スポーツ・レクリエーション活動や芸術文化活動に比較的多くの費用がかけられていることがわかる。これらの活動は、学力向上以外の面での子どもの成長に寄与していると考えられる。
私立中学生の学校外活動費の内訳
私立中学生の学校外活動費は、年間平均で約36万8千円となっており、公立中学生とほぼ同額である。しかし、その内訳を見ると、公立中学生とは異なる特徴が見られる。
私立中学生の補助学習費は約26万2千円、その他の学校外活動費が約10万5千円となっている。公立中学生と比べて、補助学習費の割合が低く、その他の学校外活動費の割合が高いことが特徴的である。
補助学習費の内訳は以下のとおりである。
費目 | 金額 |
---|---|
家庭内学習費 | 40,028円 |
通信教育・家庭教師費 | 36,964円 |
学習塾費 | 175,435円 |
その他 | 9,895円 |
公立中学生と比べて学習塾費が少ない一方で、家庭内学習費や通信教育・家庭教師費が多くなっている。これは、私立中学校では学校の授業で十分な学力が身につくため、学習塾への依存度が低いことを示唆している。
その他の学校外活動費の内訳は以下のとおりである。
費目 | 金額 |
---|---|
体験活動・地域活動 | 5,656円 |
芸術文化活動 | 33,591円 |
スポーツ・レクリエーション活動 | 28,795円 |
国際交流体験活動 | 5,857円 |
教養・その他 | 31,555円 |
私立中学生は公立中学生と比べて、芸術文化活動や国際交流体験活動にかける費用が多い傾向にある。これは、私立中学校の特色ある教育プログラムと関連している可能性がある。
公立・私立を問わず、中学生の教育には学校内外で多くの費用がかかっていることがわかる。ただし、これらの費用が子どもの成長にどのように寄与しているかを見極め、家庭の経済状況に応じて適切に配分することが重要である。

専門家のワンポイントアドバイス:
子どもの適性や興味に合わせて、学校外活動の優先順位を決めることが大切です。
よくある質問
- Q公立中学校と私立中学校の教育費用の差は具体的にどれくらいですか?
- A
3年間の総費用で比較すると、公立中学校が約161万6千円なのに対し、私立中学校は約430万4千円で、約268万8千円の差があります。
- Q世帯年収によって教育費用にどのような違いがありますか?
- A
年収が高くなるほど教育費用も増加する傾向があります。特に学校外活動費に差が見られ、年収1,200万円以上の世帯は400万円未満の世帯の約2倍の費用をかけています。
- Q中学生の学校外活動費で最も大きな割合を占めるのは何ですか?
- A
公立・私立ともに学習塾費が最も大きな割合を占めています。公立中学生では学校外活動費の約68%、私立中学生では約48%が学習塾費となっています。
まとめ:中学校の教育費用を賢く管理するポイント
これまでの分析を踏まえ、中学校の教育費用を効果的に管理し、子どもの教育を支援するためのポイントをまとめる。
中学校の教育費用は、公立と私立で大きな差があり、また世帯年収によっても変動するため、自身の経済状況に合わせた計画を立てることが重要である。
まず、公立中学校と私立中学校の選択は、単に費用の観点だけでなく、子どもの適性や将来の進路、家庭の価値観なども考慮して決定すべきである。私立中学校の場合、3年間の総費用が公立の約2.7倍になることを念頭に置き、長期的な資金計画を立てる必要がある。
補助学習費については、公立・私立ともに大きな割合を占めている。特に学習塾費が高額となる傾向にあるため、子どもの学力や学習ニーズを見極めたうえで、本当に必要な補助学習を選択することが大切である。また、家庭学習の充実や学校の補習授業の活用など、費用をかけずに学力向上を図る方法も検討すべきである。
その他の学校外活動費については、子どもの興味・関心や才能を伸ばすために重要な投資となりうる。ただし、活動の種類や頻度については、子どもの負担や家計への影響を考慮しながら、適切に選択することが望ましい。
中学校の教育費用は決して小さくないが、適切な計画と管理により、子どもの可能性を最大限に引き出す機会を提供することができる。家庭の経済状況に応じた現実的な計画を立て、子どもの成長を支援していくことが大切である。