投資信託の約定日とは?仕組みから活用術まで初心者にもわかりやすく解説

投資信託の約定日について解説した図解 資産運用
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投資信託を購入・売却する際に必ず関わってくる「約定日」。この日付が実は投資のタイミングや税金計算、資金管理に大きく影響する。国内ファンドと海外ファンドで異なる約定ルール、年末年始の注意点、証券会社ごとの確認方法など、初心者が混乱しがちな約定日について徹底解説する。

この記事を読めば、約定日を味方につけた効果的な投資戦略が立てられるようになる。

約定日とは?基本の仕組み

投資信託取引では、注文日・約定日・受渡日(引き渡し日)などさまざまな日付が登場する。これらの違いを理解することが、投資のタイミングを計る基本となる。

投資信託取引の日程の流れ

投資信託取引の基本的な流れは、注文から資金の受け渡しまで3つの段階に分かれている。

  1. 注文日(発注日): 投資家が購入・売却の注文を出す日である。この時点では取引は成立していない。
  2. 約定日:取引価格(基準価額)が確定する日である。この日の基準価額で取引が成立するため、実質的な「取引日」と考えられる。
  3. 受渡日(引き渡し日・精算日): 実際に資金や投資信託の受け渡しが行われる日である。約定日から2~5営業日後に設定されることが多い。

投資信託の約定日は株式取引と大きく異なる点がある。株式は注文時の株価で即時約定するケースが多いが、投資信託は日々の基準価額が確定した後に約定処理が行われる仕組みになっている。

各日程の意味と重要性

投資信託取引における各日程は、それぞれ異なる意味と重要性を持つ。

  • 注文日(発注日): 申込日とも言われ、投資の意思決定を行う日である。市場の動向を見て投資判断をするタイミングとなる。締切時間(多くの証券会社では15時)までに注文すると、国内資産は申込日当日、海外資産は翌営業日に約定処理される。
  • 約定日: 取引価格(基準価額)が確定する日である。この日の基準価額で取引が成立するため、実質的な「取引日」と考えられる。なお、基準価額は約定日の翌営業日20時頃に算出される
  • 受渡日(引き渡し日): 実際にお金が動く日である。購入時は口座からの引き落とし日、売却時は売却代金の入金日となる。資金繰り管理の重要な日付であり、税金計算やNISA口座の購入枠消費の基準日となる。受渡日は約定日から2~5営業日後(海外資産は為替決済の影響で長くなる場合あり)に設定され、特定口座では受渡日が年内に含まれる取引のみ税金計算の対象となる。
  • 購入日・売却日: 一般的に約定日を指すことが多いが、証券会社によって表記が異なる場合もある。
  • 買付日: おもに投資信託の自動積立契約で使用される用語で、契約時に指定する「購入(買付)する日」を指す。
項目約定日受渡日
役割取引価格確定日実際の資金移動日
税金基準一般口座なら選択も可能基準日
NISA枠例外あり基準日
日程国内資産:申込日当日
海外資産:翌営業日
約定日から2~5営業日後

なお、日程の詳細は、証券会社によって異なる可能性があるため、問い合わせて確認することをお勧めする。

株式とは異なる投資信託の約定の特徴

投資信託は株式とは約定の仕組みが根本的に異なる。

  • 株式取引の場合: リアルタイムで価格が変動し、指値注文や成行注文など、注文タイプによって即時約定や条件付き約定が可能である。注文時点の価格や指定した価格で取引が成立する。
  • 投資信託の場合: 1日1回の基準価額で約定する。基準価額は通常、その日の市場終了後に計算・確定されるため、注文時点では取引価格が確定していない。国内資産は申込日当日が約定日となるのが一般的で、海外資産は翌営業日以降となる。

この違いを理解することで、投資信託の購入・売却タイミングを正確に判断することができる。特に短期的な市場変動を考慮する場合は、約定日のタイムラグを意識した投資判断が重要である。

約定日・受渡日・基準価格の関係

投資信託の価格(基準価額)は日々変動するが、どの時点の価格で取引されるのかを理解することが重要である。この関係を正しく把握することで、投資判断の精度を高めることができる。

基準価額の決定タイミング

投資信託の基準価額は、その日の市場終了後に計算・確定される仕組みになっている。この点が株式取引とは大きく異なる特徴である。

  • 基準価額は、ファンドが保有する有価証券の終値をもとに計算される
  • 通常、その日の市場終了後(日本市場なら15時以降)に確定する
  • 海外資産を含むファンドは、海外市場の終値も反映するため翌営業日以降に確定する
  • 購入・売却時の取引価格は約定日の基準価額が適用されるため、注文時点では確定していない

このため、投資信託の注文時には「いくらで買えるか(売れるか)」が確定していない状態で注文を出すことになる。これは投資信託取引の大きな特徴であり、リアルタイムの価格で取引できる株式とは根本的に異なる点である。

受渡日(引き渡し日)との関係

約定日が決まると、その後に受渡日(引き渡し日)が設定される。受渡日は実際に資金や投資信託の受け渡しが行われる日である。

  • 約定日後、通常2~5営業日後に受渡日(引き渡し日)が設定される
  • 購入時の受渡日は、実際に代金が口座から引き落とされる日(引き落とし日)となる
  • 売却時の受渡日は、売却代金が口座に入金される日(入金日)となる
  • NISA口座での取引や税金計算において受渡日が基準となる

資金計画の観点からは、受渡日を意識することが重要である。特に複数の取引を短期間に行う場合や、売却代金で別の投資信託を購入する場合などは、受渡日のタイミングを考慮する必要がある。

受渡日は証券会社によって「精算日」「決済日」などと表記されることもあるが、基本的には同じ意味である。

見積基準価額と確定基準価額の違い

注文時と約定時では基準価額に違いが生じることがある。これが「見積基準価額」と「確定基準価額」の違いである。

  • 見積基準価額:注文時に参考として表示される価額であり、前営業日の基準価額が表示されることが多い
  • 確定基準価額:約定日に確定する実際の取引価額であり、これが最終的な取引価格となる

両者の価額に差が生じる理由は、市場の変動によるものである。例えば、国内ファンドを火曜日に注文した場合、火曜日の基準価額が確定するが、市場が急騰した場合、見積価額と確定価額の間に差が生じる。海外ファンドでは、為替レートの変動(翌営業日10時頃のレート適用)も影響する。

この差が生じる背景には「ブラインド方式」が存在する。投資家が申込時に基準価額を知らない状態で取引することで、既存投資家への不公平を防ぐ仕組みである。例えば、前日の基準価額で取引できてしまうと、市場変動で既存投資家に損失が生じる可能性があるため、ブラインド方式が採用されている。

このように、投資信託取引においては基準価額の確定タイミングを理解し、約定日と受渡日の関係を把握することが重要である。特に短期的な投資判断や資金計画において、これらの日程の流れを意識することで、より効果的な投資行動が可能となる。

カレンダーと約定日の関係

投資信託の約定日は、カレンダーの営業日に大きく影響を受ける。曜日や祝日の配置によって、注文から約定までの期間が変動するため、これを理解しておくことが資金計画の上で重要である。

平日・週末の注文と約定日

平日と週末では約定日の計算方法が異なる。これは証券市場の営業日に合わせた仕組みである。

  • 平日(月~金)の注文:国内ファンドは通常、申込当日が約定日となる。海外ファンドは通常、申込の翌営業日が約定日となる。
  • 週末(土・日)の注文:翌営業日である月曜日(月曜が祝日の場合は火曜日)が注文日となる。国内ファンドは月曜日(営業日)が約定日となる。海外ファンドは火曜日(営業日)が約定日となる。
  • 金曜日の注文:国内ファンドは金曜日が約定日となる。海外ファンドは土日を挟むため、約定日は月曜日となる。
  • 締切時間の考慮:多くの証券会社では15時が締切時間である。これ以降の注文は翌営業日の注文として扱われる。

週末を挟む注文は、市場の変動リスクが高まることに注意が必要である。金曜日に注文し、週末に大きなニュースがあった場合、月曜日の基準価額に大きな影響が出ることがある。

祝日・連休の約定日の扱い

祝日や連休がある場合は、約定日の計算がさらに複雑になる。

  • 祝日前日の注文:国内ファンドは祝日前日(営業日)が約定日となり、海外ファンドは祝日をスキップして翌営業日が約定日となる。
  • 連休中の注文:連休明けの最初の営業日が注文日となり、それに応じて約定日が決まる。
  • 海外資産を含むファンド:日本の祝日だけでなく、投資対象国の休場日も考慮される。

祝日や連休を挟む場合は、約定までの期間が長くなるため、市場変動リスクが高まる点に注意が必要である。特に大型連休(ゴールデンウィークや年末年始)の前後は、約定日を事前に確認しておくことが望ましい。

年末年始における約定日のルール

年末年始は証券市場の休業日が連続するため、約定日に特に注意が必要である。

  • 年末最終営業日の注文:国内ファンドは年末最終営業日が約定日となり、海外ファンドは年始最初の営業日が約定日となることが多い。
  • 税金の計算上の注意点:年をまたぐ約定は、確定申告や年間損益計算において注意が必要である。
  • 年内に確定させたい場合:証券会社の年末営業カレンダーを確認し、年内最終約定日を意識した注文が必要である。

年末年始の注文は、約定日(基準は受渡日)が年をまたぐことで税金計算に影響する場合がある。特に損益通算や年間投資枠を考慮する場合は、年内に約定を確定させるべきか慎重に判断する必要がある。

年末年始のカレンダーは毎年変動するため、その年の営業日カレンダーを証券会社のウェブサイトなどで確認することが重要である。特に12月下旬の取引では、約定日(受渡日)が翌年になる可能性を考慮した計画が必要である。

国内・海外ファンドの約定日の違い

投資信託の約定日は、投資対象地域によって大きく異なる。国内ファンドと海外ファンドでは約定日のルールが異なるため、この違いを理解しておくことが重要である。

国内ファンドの約定日特性

国内ファンドは、日本国内の資産(株式や債券など)に投資するファンドである。約定日の特性は以下の通りである。

  • 約定日の基本ルール:一般的には、申込当日が約定日となることが多い。ただし、ファンドによって異なる場合があるため、個別に確認が必要である。
  • 基準価額の確定時間:日本市場の終了後(通常15時以降)に基準価額が確定する。
  • 約定の迅速性:海外ファンドに比べて約定までの時間が短い傾向がある。
  • TOPIX連動ファンドなどの特性:純国内資産で構成されるため、約定日の計算がシンプルである。
  • 国内債券ファンドの特徴:価格変動が比較的小さいため、約定日のタイムラグによる価格変動リスクは相対的に小さい。

国内ファンドは約定日までの期間が短いため、市場変動による注文時と約定時の価格差が生じるリスクが比較的小さい。ただし、大きな市場イベント(決算発表や経済指標の発表など)が予定されている場合は注意が必要である。

海外ファンドの約定日特性

海外ファンドは、海外の資産(株式や債券など)に投資するファンドである。約定日の特性は以下の通りである。

  • 約定日の基本ルール:一般的には、申込の翌営業日が約定日となることが多い。ただし、ファンドによって翌々営業日になる場合もあるため、個別に確認が必要である。
  • 時差の影響:米国や欧州など投資対象国との時差により、その日の海外市場の終値が日本時間の翌日まで確定しないことが理由である。
  • 為替計算の影響:外貨建て資産の円換算に時間を要するため、約定日が遅れる要因となる。
  • 基準価額の計算複雑性:複数国・地域に分散投資するファンドは特に計算が複雑で時間がかかる傾向がある。

海外ファンドは約定日までの期間が長いため、注文後の市場変動により想定と異なる価格で約定するリスクが高まる。特に株式市場や為替市場の変動が大きい時期は注意が必要である。

海外市場の休日と日本の約定日

海外市場の休日は日本の投資信託の約定日に影響を与える場合がある。

  • 米国市場の休日(MLKデーなど):米国株式に投資するファンドでは、米国市場休場日の影響で約定日が遅れることがある。
  • 欧州市場の休日:欧州株式ファンドでは、欧州主要国の休場日に影響を受ける。
  • 複数地域に投資するファンド:全世界株式(オールカントリー)などのファンドは、主要市場の休場日に影響を受ける。
  • 休場日カレンダーの確認方法:多くの証券会社では、ファンドごとの休場日カレンダーを提供している。

国際分散投資を行うファンドでは、投資対象国の休日が重なると約定日がさらに遅れることがある。特に年末年始やクリスマス期間など、世界的に休場日が多い時期は注意が必要である。

海外市場の休場日カレンダーは、証券会社のウェブサイトやファンドの目論見書で確認できることが多い。特に短期的な投資判断を行う場合は、事前に約定日を確認しておくことが重要である。

なお、上記の約定日ルールは一般的な傾向であり、個別のファンドや証券会社によって異なる場合があるため、必ず各証券会社の公式サイトやファンドの目論見書で最新情報を確認することを推奨する。

証券会社別の約定日の確認方法

投資信託の約定日はファンドごとに異なるケースが多いため、取引前に確認することが重要である。取引前の確認は各ファンドの目論見書や証券会社のファンド詳細ページの「取引ルール」などで可能である。また、注文後は各証券会社が提供する取引履歴や注文照会画面で約定日を確認できる。ここでは、主要な証券会社における約定日の確認方法を解説する。

SBI証券の約定日の調べ方と特徴

SBI証券では、公式サイトに「約定日はファンドごとに異なる」と記載しており、個別に確認する必要がある。調べ方は以下の通りだ。

  • 約定日の確認方法:ログイン後、『取引』>『投資信託』から『注文照会(取消)』を選択することで、現在の注文内容と約定状況が確認できる。
  • 銘柄ごとの約定日の確認:各投資信託の個別ページ内の「注文情報」で、そのファンド固有の約定日を事前に確認できる。
  • 過去の約定履歴の確認:前日までの過去2年間に約定した買付、売却、積立、定期売却の「約定履歴」も確認可能である。

SBI証券は明確に「投資信託の約定日は、個別の銘柄ごとに異なります」と案内しているため、約定日などの情報を知りたい場合は、個別ページで確認する必要がある。

楽天証券の約定日の調べ方と特徴

楽天証券では、一般的な約定日のルールを示しつつも、ファンドごとに異なる点を説明している。

  • 約定日の確認方法:マイページにログインし、「投資信託取引履歴」で約定日を確認できる。
  • 約定日の一般的ルール:楽天証券では「約定にかかる日数はファンド毎に異なり、一般的には、海外市場に投資(運用)するファンドは申込の翌営業日、国内市場に投資(運用)するファンドは申込の当日が約定日となります」と明記している。
  • 海外ファンドの注意点:国内が営業日でも海外市場の休場日はファンド休業日となる場合があり、約定日が変動することがある。

楽天証券では基準価額の更新時間についても「運用会社では営業日の20時頃までに基準価額を算出し、当社では21:30頃から当日の基準価額を順次更新します」と明確に案内している。

マネックス証券の約定日の調べ方と特徴

マネックス証券も同様に、約定日の確認方法を案内している。

  • 約定日の確認方法:注文後、「投信注文照会」で約定日を確認できる。
  • 残高反映タイミング:約定日の翌日朝5時頃にログイン後の「保有残高・口座管理」に反映される。
  • スポット購入と積立購入の表示:同じ銘柄・分配金コース・口座区分であれば、スポット購入分と積立購入分は合算して表示される。

マネックス証券も個別のファンドごとに約定日が異なることを前提としており、具体的な約定日の一般ルールは明記していない。そのため、「投信注文照会」で確認する必要がある。

投資信託の約定日はファンドの投資対象や運用方針によって異なるため、どの証券会社を利用する場合でも、取引前に必ず約定日を確認することが望ましい。また、各証券会社のウェブサイトやアプリのインターフェースは更新されることがあるため、最新の確認方法については各社の公式サイトで確認しよう。

売却時の約定日と税金の関係

投資信託を売却する際、受渡日が税金計算の基準点となる。そのため、約定日は間接的に重要な日付となる。このタイミングを正しく理解することで、より効果的な税金対策が可能となる。

利益確定と約定日

投資信託の売却益(キャピタルゲイン)は、受渡日を基準として計算される。一方、約定日は基準価額の基準となる。

  • 課税タイミング:売却の受渡日が利益確定の日として扱われる。約定日ではなく受渡日が税金計算の基準となる点に注意が必要である。
  • 売却単価の決定:売却時の基準価額は約定日の価額が適用されるため、この価額が利益計算の基準となる。
  • 税金計算の原則:(売却時の約定価額×口数)-(取得時の価額×口数)=譲渡益(または譲渡損)として計算される。
  • 利益確定のタイミング:市場の状況に応じて売却のタイミングを計る際、約定日が実際の価格確定日となることを考慮する必要がある。

税務申告においては、投資信託の受渡日が当該年の取引として扱われるため、年間の損益計算においてこの日付が重要となる。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
特に年末の売却では、受渡日が年をまたぐと翌年の課税所得になるため、損益通算や特定口座での損失繰越を検討している方は注意しましょう。

年をまたぐ売却の税金対策

年末年始に投資信託を売却する場合、受渡日が年をまたぐことで税金計画に影響する場合がある。

  • 年内損益確定:当年内に損益を確定させたい場合は、年末の最終営業日より前に受渡日が来るタイミングで注文する必要がある。
  • 年をまたぐ損益繰り延べ:翌年に損益を繰り延べたい場合は、年末の約定日カレンダーを確認し、受渡日が翌年になるタイミングで注文する。
  • 損益通算の活用:株式等の他の金融商品との損益通算を検討する場合、受渡日が同一年内に収まるよう計画することが重要である。
  • 年末の注意点:証券会社によって年末の最終取引日や注文締切日が異なるため、事前に確認が必要である。

特に税金対策として損失を確定させる「税金ロス出し」を検討する場合、年内最終受渡日を把握しておくことが重要である。年内に確定させたい場合は、年末数日前までに余裕を持って売却注文を出すことが望ましい。

NISA口座での約定日の意味

NISA(少額投資非課税制度)口座での取引においても、受渡日が重要な意味を持つ。受渡日から約定日を算出しておくことで、いつまでに注文すればいいか判断できる。間接的ではあるが、約定日も重要となる。

  • 非課税枠の使用時期:NISA口座での購入は、受渡日の時点で当該年の非課税枠を使用したとみなされる。
  • 年間投資枠の管理:年間の投資枠(新NISAでは成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)を使い切る計画をする場合、受渡日が当該年内であることを確認する必要がある。
  • 売却時の注意点:NISA口座内で売却した場合でも、譲渡益に課税されることはない。非課税期間は無期限となったが、年間投資枠の管理は引き続き重要である。
  • ロールオーバーと約定日:旧NISA制度のロールオーバーは新NISA制度では不要となったが、年をまたぐ投資では受渡日が枠の消費年を決定することに注意が必要である。

NISA口座での取引においては、年間投資枠を最大限活用するために、年末の購入注文は受渡日が年内になるタイミングで行うことが重要である。逆に、翌年の投資枠を使うためには、受渡日が翌年になるよう注文タイミングを調整する必要がある。

ファイナンシャルプランナー
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専門家のワンポイントアドバイス
新NISAでは投資枠が拡大しましたが、投資枠の消費時期は受渡日が基準となる点に注意が必要です。12月下旬の購入では受渡日が翌年になる可能性があります。年内の投資枠を使い切りたい場合は、証券会社の年末営業日と受渡日のスケジュールを必ず確認しましょう。特に海外ファンドは約定日が翌営業日以降になり、さらに受渡日も遅れるケースが多いので注意が必要です。

まとめ:投資信託の約定日と受渡日を理解して効果的な資金管理を行おう

投資信託の約定日は取引価格(基準価額)が確定する日であり、受渡日は実際に資金や投資信託の受け渡しが行われる日である。この二つの日程の違いと関係性を理解することは、効果的な投資資金管理の基本となる。国内ファンドと海外ファンドでは約定日の取り扱いが大きく異なり、国内ファンドは申込当日が約定日となることが多いのに対し、海外ファンドは申込の翌営業日以降となるのが一般的である。また、カレンダー上の曜日や祝日の配置によって約定日が変動することも重要なポイントである。

特に重要なのは、税金計算やNISA口座の年間投資枠消費においては受渡日が基準となることである。年末年始の取引では受渡日が年をまたぐことで税金計算や投資枠消費に影響するため、証券会社の営業カレンダーを事前に確認し、目的に合わせた計画が必要となる。

約定日と受渡日はファンドごとに異なる場合があるため、投資前に各証券会社のウェブサイトや目論見書で確認することが重要である。また、注文後は取引履歴や注文照会画面で実際の約定日・受渡日を確認することができる。投資信託取引の日程の仕組みを正しく理解し、資金計画に活かすことで、より効率的な資産形成を実現することができる。

Q
投資信託の約定日と受渡日はどう違い、税金計算ではどちらが基準になりますか?
A

約定日は取引価格(基準価額)が確定する日で、受渡日は実際に資金や投資信託の受け渡しが行われる日です。税金計算では受渡日が基準となります。特定口座では受渡日が年内に含まれる取引のみ当該年の税金計算対象となるため、年末の売却では注意が必要です。受渡日は約定日から2~5営業日後(海外資産はさらに長い場合あり)に設定されるので、年をまたぐ可能性を考慮した取引計画を立てましょう。

Q
NISA口座での投資信託購入時、年間投資枠の消費基準日はいつですか?
A

NISA口座での投資信託購入は、受渡日の時点で当該年の非課税枠を消費します。年末の購入では、注文日が年内でも受渡日が翌年になると、翌年の投資枠を使用することになります。新NISAでは成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円の年間枠がありますが、これらを年内に使い切りたい場合は、証券会社の年末営業カレンダーで受渡日を確認し、確実に年内受渡となるよう余裕をもって注文することが重要です。

Q
国内ファンドと海外ファンドで約定日の違いはありますか?
A

はい、大きな違いがあります。国内ファンドは申込当日が約定日となることが多いのに対し、海外ファンドは申込の翌営業日以降が約定日となるのが一般的です。これは海外市場との時差や為替計算の影響によるものです。例えば、金曜日に注文した場合、国内ファンドは金曜日に約定しますが、海外ファンドは月曜日(営業日)に約定します。受渡日もそれに応じて遅れるため、資金計画を立てる際は特に海外ファンドの場合、日程に余裕を持たせることが重要です。

執筆者・監修者
十河 賢

◇経歴10年以上のウェブライター&ファイナンシャルプランナー
◇CFP保有者・SEO検定1級・宅建士・住宅ローンアドバイザー

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