Webライター(ウェブライター)は、基本的にWeb上で公開される記事を書く。単に記事を書くだけでなく、ユーザーに読んでもらえる原稿を納品しなければならない。ユーザーと接点があるのは依頼者となるクライアントである。
この章では、クライアントがWebライターに求めるもの、ユーザーがWebライターに求めるものについて解説する。
クライアントから求められるもの
クライアントからは、「記事の独自性と信頼性」「シンプルでわかりやすい文章」が求められる。取引関係にも注意が必要である。
独自性と信頼性
最も重要なのは独自性と信頼性のある記事を書くことである。権威性については、クライアントがサイトの方針に従って決定している。
- 独自性
他サイトの単純なコピーは評価されない(2011年のパンダアップデート以降)
独自の視点や情報、わかりやすさで差別化することが必要
コピペは著作権問題だけでなく、クライアント企業の価値を下げる恐れがある - 信頼性
主観や感想ではなく、統計データや公式サイトの情報を根拠に執筆する
客観性の高い内容が求められる - 執筆者の権威性(プロフィール掲載)
プロフィール掲載が難しい場合は編集部名義で掲載されることも多い
クライアントやサイト運営側が求める場合がある

検索エンジンは、サイトの独自性を重視しています。独自の視点や情報を盛り込むことが大切です。
シンプルでわかりやすい文章
専門的な内容を、初心者や未経験者にわかりやすく伝える必要がある。
基本的にライターは、依頼されたテーマについて平均以上の知識がある。「難しすぎ」「細かすぎ」「正確に書こうとしすぎ」という三スギに気を付けなければならない。
伝えたいことは、ひとつのセクション(h3やh4)に「ひとつ」としよう。
以下に、「解約返戻金」に関する知識差を例として紹介する。クライアントから特に要望がない限り、「これから保険に加入するユーザー」を意識する。
- ライター:解約返戻金の直接的な意味はもちろん、解約返戻金の仕組みやメリット・デメリットなどさまざまな角度で解約返戻金を理解している。
- 少し詳しいユーザー:解約返戻金という言葉を見たことがあり、「保険を解約するとお金を受け取れる」という基礎知識はある。
- これから保険に加入するユーザー:解約返戻金という言葉を見たことがなかったり、読み方がわからなかったりする。解約返戻金が、知っていて当然のように書かれていると、スムーズに読めなくなる。専門的な知識を知らないユーザーにとって読みやすいかを考える必要がある。

専門用語の説明は丁寧に行うことが大切です。初めて目にする言葉だと、読者は戸惑ってしまいます。その言葉が何を意味するのか、平易な言葉で説明を加えましょう。
取引関係による影響
執筆に関わる企業を把握しておくことも重要である。
ランサーズやクラウドワークスのようなクラウドサービスでは、企業が直接募集をかけることは多い。ただ、大きいプロジェクトやWEB制作の一環としての依頼の場合、WEB制作会社が間に入ることも珍しくない。
おもに、以下のような取引関係がある。
- クライアント ⇒ ライター ※クライアントのオウンドメディアで公開
- 先方 ⇒ クライアント ⇒ ライター ※先方のオウンドメディアで公開
上記の関係を踏まえ、ユーザーだけでなく、クライアント(と先方)が求めている記事を執筆する必要がある。
特に、先方が存在し、クライアントが十分に先方の希望を吸い上げていないケースでは、事前のヒアリングや執筆中の確認も重要である。
クライアントや先方が、依頼される記事のテーマに詳しいとは限らない点も留意しなければならない。

クライアントの意向を汲み取ることも大切ですが、最終的にはユーザーに役立つ記事を書くことを意識しています。クライアントの意向とユーザーの求める情報のバランスを取ることが重要ですね。
ユーザーが求める情報
ライターが書く記事に、ユーザーが求める情報があるかどうかが重要である。
ユーザーが求める情報がなければ、すぐにサイトから離脱してしまい、滞在時間が短くなり、サイト評価につながらない。
ユーザーが入力するキーワードから、どのような情報を必要としているか考える。一例として、「動画編集ソフト おすすめ」で検索するユーザーはどんな情報を求めているか、考えてみよう。
- 単におすすめの動画編集ソフトを知りたい。
- 有料でもいいので、おすすめの動画編集ソフトを知りたい。
- 実は無料のおすすめ動画編集ソフトを探している。
- 価格ではなく、初心者でも使いやすい動画編集ソフトを探している。
- Windows版(またはMac版)のおすすめ動画編集ソフトを探している。
上記を踏まえると、「無料おすすめ動画ソフト〇選」「有料おすすめ動画ソフト〇選」「初心者向けおすすめ動画ソフト〇選」などが考えられる。
可能であれば、1記事で網羅する。もし情報を網羅していなければ、求める情報がないことに気づいたユーザーはすぐに離脱してしまう。
よくある質問
- Q記事の独自性を出すにはどうすればいいですか?
- A
他サイトにはない新しい情報を加えたり、独自の視点で解説したりすることで、記事の独自性を高めることができます。例えば、専門家の意見を引用したり、ケーススタディを交えたりするのも効果的です。
- Qユーザーが求める情報を把握するにはどうすればいいですか?
- A
検索キーワードを分析することで、ユーザーがどのような情報を求めているか推測できます。また、ユーザーアンケートを行ったり、競合サイトを参考にしたりするのも有効な方法です。ユーザーの属性を意識しながら、情報をまとめることが大切です。
まとめ
ウェブライターがクライアントやユーザーから求められるポイントは以下のとおりである。
- 独自性・信頼性のある記事を書くこと
- わかりやすい言葉で専門用語を説明すること
- クライアントと先方、ユーザーのニーズのバランスを取ること
- ユーザーの求める情報を的確に提供すること
これらのポイントを押さえることで、多くのユーザーに役立つ記事を書くことができる。