札幌市の消費者物価指数を分析すると、2020年1月から2025年1月までの約5年間で、多くの商品・サービスの価格が大幅に上昇していることが明らかになった。特に生鮮野菜の58.2%を筆頭に、食料品の価格上昇が顕著である。
この記事では、札幌市の消費者物価指数を詳細に分析し、各分野の価格動向を明らかにする。
物価上昇が著しいランキング:トップ10
2020年から2022年(ウクライナ侵攻前)の最も低い数値と2025年1月の最新データを比較し、物価上昇が特に著しい品目をランキング形式で紹介する。
順位 | 品目 | 2020-2022年最低値 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 生鮮野菜 | 102.7 | 162.5 | 58.2 |
2 | 生鮮果物 | 99.2 | 143.3 | 44.5 |
3 | 設備修繕・維持 | 96.4 | 129.0 | 33.8 |
4 | 乳卵類 | 99.2 | 129.1 | 30.1 |
5 | 家事雑貨 | 99.3 | 127.5 | 28.4 |
6 | 肉類 | 98.9 | 126.3 | 27.7 |
7 | 魚介類 | 103.3 | 126.9 | 22.8 |
8 | 調理食品 | 100.4 | 125.9 | 25.4 |
9 | 菓子類 | 99.8 | 123.5 | 23.7 |
10 | 生鮮魚介 | 105.1 | 123.8 | 17.8 |
物価上昇ランキングの上位は食料品が大半を占めており、特に「生鮮野菜」が58.2%という突出した上昇率でトップとなっている。これは異常気象による収穫量の減少や生産コストの上昇などが大きく影響していると考えられる。
2位は「生鮮果物」で44.5%の上昇率となっており、こちらも天候不順による収穫量の減少や輸入果物の価格上昇が影響している。生鮮食品の価格高騰が特に顕著であることがわかる。
3位は「設備修繕・維持」で33.8%の上昇率を示している。これは住宅の給湯器やシステムキッチンなどの設備費用、火災・地震保険料の値上げが影響しており、住居関連コストの上昇が家計を圧迫している。
4位は「乳卵類」で30.1%の上昇率となっており、飼料価格の高騰や鳥インフルエンザなどの影響による供給減少が背景にある。「家事雑貨」「肉類」「魚介類」「調理食品」「菓子類」「生鮮魚介」と続き、上位10品目中8品目が食料関連となっている。
これらの上昇率が高い品目は、いずれも日常生活に欠かせない基礎的な生活必需品であり、家計への影響が特に大きいことがわかる。特に食料品の上昇が著しいことから、日々の食費負担が大幅に増加していることが明らかである。
上昇の背景には、気候変動による生産量の減少、原材料・エネルギー価格の高騰、円安による輸入コストの上昇、サプライチェーンの混乱など複合的な要因がある。特に2022年以降、これらの要因が重なり合って急激な物価上昇をもたらしたと考えられる。
食料
札幌市における食料関連の消費者物価指数を分析すると、多くの食品で大幅な価格上昇が見られる。
魚介類・肉類
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
食料 | 100.7 | 100.4 | 102.7 | 112.0 | 118.4 | 127.1 | 26.2 |
魚介類 | 104.3 | 103.3 | 111.3 | 127.0 | 129.4 | 126.9 | 21.7 |
生鮮魚介 | 106.2 | 105.1 | 117.0 | 133.4 | 135.3 | 123.8 | 16.6 |
肉類 | 98.9 | 100.3 | 101.7 | 115.2 | 117.4 | 126.3 | 27.7 |
食料全体の価格は2020年1月から2025年1月までの5年間で26.2%という大幅な上昇を示している。特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著であり、世界的な食料価格の高騰や円安による輸入コストの増加が影響していると考えられる。
「肉類」は27.7%の上昇率となっており、食料品の中でも特に高い上昇を示している。飼料価格の高騰や生産・流通コストの増加が背景にあると考えられる。牛肉や豚肉、鶏肉など基礎的な食材の価格上昇は家計に大きな影響を与えている。
「魚介類」も21.7%上昇しており、特に2022年から2023年にかけての上昇が急激である。これは漁獲量の減少や燃料費の高騰が影響していると考えられる。ただし、2024年から2025年にかけては若干の下落が見られ、価格の調整局面に入っている可能性がある。
「生鮮魚介」は16.6%の上昇となっており、2024年まで上昇を続けた後、2025年には価格調整が見られる。しかし依然として2020年と比較すると大幅な価格上昇が続いている状況である。
乳卵類・野菜・果物
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乳卵類 | 99.7 | 99.2 | 102.1 | 113.0 | 131.4 | 129.1 | 29.5 |
生鮮野菜 | 104.1 | 102.7 | 104.2 | 112.3 | 123.3 | 162.5 | 56.1 |
生鮮果物 | 99.2 | 100.0 | 112.3 | 112.7 | 127.9 | 143.3 | 44.5 |
生鮮食品の価格上昇が顕著であり、特に「生鮮野菜」は56.1%と約1.5倍の上昇を示している。これは異常気象による収穫量の減少や生産コストの上昇が影響していると考えられる。特に2024年から2025年にかけての上昇が急激であり、天候不順による供給不足が背景にあると推測される。
「生鮮果物」も44.5%の大幅上昇となっており、2021年から2022年にかけて一度大きく上昇した後、2024年から2025年にかけても再び急上昇している。これも気候変動による収穫量の減少や、輸入果物の価格上昇が影響していると考えられる。
「乳卵類」は29.5%上昇しており、特に2023年から2024年にかけての上昇が著しい。これは飼料価格の高騰や鳥インフルエンザなどの影響による供給減少が背景にあると推測される。2025年には若干の下落が見られるが、依然として高い水準を維持している。
これらの生鮮食品は日常的に消費される基礎的な食材であり、その価格上昇は家計の食費負担を大きく増加させている。特に野菜と果物の価格上昇率が高いことは、健康的な食生活を維持するコストが上昇していることを示している。
調理食品・飲料・外食
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
油脂・調味料 | 99.2 | 99.0 | 99.5 | 111.0 | 117.1 | 114.7 | 15.6 |
菓子類 | 99.8 | 100.3 | 103.0 | 110.7 | 123.4 | 123.5 | 23.7 |
調理食品 | 100.5 | 100.4 | 103.6 | 111.8 | 118.1 | 125.9 | 25.3 |
飲料 | 104.3 | 97.1 | 98.9 | 106.0 | 112.7 | 122.5 | 17.4 |
酒類 | 100.0 | 99.8 | 98.7 | 105.1 | 107.0 | 106.6 | 6.6 |
加工食品や調理食品の価格も全般的に上昇しており、「調理食品」は25.3%の上昇率となっている。これは弁当やおにぎり、惣菜などの価格上昇を示しており、原材料費の高騰や人件費の上昇が反映されている。特に2022年以降の上昇が継続的に進んでいる。
「菓子類」も23.7%上昇しており、小麦粉や砂糖、油脂などの原材料費の高騰や包装資材のコスト増加が影響していると考えられる。2023年から2024年にかけての上昇が特に顕著である。
「飲料」は17.4%上昇しており、特に2024年から2025年にかけての上昇が著しい。これは原材料費の高騰や容器・包装材のコスト増加が背景にあると推測される。
「油脂・調味料」は15.6%上昇しており、2022年から2023年にかけての上昇が顕著である。しかし2024年をピークに2025年には若干の下落が見られ、価格調整局面に入っている可能性がある。
「酒類」は6.6%と比較的低い上昇率になっているが、それでも一定の価格上昇が見られる。これは原材料費の上昇や物流コストの増加が影響していると考えられる。
調理食品や加工食品の上昇は、忙しい現代生活で利用頻度の高い食品の価格上昇を意味し、家計への影響は大きい。特に調理食品の価格上昇は、外食よりも安価な選択肢として利用されてきた中食の価格競争力が低下していることを示している。

専門家のワンポイントアドバイス:
食料品の大幅な価格上昇に対応するには、食費の管理がとても重要です。季節の野菜や特売品を活用した献立作りや、まとめ買いによる単価の引き下げなどの工夫が効果的です。特に生鮮野菜が56%も上昇していることを考えると、冷凍野菜の活用や家庭菜園も検討する価値があります。また、食材をムダなく使い切る調理法を工夫することも食費節約につながります。
住居
札幌市における住居関連の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの物価上昇の実態が見えてくる。
設備修繕費の高騰が住居費を押し上げている
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
住居 | 99.4 | 100.1 | 99.8 | 101.8 | 102.3 | 104.0 | 4.6 |
設備修繕・維持 | 96.4 | 103.5 | 104.4 | 117.2 | 119.1 | 129.0 | 33.8 |
住居費用の中で突出した上昇を示しているのは「設備修繕・維持」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で33.8%上昇している。これは住居関連の他の項目と比較して約7倍の上昇率であり、給湯器やシステムキッチンなどの設備費用、火災・地震保険料の値上げが大きく影響している。
特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著で、建設資材価格の高騰と人手不足による工事費の上昇が主な要因と考えられる。住居全体では4.6%の上昇にとどまっているが、これは住居費の大部分を占める家賃などが比較的安定していることによる。札幌市における設備修繕・維持費の上昇は全国的な傾向と一致しており、建築資材や部品の価格高騰を反映したものである。

専門家のワンポイントアドバイス:
住居関連の修繕費が5年間で33.8%も上昇していることを考えると、計画的なメンテナンスと修繕積立が重要です。特に札幌のような寒冷地では、暖房設備の故障は命に関わることもあるため、定期的な点検と予防的なメンテナンスで大きな出費を避けることをお勧めします。
水道光熱費
札幌市における水道光熱費の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの間に大きな変動があったことが分かる。
エネルギー価格の高騰が家計を直撃
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
光熱・水道 | 105.6 | 97.3 | 112.0 | 123.6 | 116.2 | 125.4 | 18.8 |
上下水道料 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 0.0 |
札幌市の水道光熱費は2020年1月から2025年1月までの5年間で18.8%の大幅な上昇を示している。特に2021年から2022年、そして2022年から2023年にかけて急上昇しており、ウクライナ危機などによる国際エネルギー価格の高騰が大きく影響している。
2023年に一度ピークを迎えた後、2024年には若干の低下が見られたが、2025年には再び上昇に転じており、エネルギー価格の高止まりが続いている。札幌市は寒冷地であるため、暖房費などのエネルギーコストが家計に与える影響は特に大きく、この上昇は家計の負担増加に直結している。
一方で「上下水道料」は5年間を通して変動がなく、公共料金の安定性が維持されていることがわかる。これは行政による料金据え置き政策の効果と考えられる。ただし、他のエネルギーコストの上昇により、水道光熱費全体としては大幅な上昇となっている。

専門家のワンポイントアドバイス:
札幌市のような寒冷地では、エネルギーコストの上昇は家計に大きな影響を与えます。断熱リフォームや省エネ設備への投資は、短期的には費用がかかりますが、長期的には光熱費削減につながります。また、電力・ガス会社の料金プランを定期的に見直すことも効果的な節約策です。
家具・家事用品
札幌市における家具・家事用品の消費者物価指数を分析すると、品目によって上昇率に差が見られる。
家事雑貨の価格が大幅上昇、家庭用耐久財も値上がり
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
家具・家事用品 | 99.7 | 101.8 | 102.0 | 109.4 | 116.2 | 118.4 | 18.8 |
家庭用耐久財 | 100.7 | 102.0 | 97.8 | 108.6 | 113.9 | 111.9 | 11.1 |
家事雑貨 | 99.3 | 100.7 | 104.8 | 111.0 | 118.2 | 127.5 | 28.4 |
家具・家事用品の中で最も上昇率が高いのは「家事雑貨」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で28.4%上昇している。これは食器、鍋、フライパン、電球、タオルなどの日用品の価格高騰を示しており、原材料費の上昇や物流コストの増加が主な要因と考えられる。
「家庭用耐久財」は11.1%の上昇率となっており、電気冷蔵庫やエアコンなどの家電製品も値上がりしている。特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著であり、半導体不足や円安による輸入コストの増加が影響していると考えられる。
「家具・家事用品」全体では18.8%の上昇率となっており、日常生活で使用するほぼすべての家庭用品の価格が上昇していることが分かる。これらの品目は日々の生活に欠かせないものであるため、価格上昇の家計への影響は大きい。

専門家のワンポイントアドバイス:
家事雑貨の価格が5年間で28.4%も上昇していることを考えると、普段使いの日用品は大量買いや特売時の購入を計画的に行うことが重要です。また、家電製品は省エネ性能の高いものを選ぶことで、初期費用は高くても長期的には光熱費の節約につながります。耐久性の高い製品を選び、丁寧に使用することも家計の負担軽減に効果的です。
被服・履物
札幌市における被服・履物の消費者物価指数を分析すると、衣料品と履物の価格が全体的に上昇している。
履物類が最も値上がり、衣料品全般で価格上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
被服及び履物 | 94.9 | 94.7 | 99.9 | 100.7 | 105.4 | 108.4 | 14.2 |
衣料 | 92.5 | 92.3 | 97.4 | 99.1 | 103.9 | 104.9 | 13.4 |
シャツ・セーター・下着類 | 93.2 | 95.9 | 105.0 | 101.0 | 107.1 | 110.2 | 18.2 |
下着類 | 98.6 | 96.5 | 96.8 | 100.4 | 110.1 | 112.6 | 14.2 |
履物類 | 103.1 | 97.0 | 100.1 | 105.9 | 108.0 | 115.0 | 11.5 |
被服関連サービス | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 103.6 | 106.6 | 110.5 | 10.5 |
被服・履物の中で最も上昇率が高いのは「シャツ・セーター・下着類」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で18.2%上昇している。特に2021年から2022年にかけての上昇が顕著であり、原材料価格の高騰や円安による輸入コストの増加が影響していると考えられる。
「下着類」も14.2%の上昇率を示しており、基礎的な衣料品の価格上昇が進んでいる。「履物類」は11.5%上昇しており、靴やブーツなどの価格も上昇傾向にある。「被服関連サービス」もクリーニング代などを中心に10.5%上昇している。
「被服及び履物」全体では14.2%の上昇率となっており、2020年の初めは価格が低下傾向にあったものの、2022年以降は急激な上昇に転じている。これは世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇など複合的な要因によるものと考えられる。
札幌市においては特に冬物衣料や防寒具などが必需品であるため、これらの価格上昇は家計の季節支出にも影響を与えている。

専門家のワンポイントアドバイス:
衣料品の価格上昇に対応するには、シーズンオフのセールを活用した計画的な購入がおすすめです。特に札幌では冬物衣料が高価なため、アウトレットやセールの活用が効果的です。また、クリーニング代などのサービス料金も上昇していますので、家庭でのケア方法を工夫することも節約につながります。
保健医療
札幌市における保健医療の消費者物価指数を分析すると、医薬品や診療費の動向が浮かび上がる。
医薬品の価格上昇と保健医療用品の高騰
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
保健医療 | 100.4 | 98.9 | 98.5 | 99.1 | 101.3 | 103.1 | 2.7 |
医薬品・健康保持用摂取品 | 99.1 | 100.3 | 101.1 | 102.7 | 106.6 | 110.2 | 11.2 |
保健医療用品・器具 | 101.7 | 93.6 | 92.9 | 95.3 | 104.2 | 106.1 | 4.3 |
保健医療分野で最も上昇率が高いのは「医薬品・健康保持用摂取品」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で11.2%上昇している。これは風邪薬やビタミン剤などの価格上昇を示しており、特に2022年以降の上昇が顕著である。
「保健医療用品・器具」も4.3%上昇しており、マスクや紙おむつ、生理用品などの価格も上昇傾向にある。しかし、この項目は2020年から2022年にかけて価格が下落した後、2023年から再び上昇に転じており、特にマスク需要の変動が影響していると考えられる。
「保健医療」全体では2.7%の上昇率にとどまっており、他の分野と比較すると比較的低い上昇率となっている。これは医療保険制度による価格抑制効果や、診療報酬の改定による影響と考えられる。
特に2020年から2022年にかけては価格が下落傾向にあったものの、2023年以降は上昇に転じている。これは原材料費の高騰や円安による輸入医薬品のコスト増加などが背景にあると推測される。

専門家のワンポイントアドバイス:
医薬品の価格上昇に対応するには、ジェネリック医薬品の活用が効果的です。処方薬だけでなく市販薬でもジェネリック版が販売されていることがあります。また、医療費控除の活用も忘れないでください。年間10万円以上の医療費(または所得の5%以上)があれば税金の還付を受けられるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
交通・通信
札幌市における交通・通信の消費者物価指数を分析すると、通信料の大幅な低下と交通費の上昇という対照的な動きが見られる。
携帯電話料金の大幅下落と自動車関連費用の高騰
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
交通・通信 | 102.4 | 100.2 | 91.1 | 94.0 | 97.4 | 98.8 | -3.5 |
交通 | 99.1 | 99.0 | 100.0 | 100.7 | 104.0 | 105.0 | 6.0 |
自動車等関係費 | 104.5 | 100.2 | 103.1 | 105.4 | 109.6 | 112.0 | 7.2 |
通信 | 99.8 | 100.4 | 66.9 | 71.6 | 73.3 | 73.2 | -26.7 |
交通・通信分野で最も注目すべき動きは「通信」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で26.7%という大幅な下落を記録している。特に2021年から2022年にかけての下落が顕著で、政府による携帯電話料金引き下げ政策の影響が大きく現れている。
一方で「交通」は6.0%の上昇を示しており、公共交通機関の運賃や交通サービス価格が上昇傾向にある。特に「自動車等関係費」は7.2%上昇しており、ガソリン価格の高騰や自動車本体の価格上昇、保険料や駐車場代の値上がりなどが影響していると考えられる。
「交通・通信」全体では3.5%の下落となっているが、これは通信料の大幅な下落が交通費の上昇を相殺した結果である。通信費の下落は家計にとってプラス要因である一方、交通費の上昇は特に札幌市のような広域都市では移動コストの増加につながり、家計に影響を与えている。
注目すべきは、2022年に底を打った後、通信費は横ばいから微増傾向にある一方、交通費は継続的に上昇していることである。このトレンドが続けば、今後は「交通・通信」全体の指数も上昇に転じる可能性がある。

専門家のワンポイントアドバイス:
通信費の大幅な下落は家計にとって朗報です。まだ携帯電話の料金プランを見直していない方は、現在の契約を確認してみましょう。一方、札幌市では自動車関連費用が上昇しているため、カーシェアリングや公共交通機関の活用、エコドライブによる燃費向上など、移動コストを抑える工夫も検討する価値があります。
教育費
札幌市における教育関連の消費者物価指数を分析すると、授業料や補習教育費の変動が見られる。
補習教育費の上昇が続く一方、授業料は比較的安定
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教育 | 104.0 | 98.0 | 101.0 | 101.4 | 102.5 | 103.7 | -0.3 |
授業料等 | 105.4 | 97.2 | 100.8 | 100.9 | 101.3 | 101.9 | -3.3 |
補習教育 | 100.7 | 99.9 | 101.8 | 102.2 | 105.1 | 107.9 | 7.1 |
教育費関連で最も注目すべき動きは「補習教育」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で7.1%上昇している。これは学習塾や家庭教師、習い事などの費用が増加傾向にあることを示しており、特に2022年以降の上昇が顕著である。
一方で「授業料等」は5年間で3.3%の下落を示している。特に2020年から2021年にかけて大きく下落した後、徐々に回復しているものの、2020年水準には戻っていない。これは高等教育の修学支援新制度などの政策的な影響や、入学金・授業料の据え置きによるものと考えられる。
「教育」全体としては0.3%の微減となっており、授業料の下落と補習教育費の上昇が相殺した結果となっている。しかし、授業料が下落傾向から回復基調にある一方、補習教育費は継続的に上昇していることから、今後は教育費全体としても上昇に転じる可能性がある。
これらの動向は、公的教育費用が政策的に抑制される一方で、私的教育費用は上昇傾向にあることを示している。特に受験競争の激化や保護者の教育投資意欲の高まりが、補習教育費の上昇に影響していると考えられる。

専門家のワンポイントアドバイス:
教育費の負担を計画的に管理するには、早めの資金準備が重要です。特に補習教育費が上昇傾向にあることを考慮し、教育資金の積立は子どもが小さいうちから始めましょう。また、公的支援制度や奨学金の情報収集も欠かせません。教育ローンは最終手段と考え、事前の積立と公的支援の活用を優先するのがおすすめです。
教養娯楽
札幌市における教養娯楽の消費者物価指数を分析すると、多様なレジャー関連費用の変動が見られる。
娯楽サービス費が大幅に上昇し、教養娯楽全般で値上がり
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教養娯楽 | 100.9 | 100.9 | 99.7 | 103.3 | 109.3 | 110.9 | 9.9 |
教養娯楽用耐久財 | 97.4 | 97.4 | 99.2 | 103.3 | 102.9 | 106.9 | 9.8 |
教養娯楽用品 | 102.2 | 98.7 | 92.3 | 97.7 | 104.0 | 108.6 | 6.3 |
教養娯楽サービス | 101.5 | 101.6 | 101.6 | 105.1 | 112.7 | 110.8 | 9.2 |
教養娯楽分野で最も上昇率が高いのは「教養娯楽」全体で、2020年1月から2025年1月までの5年間で9.9%上昇している。特に2022年から2024年にかけての上昇が顕著であり、コロナ禍からの回復期における需要増加とコスト上昇が背景にあると考えられる。
「教養娯楽用耐久財」も9.8%の上昇を示しており、テレビやオーディオ機器、パソコン、カメラなどの価格上昇が見られる。これは半導体不足や円安による輸入コストの増加が主な要因と考えられる。
「教養娯楽サービス」は9.2%上昇しており、映画・演劇・スポーツ観戦などの入場料や旅行関連費用、宿泊料金などが値上がりしている。特に2022年から2024年にかけての上昇が著しく、サービス業全般の人件費や原材料費の高騰が影響している。
「教養娯楽用品」は6.3%の上昇率となっており、書籍や文房具、スポーツ用品などの価格も上昇傾向にある。ただし、2020年から2022年にかけては価格が下落した後、2023年以降に上昇に転じており、コロナ禍とその後の経済回復による需要変動の影響が見られる。
教養娯楽分野全体として見ると、2022年を底に上昇に転じており、特に2023年から2024年にかけての上昇が著しい。この背景には、コロナ禍からの経済活動再開に伴う需要増加と、原材料費・人件費の上昇による供給側のコスト増加という双方の要因がある。

専門家のワンポイントアドバイス:
娯楽費は家計の中で調整しやすい費目ですが、心の豊かさを保つためにも無理な削減は避けたいものです。価格上昇に対応するには、低価格の時期を狙った計画的な購入や、定額制サブスクリプションサービスの活用がおすすめです。また、地域の無料イベントや図書館などの公共施設を活用することで、良質な時間を過ごしながら費用を抑えることもできます。
まとめ:過去5年間で物価は大きく上昇し、食料品の値上がりが家計を直撃
2020年から2025年にかけての札幌市の物価変動を分析すると、品目によって上昇率に大きな差があることが明らかとなった。特に食料品の価格上昇が顕著であり、生鮮野菜は58.2%、生鮮果物は44.5%、乳卵類は30.1%の上昇となっている。これらの上昇は、気候変動による収量減少、原材料費・エネルギー価格の高騰、円安による輸入コスト増加など、複合的な要因によるものである。
住居費用全体では4.6%の上昇にとどまっているが、設備修繕・維持費は33.8%上昇しており、住宅の維持コストが増加している。水道光熱費は18.8%上昇しており、特に札幌市のような寒冷地では家計への影響が大きい。
交通・通信分野では対照的な動きが見られ、通信費は政府の料金引き下げ政策により26.7%下落した一方、交通費は6.0%上昇している。教育費も授業料の下落と補習教育費の上昇という相反する動きを示しており、教育費全体では0.3%の微減となっている。
このように、札幌市の物価は全体として上昇傾向にあるが、政策的な介入があった分野では価格下落も見られており、品目によって物価変動の方向性や度合いが大きく異なることが明らかとなった。特に日常的に購入する食料品の大幅な値上がりが家計に大きな影響を与えており、計画的な家計管理がますます重要となっている。
- Q札幌市で最も値上がりした品目は何ですか?
- A
札幌市で最も値上がりしたのは「生鮮野菜」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で58.2%上昇しています。これは2020-2022年の最低値と比較すると約1.6倍の価格になっています。次いで「生鮮果物」が44.5%、「設備修繕・維持」が33.8%、「乳卵類」が30.1%と続いています。
- Q物価上昇が最も低い分野はどこですか?
- A
物価が下落している分野としては「交通・通信」が3.5%減少しており、特に「通信」は26.7%の大幅な下落を示しています。これは政府による携帯電話料金引き下げ政策の影響です。また「教育」も0.3%微減しており、「授業料等」は3.3%下落しています。これらは政策的な介入による影響が大きいと考えられます。
- Q家計への影響が大きい品目はどれですか?
- A
家計への影響が大きいのは消費支出の割合が高い「食料」で、5年間で26.2%上昇しています。特に日常的に購入する生鮮野菜(58.2%上昇)や生鮮果物(44.5%上昇)の価格高騰は毎日の食費に大きく影響します。また札幌市では「光熱・水道」も18.8%上昇しており、寒冷地ならではの暖房費負担が増加しています。これらの基礎的生活費の上昇は家計を圧迫しています。