神奈川県の消費者物価指数を分析すると、2020年1月から2025年1月までの約5年間で、多くの商品・サービスの価格が大幅に上昇していることが明らかになりました。総合指数は10.7%上昇し、特に生鮮果物は58.3%、生鮮野菜は48.0%と食料品の上昇が顕著です。日常生活に欠かせない品目の価格が軒並み上昇する中、家計への影響と対策を考える必要があります。
この記事では、神奈川県の消費者物価指数を詳細に分析し、各分野の価格動向を明らかにします。5年間の推移から見える特徴的な傾向や、家計への影響が大きい品目を中心に解説していきます。
物価上昇が著しいランキング:トップ10
神奈川県の消費者物価指数データに基づき、2020年から2022年(ウクライナ侵攻前)の最も低い数値と、2025年1月の最新データを比較し、物価上昇が特に著しい品目をランキング形式で紹介する。
順位 | 品目 | 2020-2022年最低値 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|
1 | 生鮮果物 | 92.1 | 158.0 | 71.6 |
2 | 生鮮野菜 | 97.3 | 144.0 | 48.0 |
3 | 生鮮魚介 | 96.3 | 124.9 | 29.7 |
4 | 魚介類 | 97.4 | 125.7 | 29.1 |
5 | 光熱・水道 | 93.9 | 120.8 | 28.6 |
6 | 菓子類 | 100.1 | 127.9 | 27.8 |
7 | 家庭用耐久財 | 98.9 | 121.3 | 22.6 |
8 | 乳卵類 | 98.9 | 120.7 | 22.0 |
9 | 飲料 | 100.6 | 122.6 | 21.9 |
10 | 教養娯楽サービス | 101.8 | 120.8 | 18.7 |
物価上昇ランキングの上位は食料品が多くを占めており、特に「生鮮果物」が71.6%と突出した上昇率を示している。 2021年に92.1まで下落した後、2025年には158.0まで上昇しており、わずか4年間で約1.7倍に価格が高騰している。
2位の「生鮮野菜」も48.0%の上昇率で、生鮮食料品の価格上昇が顕著である。3位「生鮮魚介」(29.7%)、4位「魚介類」(29.1%)と続き、上位4品目はすべて食料品が占めている。5位には「光熱・水道」(28.6%)がランクインし、6位は「菓子類」(27.8%)となっている。
特徴的なのは上位10品目のうち7品目が食料品であり、しかも生鮮食品が多いことである。米・魚・野菜・果物といった基礎的な食材の価格が大幅に上昇しており、日々の食費負担が増加している。これらの上昇は気候変動による生産量の減少や、円安による輸入コストの上昇、資材・肥料・飼料価格の高騰など複合的な要因が背景にある。
食料
神奈川県における食料関連の消費者物価指数を分析すると、多くの食品で大幅な価格上昇が見られる。
魚介類・肉類
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
魚介類 | 99.9 | 97.4 | 106.1 | 122.9 | 122.0 | 125.7 | 25.8 |
生鮮魚介 | 100.1 | 96.3 | 110.6 | 129.6 | 120.9 | 124.9 | 24.8 |
肉類 | 102.7 | 100.8 | 103.9 | 108.0 | 109.3 | 118.9 | 15.8 |
魚介類の価格上昇も著しく、「魚介類」全体で25.8%の上昇となっている。 特に「生鮮魚介」は24.8%上昇しており、2022年から2023年にかけての上昇が急激である。これは漁獲量の減少や燃料費の高騰が影響していると考えられる。
「肉類」も15.8%上昇しており、特に2024年から2025年にかけての上昇が目立つ。食肉の価格上昇は飼料価格の上昇や流通コストの増加が要因と考えられる。たんぱく源である魚や肉の価格上昇は、家計の食費負担を大きく増加させている。
乳卵類・野菜・果物
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乳卵類 | 98.9 | 100.0 | 100.5 | 106.6 | 121.6 | 120.7 | 22.0 |
生鮮野菜 | 97.3 | 102.1 | 101.9 | 104.5 | 109.9 | 144.0 | 48.0 |
生鮮果物 | 99.8 | 92.1 | 106.3 | 116.7 | 121.9 | 158.0 | 58.3 |
生鮮食品の価格上昇が顕著であり、特に「生鮮果物」は58.3%と約6割上昇している。 これに続いて「生鮮野菜」も48.0%の大幅上昇となっており、天候不順による収穫量の減少や生産コストの上昇が影響していると考えられる。
「乳卵類」も22.0%上昇しており、特に2023年から2024年にかけての上昇が著しい。これは飼料価格の高騰や鳥インフルエンザなどの影響による供給減少が背景にあると推測される。
これらの生鮮食品の価格上昇は、健康的な食生活の維持を困難にし、家計への負担を増大させている。特に2024年から2025年にかけての野菜・果物の急騰は、日々の食卓に大きな影響を与えている。
調理食品・飲料・外食
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
油脂・調味料 | 102.1 | 99.2 | 103.9 | 112.0 | 117.0 | 116.7 | 14.3 |
菓子類 | 100.1 | 100.8 | 101.8 | 109.0 | 120.1 | 127.9 | 27.8 |
調理食品 | 99.7 | 99.7 | 101.0 | 106.6 | 113.3 | 117.1 | 17.5 |
飲料 | 100.6 | 100.8 | 101.8 | 108.6 | 113.9 | 122.6 | 21.9 |
酒類 | 100.4 | 99.8 | 99.2 | 104.9 | 108.7 | 108.8 | 8.4 |
加工食品や飲料の価格も全般的に上昇しており、「菓子類」は27.8%の上昇率となっている。 原材料や包装資材の値上がりが大きく影響していると考えられる。
「飲料」も21.9%上昇しており、特に2023年以降の上昇が顕著である。「調理食品」も17.5%上昇しており、惣菜やレトルト食品などの値上げが進んでいる。比較的上昇率が低いのは「酒類」で8.4%となっているが、それでも物価全体の上昇率を下回ることはなく、食料品全般で値上がり傾向が続いている。
「油脂・調味料」も14.3%上昇しており、調理の基本となる材料の価格上昇は、家庭での食事作りのコストを押し上げている。これらの上昇は原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇、人件費の増加など複合的な要因によるものと考えられる。
住居
神奈川県における住居関連の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの物価上昇の実態が見えてくる。
設備修繕費の高騰が住居費を押し上げている
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
住居 | 100.2 | 100.2 | 100.3 | 100.8 | 101.3 | 102.1 | 1.9 |
設備修繕・維持 | 100.0 | 102.0 | 101.9 | 107.2 | 111.0 | 112.9 | 12.9 |
住居費用の中で突出した上昇を示しているのは「設備修繕・維持」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で12.9%上昇している。 これは住居関連の他の項目と比較して約7倍の上昇率であり、給湯器やシステムキッチンなどの設備費用、火災・地震保険料の値上げが大きく影響している。
特に2022年から2023年にかけての上昇が顕著で、建設資材価格の高騰と人手不足による工事費の上昇が主な要因と考えられる。住居全体の指数は同期間で1.9%の上昇にとどまっているが、これは修繕・維持費の上昇が大きく影響している。

専門家のワンポイントアドバイス:
住居費の中で設備修繕・維持が大きく上昇していることを考えると、住宅の定期的なメンテナンスが重要です。小さな修繕を先延ばしにすると、後で大きな出費になる可能性があります。修繕積立金の見直しや、年間のメンテナンス予算を家計に組み込むことをお勧めします。
水道光熱費
神奈川県における水道光熱費の消費者物価指数を分析すると、2020年から現在までの間に大きな変動があったことがわかる。
エネルギー価格の高騰が家計を直撃
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
光熱・水道 | 102.1 | 93.9 | 108.6 | 131.4 | 109.2 | 120.8 | 18.3 |
上下水道料 | 100.0 | 100.0 | 106.6 | 106.6 | 106.6 | 106.6 | 6.6 |
水道光熱費全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で18.3%の大幅な上昇を示している。 特に2022年から2023年にかけて大きく上昇し、131.4ポイントまで達した後、2024年に一旦下落したものの、2025年には再び上昇に転じている。この変動はウクライナ危機などによる国際エネルギー価格の高騰や為替変動の影響が大きいと考えられる。
一方、「上下水道料」は2021年から2022年にかけて6.6%上昇した後、横ばいで推移しており、公共料金としての安定性が見られる。しかし、水道光熱費全体の大幅な上昇は、家計に大きな負担となっている。
家具・家事用品
神奈川県における家具・家事用品の消費者物価指数を分析すると、継続的な上昇傾向が見られる。
家庭用耐久財と家事雑貨の価格が大幅上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
家具・家事用品 | 99.1 | 105.1 | 102.4 | 111.2 | 115.9 | 119.9 | 21.0 |
家庭用耐久財 | 98.9 | 111.1 | 102.4 | 111.4 | 115.3 | 121.3 | 22.6 |
家事雑貨 | 99.9 | 100.8 | 100.4 | 115.6 | 115.8 | 120.8 | 20.9 |
家具・家事用品全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で21.0%と大幅に上昇している。 特に「家庭用耐久財」は22.6%の上昇率を示しており、電子レンジや電気冷蔵庫、エアコンなどの家電製品の価格上昇が著しい。
「家事雑貨」も20.9%上昇しており、食器や鍋、フライパン、電球などの日用品も大幅な値上がりとなっている。これらの価格上昇は、原材料費の高騰や半導体不足、サプライチェーンの混乱、円安による輸入コストの増加など、複合的な要因が背景にあると考えられる。
特に注目すべきは、2020年から2021年にかけての「家庭用耐久財」の急上昇と、2022年から2023年にかけての「家事雑貨」の急上昇である。これはコロナ禍による生活様式の変化や、資源価格の高騰などが影響していると推測される。
被服及び履物
神奈川県における被服・履物の消費者物価指数を分析すると、全体的に上昇傾向が見られる。
履物類が大幅値上げ、衣料品全般でも価格上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
被服及び履物 | 97.9 | 100.8 | 100.8 | 104.1 | 106.1 | 108.7 | 11.0 |
衣料 | 95.1 | 102.0 | 104.6 | 104.2 | 107.0 | 107.4 | 12.9 |
シャツ・セーター・下着類 | 97.8 | 101.8 | 95.9 | 100.1 | 100.9 | 106.1 | 8.5 |
下着類 | 101.7 | 101.0 | 101.5 | 110.4 | 106.1 | 106.7 | 4.9 |
履物類 | 105.1 | 94.6 | 100.1 | 108.9 | 112.7 | 116.2 | 10.6 |
被服関連サービス | 99.9 | 100.3 | 102.3 | 106.9 | 108.5 | 109.0 | 9.1 |
被服及び履物全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で11.0%上昇している。 特に「衣料」が12.9%と最も高い上昇率を示しており、2020年から2021年にかけての上昇が顕著である。
「履物類」は2021年に一旦下落した後、2022年以降急上昇しており、5年間で10.6%の上昇となっている。一方「下着類」は4.9%と比較的緩やかな上昇にとどまっている。
「被服関連サービス」(クリーニング代など)も9.1%上昇しており、人件費や光熱費の上昇が料金に反映されていると考えられる。これらの上昇は原材料価格の高騰、円安による輸入コストの増加、人件費の上昇などが複合的に影響していると推測される。
保健医療
神奈川県における保健医療の消費者物価指数を分析すると、緩やかな上昇傾向が見られる。
保健医療用品・器具の価格が上昇、全体としても上昇傾向
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
保健医療 | 100.2 | 99.4 | 99.3 | 99.1 | 101.4 | 103.7 | 3.5 |
医薬品・健康保持用摂取品 | 99.5 | 99.8 | 99.0 | 99.8 | 105.0 | 107.1 | 7.6 |
保健医療用品・器具 | 100.0 | 97.3 | 100.9 | 99.4 | 106.6 | 114.1 | 14.1 |
保健医療分野全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で3.5%と比較的緩やかな上昇率を示している。 2020年から2023年にかけては若干の下落傾向が見られたものの、2024年以降は上昇に転じている。
特に「保健医療用品・器具」は14.1%と大幅に上昇しており、紙おむつやマスク、眼鏡などの価格上昇が著しい。「医薬品・健康保持用摂取品」も7.6%上昇しており、総合かぜ薬やドリンク剤などの価格が上昇している。
保健医療分野の価格上昇は、2023年から2024年にかけて顕著になっており、原材料費の上昇や円安による輸入コストの増加、人件費の上昇などが影響していると考えられる。
交通・通信
神奈川県における交通・通信の消費者物価指数を分析すると、通信料の大幅な下落と交通費の上昇という対照的な動きが見られる。
通信料の大幅下落とガソリン価格の高騰
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
交通・通信 | 100.9 | 100.2 | 90.9 | 92.8 | 96.0 | 97.2 | -3.7 |
交通 | 99.1 | 99.5 | 100.0 | 100.4 | 105.6 | 105.3 | 6.3 |
自動車等関係費 | 102.3 | 100.2 | 104.0 | 104.6 | 108.1 | 111.0 | 8.5 |
通信 | 99.8 | 100.5 | 66.3 | 71.0 | 72.6 | 72.4 | -27.5 |
交通・通信分野で最も注目すべき動きは「通信」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で27.5%という大幅な下落を記録している。 特に2021年から2022年にかけての下落が顕著で、政府による携帯電話料金引き下げ政策の影響が大きく現れている。
一方で「交通」は6.3%の上昇となっており、特に「自動車等関係費」は8.5%上昇している。これは国際的な原油価格の高騰やタクシー運賃の値上げなどが影響していると考えられる。
交通関連費は概ね上昇傾向にある一方、通信費の大幅下落により、交通・通信費全体では3.7%の減少となっている。この対照的な動きは、政策的介入の有無による影響の違いを示している。

専門家のワンポイントアドバイス:
通信費の大幅な下落は家計にとって朗報です。特に携帯電話料金が27.5%も下がっていますので、まだ料金プランを見直していない方は、現在の契約を確認してみましょう。また、固定費の削減は効果が長期的に続くため、光熱費や保険料なども定期的に見直すことで、物価上昇の影響を緩和できます。
教育費
神奈川県における教育関連の消費者物価指数を分析すると、授業料と補習教育費に変動が見られる。
補習教育費の上昇が目立つ
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教育 | 103.6 | 99.0 | 99.9 | 100.3 | 101.9 | 103.2 | -0.4 |
授業料等 | 103.3 | 98.7 | 99.5 | 99.8 | 100.4 | 101.1 | -2.1 |
補習教育 | 105.0 | 99.7 | 101.2 | 101.7 | 106.5 | 110.0 | 4.8 |
教育費関連の特徴的な動きとしては、「授業料等」が2020年1月から2025年1月までの5年間で2.1%下落している一方、「補習教育」費は4.8%上昇している点が挙げられる。 これは高等教育の無償化政策や教育費負担軽減策の影響と、学習塾や習い事などの需要増加による価格上昇が反映されていると考えられる。
教育費全体としては0.4%のわずかな下落となっており、授業料の減少と補習教育費の上昇が相殺され、比較的安定した推移を示している。特に注目すべきは、2020年から2021年にかけての大幅な下落と、2023年以降の上昇傾向である。

専門家のワンポイントアドバイス:
授業料が下落傾向にある一方で、補習教育(塾や習い事)の費用は上昇しています。お子さんがいるご家庭では、公的支援制度を最大限活用しながら、子どもの教育に必要な費用を長期的に計画することが重要です。教育費は一時的に大きな出費になるため、教育資金の積立は早めに始めることをお勧めします。
教養娯楽
神奈川県における教養娯楽の消費者物価指数を分析すると、大幅な上昇傾向が見られる。
教養娯楽サービス費が大きく上昇
項目 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 | 2025年1月 | 上昇率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
教養娯楽 | 101.5 | 101.3 | 102.4 | 103.5 | 114.0 | 117.0 | 15.3 |
教養娯楽用耐久財 | 97.4 | 97.9 | 101.3 | 106.5 | 106.8 | 112.9 | 15.9 |
教養娯楽用品 | 100.4 | 101.9 | 101.1 | 105.8 | 107.8 | 107.9 | 7.5 |
教養娯楽サービス | 102.6 | 101.8 | 102.7 | 102.2 | 117.4 | 120.8 | 17.7 |
教養娯楽分野全体は2020年1月から2025年1月までの5年間で15.3%と大幅に上昇している。 特に「教養娯楽サービス」が17.7%と最も高い上昇率を示しており、映画・演劇・スポーツ観戦などの入場料や旅行関連費用の上昇を反映している。
「教養娯楽用耐久財」も15.9%上昇しており、テレビやオーディオ機器、パソコンなどの電子機器の価格上昇が著しい。一方「教養娯楽用品」は7.5%と比較的緩やかな上昇にとどまっている。
特徴的なのは、2023年から2024年にかけての急激な上昇であり、経済活動の正常化に伴うレジャー需要の回復や、原材料・エネルギー価格の高騰による影響が大きいと考えられる。
まとめ:神奈川県の過去5年間の物価は大幅上昇、食料品と生活必需品の値上がりが顕著
2020年から2025年にかけての神奈川県の物価変動を分析すると、総合物価指数は10.7%上昇しており、品目によって上昇率に大きな差がある。特に食料品の価格上昇が顕著であり、生鮮果物は58.3%、生鮮野菜は48.0%、魚介類は25.8%の上昇となっている。これらの上昇は、気候変動による収量減少、原材料費・エネルギー価格の高騰、円安による輸入コスト増加など、複合的な要因によるものである。
住居費用は比較的安定しており、住居全体で1.9%の上昇にとどまっているが、設備修繕・維持費は12.9%上昇しており、住宅の維持コストが増加している。水道光熱費では全体で18.3%上昇しており、エネルギー価格の高騰が家計を圧迫している。家具・家事用品も21.0%と大幅に上昇している。
交通・通信分野では対照的な動きが見られ、通信費は政府の料金引き下げ政策により27.5%下落した一方、交通費は6.3%上昇している。教育費は授業料の負担軽減策により全体としては0.4%減少しているが、補習教育費は4.8%上昇している。
神奈川県の物価は全体としては上昇傾向にあるが、政策的な介入があった分野では価格下落も見られており、品目によって物価変動の方向性や度合いが大きく異なることが明らかとなった。家計運営においては、こうした品目ごとの物価変動を踏まえた支出計画が重要となる。
- Q神奈川県で最も値上がりした品目は何ですか?
- A
最も値上がりしたのは「生鮮果物」で、2020年1月から2025年1月までの5年間で58.3%上昇しています。特に2021年1月に92.1ポイントと低かった時期から比べると、71.6%もの上昇率となっています。次いで「生鮮野菜」が48.0%、「菓子類」が27.8%と続き、食料品の価格上昇が顕著です。
- Q物価上昇が最も低い分野はどこですか?
- A
物価が下落している分野としては「交通・通信」が3.7%減少しており、特に「通信」費は27.5%の大幅な下落を示しています。また「教育」も0.4%わずかに減少しており、「授業料等」は2.1%下落しています。これらは政府の政策的介入による影響が大きいと考えられます。また「住居」は1.9%と比較的緩やかな上昇にとどまっています。
- Q家計への影響が大きい品目はどれですか?
- A
家計への影響が大きいのは消費支出の割合が高い「食料」で、5年間で24.3%上昇しています。特に主食材である生鮮野菜(48.0%)や生鮮果物(58.3%)の上昇が著しく、毎日の生活費を押し上げています。また「光熱・水道」も18.3%上昇しており、家計の固定費負担を増加させています。「家具・家事用品」も21.0%上昇しており、家庭用耐久財や日用品の価格上昇も家計に大きな影響を与えています。