新入社員必見!選択制のライフプラン手当、”現金”と”積立て”どっちを選ぶ?

マネー
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新社会人や20代の皆さん、初めての給与明細を見て「ライフプラン手当」という聞き慣れない言葉に驚いたのではないでしょうか。また、社内で説明されたけど、ピンと来ないのではないでしょうか。特に、社員に選択肢がある場合には、現金で受け取るべきか、将来に備えて積み立てるべきか迷ってしまうと思います。

そこでこの記事では、現金と積立では、どちらを選ぶべきかのポイントをまとめます。新社会人や20代の皆さんが、自分に合ったライフプラン手当の受け取り方を選択する際の参考にしてください。

強制加入の企業型DCについては、こちらの記事を参考にしてください。

ライフプラン手当とは? 仕組みを簡単に説明

ライフプラン手当は、会社が従業員の将来に向けた資産形成を支援するために導入する制度です。給与の一部を、現金で受け取るか、企業型確定拠出年金(企業型DC)として積み立てるかを選択できるのが特徴です。

現金で受け取るか、積立てるかの選択肢としては、次のようなパターンがあります。ただし、会社によって異なります。

  1. 全額を現金で受け取る
    • 手取り額が多くなり、自由に使える
    • 将来への備えは自身で行う必要あり
  2. 全額を企業型DCで積み立てる
    • 手取り額は減るが、老後に向けた資産形成ができる
    • 運用益は非課税、受取時は税制優遇あり
  3. 現金受取と積立てを組み合わせる
    • 自分のライフプランに合わせて割合を選択
    • 手取り額と将来への備えのバランスを取ることが可能

特に、「全額を現金で受け取る」場合と「全額を企業型DCで積み立てる」場合の、自身への影響を考えることが重要です。そこで、次の章では、自分に合った選択できるようにポイントを解説します。

企業型DCの制度については、こちらの記事を参考にしてください。

選択肢を間違えないためのポイント

新社会人にとって、ライフプラン手当の選択は難しい判断かもしれません。制度の詳細を完全に理解するには時間がかかりますが、選択を迫られている状況では、まずは各選択肢の影響を把握することが重要です。

全額を現金で受け取る場合の影響

全額を現金で受け取る選択をすると、手取り額が増加し、生活費や趣味、貯蓄など自由に使えるお金が多くなります。特に社会人生活を始めたばかりの新入社員にとって、生活立ち上げ資金や趣味、交際費など、自由に使えるお金が必要な時期には魅力的な選択肢と言えるでしょう。また、急な出費にも対応しやすくなります。

一方で、全額現金受取にはいくつかの注意点もあります。まず、老後の資金準備は自分で行う必要があります。つまり、別途貯蓄や投資を行い、将来に備えることが求められます。ただし、多くの企業では、ライフプラン手当の受取方法を定期的に見直し、変更できる仕組みを設けています。そのため、会社や生活に慣れるまでの限定的な期間とすることができます。

また、全額現金で受け取ると、社会保険料や税金の負担が相対的に多くなります。その結果、手取り額の増加分は想定よりも少なくなる可能性があります。たとえば、ライフプラン手当分を給与として5万円を受け取ろうとしても、受取額は約4.1万円(社会保険料・税金を18%として算出)になります。しかし、これらの負担は、老後の年金受給額にもつながります。

CFP
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 あなたが新入社員で、生活や会社に慣れていない場合、金銭的にも生活が安定しない可能性があります。ライフプラン手当は将来のための貯蓄です。今の生活が不安定な場合、優先順位は「今」です。老後の生活は誰でも心配ですが、準備のタイミングは人それぞれです。

 ライフプラン手当が2万円だとします。この2万円について考えてみてください。

・2万円あれば、1ヶ月分の食費になる。

・2万円あれば、1ヶ月分の水道光熱費と通信費を払える。

→ 企業型DCへの積立で、1ヶ月に倍の4万円の食費がかかると考えてもよい。

・将来のためとして、2万円の保険に加入しますか。

・将来のためとして、2万円分を住宅や結婚・子育てに貯めますか。

→ 将来への備えは、今の生活に直接影響します。入社後間もない状況で、将来への備えができるか、考えます。

現金から企業型DCへの変更ができるなら、生活に慣れるまでは、1年間だけは給与として受け取るなど、自分の状況にあった選択をしましょう。

全額を企業型DCで積み立てる場合の影響

全額を企業型確定拠出年金(企業型DC)で積み立てる選択をすると、手取り額は減少しますが、確実に老後の資産形成を進めることができます。企業型DCは、運用益が非課税であり、受取時にも税制優遇があるため、税制面でのメリットが大きいと言えます。この選択は、長期的な資産形成を優先する人にとって魅力的です。

ただし、企業型DCで積み立てた資金は、原則60歳まで引き出すことができません。急な出費への対応や、住宅購入、結婚、出産、子育てなど、人生のさまざまな場面で必要となる資金を、企業型DCから調達することは難しいでしょう。

一方で、企業型DCへの積立額が多いほど、各種社会保険料や税金の軽減効果が大きくなるというメリットがあります。これは、企業型DCへの拠出分が、社会保険料の計算基準となる標準報酬月額や、税金の計算基準となる課税所得から控除されるためです。

したがって、全額を企業型DCで積み立てる選択は、長期的な資産形成を優先し、手元の資金が不足しても問題ない人に適しています。また、社会保険料や税金の節約効果を最大限に享受したい人にもおすすめです。

CFP
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簡単に説明しますと、健康保険料(介護保険料)、厚生年金保険料などの社会保険料は、給与の額によって決まります。高収入ほど社会保険料額は高くなります。厚生年金保険料は高くても将来の年金額が増えるので、微妙なところですが、全体的に社会保険料の負担は減るので、見た目のライフプラン手当の額よりも効果は大きいと考えるといいでしょう。

「本来受け取れるはずの金額」と考えると、給与として受け取りたいと思いますが、老後資金の準備を個人で進めるのはハードルが高いので、給与天引きで強制的に準備できるのはメリットといえます。

確定拠出年金の制度については、こちらの記事を参考にしてください。
拠出時・運用時・受給時の税制優遇メリットについては、こちらにまとめてあります。

会社に確認しておくべきライフプラン手当のルール

ライフプラン手当の選択肢や運用方法は、会社によって異なります。ルールを確認し、そのルールの範囲内で、自身に合った最良の選択をする必要があります。

新入社員や20代の皆さんは、以下のような点を会社の担当者に確認しておくことをおすすめします。

  1. ライフプラン手当に関する社内の相談窓口や情報源
    • 皆さんの悩みを解決するためには、総務部など社内の相談窓口を利用する方法があります。
    • 皆さんに疑問や悩みが発生する理由のひとつに、制度への理解が不十分なことが挙げられます。ネットで情報を調べ、わからないことがあれば相談窓口を利用するといいでしょう。
  2. 選択の変更ができる頻度と期限(毎月、四半期ごと、半年ごとなど)
    • 給与受け取りと企業型DCへの積立を選択できるなら、変更できる頻度や期限を確認しておきます。
    • 比較的自由に変更できるなら、生活や仕事が落ち着いてから、積立を始めるといいでしょう。
  3. 現金受取と企業型DC積立の割合の変更
    • 基本的に、毎月2万円などの「定額」ではなく、基本給の10%のような「定率」となります。金額や利率を変更できるかどうかも確認しておくといいでしょう。
    • 変更できるなら、最初は控えめにしておき、自身への影響が少なければ、一般的な水準とします。

まとめ

新社会人や20代の方が、ライフプラン手当の受け取り方を選択する際の参考となるよう、現金受取と企業型DC積立の影響やメリット・デメリットを解説しました。自分の状況に合った選択をするためには、会社のルールを確認し、長期的な視点を持つことが重要です。

30代や40代の上司と比較しても、収入や状況が異なるため、あまり参考にならないかもしれません。この記事ではいかに自分に合った選択をできるかに焦点をあてましたが、制度への理解も重要です。時間があるときにでも確定拠出年金の知識を身に付けておきましょう。

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