【埼玉県】一人暮らしから夫婦・子育て世帯の平均生活費｜家族構成別の暮らしデータ・収支分析

家計のやりくりに悩む方は多いものである。とくに埼玉県では、都心への通勤圏という地域性から、交通費や住居費の負担が大きな課題となっている。世帯人数の変化は、支出の内訳にも大きな影響を与えるため、家族構成に応じた対策が必要となってくる。

この記事では、埼玉県の家族構成別の収支データから、世帯タイプごとの特徴を解説する。このデータを参考にすることで、より効果的な家計管理につなげることができるだろう。

子どものいない世帯の家計支出の特徴

単身世帯、夫婦のみの世帯、親と同居する世帯では、それぞれ特徴的な支出傾向がみられる。まずは基本的な支出から、各世帯の特徴を詳しくみていこう。

項目	夫婦のみ	単身世帯	夫婦とその親
消費支出	253,784	158,517	275,943
食料	72,831 (28.7%)	40,598 (25.6%)	73,386 (26.6%)
住居	15,815 (6.2%)	32,046 (20.2%)	28,007 (10.2%)
光熱・水道	15,922 (6.3%)	9,886 (6.2%)	23,996 (8.7%)
家具・家事用品	10,775 (4.2%)	3,524 (2.2%)	8,992 (3.3%)
被服及び履物	12,327 (4.9%)	5,702 (3.6%)	16,359 (5.9%)
保健医療	13,217 (5.2%)	4,661 (2.9%)	13,478 (4.9%)
交通・通信	33,920 (13.4%)	22,150 (14.0%)	35,319 (12.8%)
教育	707 (0.3%)	3 (0.0%)	–
教養娯楽	30,633 (12.1%)	17,634 (11.1%)	25,518 (9.2%)
その他の消費支出	47,636 (18.8%)	22,313 (14.1%)	50,887 (18.4%)
非消費支出	92,221	49,361	109,096
[持ち家（現住居）の 帰属家賃]	71,935	27,043	78,660
勤め先収入	434,837	278,117	426,124
可処分所得	430,407	247,382	450,303

基本生活費からみる特徴

食費、住居費、光熱水道費の割合をみると、世帯構成による特徴が顕著にあらわれている。単身世帯は住居費が消費支出の20.2%を占めており、他の世帯と比べて大きな負担となっている。食費については、夫婦のみの世帯が28.7%と最も高く、世帯人数の増加に伴う節約効果はあまりみられない特徴がある。

日常生活費の使い方

交通・通信費や教養娯楽費などの日常生活費は、世帯構成によって大きく異なる傾向がある。夫婦のみの世帯では教養娯楽費が消費支出の12.1%を占めており、余暇活動への支出が確保されている。一方で、親と同居している世帯では9.2%と低く、世帯人数が増えることで一人あたりの支出は抑えられている。

効率的な支出のポイント

光熱水道費と家具・家事用品費に注目すると、世帯人数による効率化の効果がわかる。夫婦とその親の世帯では、光熱水道費は23,996円と最も高額だが、消費支出に占める割合は8.7%にとどまっている。これは、複数人で生活することによる固定費の分散効果を示している。一方で、被服費は16,359円と他の世帯より高く、世帯人数が多いことで必要経費も増加する傾向がみられる。

子育て世帯の家計支出の実態

子どもの人数や世帯構成の違いによって、支出の内訳は大きく変化する。データから特徴的な傾向を読み解いていこう。

項目	子1人	子2人	子3人以上	片親と子	夫婦と子 と親
消費支出	316,657	302,378	332,826	209,627	270,984
食料	76,081 (24.0%)	82,915 (27.4%)	93,785 (28.2%)	62,173 (29.7%)	91,444 (33.7%)
住居	31,533 (10.0%)	12,371 (4.1%)	5,072 (1.5%)	30,176 (14.4%)	2,172 (0.8%)
光熱・水道	18,758 (5.9%)	19,871 (6.6%)	23,206 (7.0%)	17,040 (8.1%)	26,409 (9.7%)
家具・家事用品	9,778 (3.1%)	10,431 (3.5%)	9,866 (3.0%)	7,404 (3.5%)	15,123 (5.6%)
被服及び履物	14,205 (4.5%)	14,054 (4.6%)	11,781 (3.5%)	6,672 (3.2%)	12,554 (4.6%)
保健医療	11,900 (3.8%)	13,481 (4.5%)	9,857 (3.0%)	5,501 (2.6%)	10,882 (4.0%)
交通・通信	50,202 (15.9%)	47,112 (15.6%)	39,092 (11.7%)	26,106 (12.5%)	29,389 (10.8%)
教育	19,006 (6.0%)	27,385 (9.1%)	67,185 (20.2%)	7,027 (3.4%)	22,908 (8.5%)
教養娯楽	31,725 (10.0%)	29,823 (9.9%)	28,198 (8.5%)	20,588 (9.8%)	19,261 (7.1%)
その他の消費支出	53,469 (16.9%)	44,934 (14.9%)	44,785 (13.5%)	26,941 (12.9%)	40,842 (15.1%)
非消費支出	102,983	119,951	102,940	46,878	103,887
[持ち家（現住居）の 帰属家賃]	80,111	84,486	87,263	54,898	92,764
勤め先収入	543,534	603,786	576,889	265,912	579,856
可処分所得	494,512	514,438	515,688	299,636	564,803

子育てにかかる基本的な支出

食費と光熱水道費は、子どもの人数が増えるほど金額が上昇する傾向にある。子どもが3人以上いる世帯では、食費は93,785円と高額で、消費支出に占める割合も28.2%と、子1人世帯の24.0%より大幅に高くなっている。また、光熱水道費も子どもの人数に応じて増加し、子1人世帯の18,758円から子3人以上世帯では23,206円へと上昇している。

教育費と日常生活費の特徴

教育費は子どもの人数による影響が顕著にあらわれている。子どもが3人以上の世帯では教育費が67,185円と最も高く、消費支出の20.2%を占めている。これは子1人世帯の6.0%と比べると、割合でみても3倍以上の負担となっている。一方で、教養娯楽費は子どもの人数に関わらず9～10%前後で推移しており、子育て世帯でも余暇活動への支出が確保されている。

家計改善に向けた分析

住居費と交通・通信費の関係に注目すると、効率的な支出のヒントが見えてくる。子どもが3人以上の世帯では、住居費が消費支出の1.5%と極めて低い一方、片親と子の世帯では14.4%と高くなっている。交通・通信費については、子1人世帯が15.9%と最も高く、世帯人数が増えるにつれて割合が低下する傾向がみられる。これは、埼玉県の特徴である都心への通勤費用が、世帯人数の増加に伴って効率化されていることを示している。

まとめ：家族構成別の支出傾向から学ぶポイント

埼玉県の家族構成別の支出データからは、世帯構成による家計支出の特徴が明確にあらわれている。単身世帯では住居費の負担が20.2%と極めて高く、子育て世帯では子どもの人数に応じて教育費の割合が大きく上昇し、3人以上世帯では20.2%にまで達する。とくに、都心への通勤圏という地域性から、交通・通信費の負担も大きな特徴となっている。

また消費支出の内訳は、子どもの人数や世帯構成によって大きく異なっている。たとえば、子ども3人以上の世帯では食費が93,785円と高額になる一方、住居費は5,072円と低く抑えられている。夫婦と子と親の世帯では、食費が消費支出の33.7%を占める一方で、住居費は0.8%と極めて低く、世帯の特性に応じた支出の優先順位がみられる。

このように、家族構成によって支出の内訳は大きく異なるため、自身の世帯構成に応じた家計管理が重要となってくる。各費目の金額だけでなく、消費支出に占める割合も意識しながら、バランスの取れた支出計画を立てることが望ましい。