【埼玉県】20代・30代・40代・50代の一人暮らし平均生活費｜年齢別・単身世帯の暮らしとお金

埼玉県で単身生活を送る人々の中には、首都圏の生活費に見合った収入が得られているか、将来に向けた資産形成は十分かと不安を感じている人が多いものと考えられる。とくに住居費や交通費の負担が家計に与える影響は、世帯管理における重要な課題となっている。

この記事では、埼玉県の単身世帯における家計データをもとに、各年代における収支の特徴と適切な支出配分のあり方を解説する。これにより、年代に応じた効果的な家計管理の指針を得ることができる。

家計収支の項目と見方

単身世帯の家計管理において、収支項目の意味を正しく理解することが重要である。

おもな項目の意味

勤め先収入は会社からの給与収入を示している。収入から税金や社会保険料などの非消費支出を除いた金額が、実際に使える可処分所得となる。消費支出は、食費や住居費など日々の生活にかかる費用の総額である。

表の基本情報

家計収支の表は、すべて一か月あたりの平均金額を示している。年齢区分は5歳ごとに分けられており、自身の年代に近い数値を参考にすることができる。また、帰属家賃は持ち家を所有した場合の家賃相当額を示しており、参考値として掲載している。

50歳未満の単身世帯における収入と支出の特徴

20代後半から40代の単身世帯では、収入が徐々に上昇し、支出の内容も多様化する時期である。埼玉県では、住居費の負担が年代によって大きく変動する一方、交通・通信費は比較的安定している。まずは、この年代の収支状況を確認していこう。

収支項目	30歳未満	30～34	35～39	40～44	45～49
勤め先収入	279,034	243,171	295,682	318,650	255,252
可処分所得	241,466	206,526	241,956	272,260	234,343
消費支出計	158,706	162,081	142,569	142,701	175,026
食料	35,825	37,665	39,132	37,843	44,133
住居	38,534	47,503	29,376	24,181	30,415
光熱・水道	9,173	8,260	9,577	10,482	9,748
交通・通信	21,288	25,171	18,939	21,094	28,381
教養娯楽	18,254	20,538	18,397	11,400	13,961
その他	18,895	11,910	15,849	25,463	39,928
非消費支出	38,918	37,915	59,084	64,042	48,885
帰属家賃	6,365	8,292	34,853	38,133	36,832

収入面の特徴として、40～44歳でピークを迎え、月額31.8万円となっている。収入が増加する時期には、将来に向けた資産形成を意識することが重要である。非消費支出は収入に応じて大きく増加し、40代前半では6.4万円を超えるため、手取り額の管理が欠かせない。

住居費は30代前半が最も高く月額4.7万円となっており、その後は減少傾向にある。食費は年代とともに緩やかに増加し、45～49歳で4.4万円と最も高くなっている。一方で、光熱・水道費は8,000～10,000円台で推移しており、比較的安定している。

交通・通信費は2～2.8万円の範囲で推移しており、首都圏の中では比較的抑えめな水準となっている。教養娯楽費は30代前半まで2万円前後と高めだが、40代では1.1～1.3万円台まで減少する傾向が見られる。

30歳未満（20代）の家計管理のポイントと注意点

20代の勤め先収入は平均27.9万円で、可処分所得は24.1万円となっている。

消費支出は15.8万円で、そのうち住居費が3.8万円と比較的大きな比重を占めている。交通・通信費は2.1万円であり、通勤圏として適度な水準となっている。可処分所得から消費支出を差し引いた残額8.2万円を、いかに計画的に貯蓄や資産形成に回せるかが重要である。食費は月3.5万円で、自炊と外食のバランスがとれた水準といえる。

教養娯楽費は1.8万円であり、首都圏の娯楽施設を活用した生活スタイルがうかがえる。その他の消費支出も1.8万円と比較的高く、多様な支出項目があることがわかる。

30代の家計管理のポイントと注意点

30代の収入は24～29万円台で推移し、40代前半の大幅な増加に向けた準備期間となる。収入は変動が大きいものの、非消費支出は3.7～5.9万円と増加するため、収支のバランスを意識することが重要である。

消費支出は14～16万円台で推移している。住居費は30代前半で4.7万円とピークを迎えるが、35～39歳では2.9万円まで減少する。一方で、帰属家賃は3.4万円まで上昇しており、この時期から持ち家取得の動きが出始めることがわかる。

注目すべきは食費で、35～39歳では3.9万円まで上昇する。また、教養娯楽費は1.8～2.0万円台を維持しており、ライフスタイルの充実が図られている。

40代の家計管理のポイントと注意点

40代の勤め先収入は31.8万円と大きく上昇し、可処分所得も27.2万円となる。収入のピークを迎えるこの時期には、50代以降の収入減少を見据えた資産形成が必要である。

消費支出は40代前半で14.2万円と抑えめだが、後半には17.5万円まで増加している。食費は3.7～4.4万円の範囲で推移し、住居費は2.4万円から3.0万円と比較的安定している。

特徴的なのは、その他の消費支出が40代後半で3.9万円まで大きく増加する点である。これは、生活スタイルの変化や多様な支出ニーズの発生を示している。また、交通・通信費も2.8万円まで上昇しており、支出全体の見直しが必要な時期となっている。

50歳以上の単身世帯における収入と支出の特徴

50代以降の単身世帯では、年代ごとに収入が変動し、支出内容も変化していく時期である。埼玉県では、住居費の減少と食費の増加が特徴的である。現役世代の最終段階における収支状況を確認していこう。

収支項目	50～54	55～59	60～64	65～69
勤め先収入	304,175	410,166	289,335	140,225
可処分所得	266,333	345,488	272,467	194,632
消費支出計	156,433	157,778	178,509	164,488
食料	46,801	48,482	49,900	42,932
住居	22,339	17,291	29,177	28,541
光熱・水道	13,639	11,097	8,933	11,555
交通・通信	20,416	23,824	19,535	17,969
教養娯楽	21,463	12,809	23,204	26,465
その他	19,106	29,018	30,107	18,083
非消費支出	62,992	76,935	70,182	21,539
帰属家賃	47,186	45,963	44,217	41,331

収入面の特徴として、勤め先収入は55～59歳でピークを迎え、月額41.0万円となる。一方で、65～69歳では14.0万円まで大きく減少する。これは帰属家賃が4.1万円台と高水準を維持していることから、持ち家比率が高いことで生活の安定性が保たれていることを示している。

食費は年齢とともに増加し、60～64歳で月額4.9万円とピークを迎える。住居費は変動が大きく、55～59歳で1.7万円まで減少した後、60代では2.8万円台まで再び上昇する。教養娯楽費は年代によって大きな差があり、65～69歳で2.6万円と最も高くなっている。

50代の家計管理のポイントと注意点

50代の勤め先収入は30.4万円から41.0万円へと大きく上昇する。収入が大幅に増加するこの時期には、60代以降の収入減少を見据えた資産形成が重要となる。

消費支出は15.6～15.7万円と安定的に推移している。食費は4.6万円から4.8万円と高めで推移しており、食生活の充実がうかがえる。住居費は2.2万円から1.7万円へと減少しており、持ち家化の進展を示している。これは帰属家賃が4.5万円台と高水準であることからも確認できる。

教養娯楽費は50代前半で2.1万円だが、後半では1.2万円まで減少する。一方で、その他の支出は1.9万円から2.9万円へと増加しており、支出内容の変化が見られる。

60代前半の家計管理のポイントと注意点

60～64歳では勤め先収入が28.9万円となり、50代後半から約12万円の減少となる。収入が大きく減少するこの時期には、支出全体の見直しが必要となる。

消費支出は17.8万円に増加している。食費は4.9万円とさらに増加し、住居費も2.9万円まで上昇している。この時期の特徴は、教養娯楽費が2.3万円まで増加することであり、時間的な余裕を活かした生活の充実が図られている。

交通・通信費は1.9万円と抑えめになり、生活パターンの変化がうかがえる。その他の支出も3.0万円と高水準を維持しており、多様な支出ニーズがあることがわかる。

65歳以降の家計管理のポイントと注意点

65～69歳の勤め先収入は14.0万円まで減少するが、可処分所得は19.4万円を維持している。年金収入が加わることで、収入構造が大きく変化することを理解し、支出計画を立てることが重要である。

消費支出は16.4万円となり、60代前半より減少している。食費は4.2万円とやや減少する一方、住居費は2.8万円と比較的高い水準を維持している。教養娯楽費は2.6万円と最も高くなり、余暇時間の充実が図られている。

光熱・水道費は1.1万円台と安定的である一方、交通・通信費は1.7万円まで減少する。その他の支出は1.8万円と大きく減少しており、支出の選択と集中が進んでいることがわかる。

まとめ：年代に応じた家計管理のポイント

埼玉県の家計収支は年代によって大きく変化し、地域特有の特徴も見られる。20～30代は住居費の負担が大きく、40～50代は収入のピークを活かした資産形成、60代以降は収入構造の変化への対応が重要となる。

収入面では、55～59歳でピークとなる41.0万円から、65～69歳では14.0万円まで減少していく。一方で、65歳以降は年金収入が加わることで、可処分所得は19.4万円程度を維持する。各年代で実際に使える金額を把握し、計画的な支出管理が求められる。

支出面では、30代前半の住居費が月額4.7万円と最も高く、その後は持ち家化が進むことで減少する。これは埼玉県の住宅事情を反映したものである。食費は60代前半で4.9万円とピークを迎え、その後も4.2万円台を維持する。また、交通・通信費は2～2.8万円の範囲で推移し、首都圏の中では比較的抑えめな水準となっている。

保健医療費は高齢期で0.9万円程度と比較的安定している一方で、教養娯楽費は65～69歳で2.6万円まで上昇する傾向にある。その他の消費支出は年代によって1.1万円から3.9万円まで大きく変動し、ライフスタイルの多様性を反映している。

こうした変化を理解したうえで、自身の年代における収支の特徴を把握し、将来を見据えた家計管理を心がけることが望ましい。とくに埼玉県では、持ち家化による住居費の減少を活かし、その分を将来に向けた資産形成に充てることで、安定した生活基盤を築くことができる。