投資信託のコストについて – 信託報酬、販売手数料など

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この記事を読むメリット
  • 投資信託のコストの種類と仕組みを理解できる
  • コストが運用成果に与える影響を把握できる
  • コストを比較検討し、適切な投資信託を選択するポイントがわかる
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投資信託を購入する際、コストについて理解することが重要である。投資信託のコストには、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額などがある。これらのコストは、投資信託の運用成果に影響を与えるため、投資家は各コストの仕組みや水準を把握し、適切な商品を選択する必要がある。

信託報酬の仕組みと影響

信託報酬は、投資信託の運用管理に対する対価として、投資信託の純資産総額に対して一定の割合で課される。信託報酬は、投資信託の運用会社、販売会社、受託会社に分配される。信託報酬は、投資信託の運用成果から差し引かれるため、信託報酬が高いと、投資家の手取りの運用成果が低くなる。信託報酬は、投資信託によって異なるため、投資家は信託報酬の水準を比較検討する必要がある。

CFP
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信託報酬は、投資信託の運用成果に大きな影響を与えます。長期的な投資を考えている場合、信託報酬の差が運用成果に与える影響は非常に大きくなります。信託報酬の水準を確認し、低コストの商品を選ぶことが重要です。

【具体例】信託報酬額

投資信託のコストについて考えてみる。

例えば、100万円を投資信託に投資したとき、この投資信託の信託報酬率が年率1.5%(税込)だとする。信託報酬は、直接支払うわけではなく、投資信託の純資産総額から差し引かれる。年率1.5%の信託報酬率の場合、1年間の信託報酬は以下のように計算される。

1年間の信託報酬:100万円 × 1.5% = 15,000円

この差し引かれた信託報酬は、運用会社、販売会社、受託会社の間で分配される。次は、信託報酬の内訳の一例である。

信託報酬の内訳:

対象信託報酬率金額(年間)
運用会社0.8%8,000円
販売会社0.6%6,000円
受託会社0.1%1,000円
合計1.5%15,000円
※信託報酬率と内訳は一例である。実際の信託報酬率と内訳は投資信託によって異なる。

実際には、信託報酬は毎日計算され、日割りで差し引かれる。通常、1ヶ月分の信託報酬がまとめて差し引かれる。年率1.5%の信託報酬率の場合、1ヶ月あたりの信託報酬は、次のように計算される。

1ヶ月あたりの信託報酬:年率1.5% ÷ 12ヶ月 = 月率0.125% 100万円 × 0.125% = 1,250円

つまり、100万円を投資した場合、毎月1,250円の信託報酬が差し引かれ、運用会社、販売会社、受託会社に分配されることになる。

投資信託のコストを理解することは、長期的な投資成果に影響を与える重要な要素である。信託報酬率が高い投資信託では、コストが投資収益を圧迫する可能性がある。逆に、信託報酬率が低い投資信託では、コストが抑えられ、投資収益が高くなる可能性がある。

したがって、投資信託を選ぶ際は、信託報酬率だけでなく、投資信託の運用実績や投資方針なども総合的に検討することが大切である。

販売手数料の仕組みと影響

販売手数料は、投資信託を購入する際に、販売会社に支払う手数料である。販売手数料は、投資信託の購入金額に対して一定の割合で課される。販売手数料は、投資信託の運用成果とは関係なく、購入時に発生するコストである。販売手数料が高いと、投資家の初期投資額が減少し、運用成果に影響を与える。販売手数料は、投資信託や販売会社によって異なるため、投資家は販売手数料の水準を比較検討する必要がある。

【具体例】販売手数料

販売手数料の料率は、投資信託の種類や購入金額によって異なる。次は、販売手数料の料率表の一例である。

購入金額販売手数料率
100万円未満3.30%(税込)
100万円以上500万円未満2.75%(税込)
500万円以上1,000万円未満2.20%(税込)
1,000万円以上1.65%(税込)
※販売手数料率は一例であり、実際の手数料率は投資信託や販売会社によって異なる。

例えば、あなたが100万円を投資信託に投資する場合、以下のような計算になる。

  • 購入金額:100万円
  • 販売手数料率:3.30%(税込)
  • 販売手数料:100万円 × 3.30% = 33,000円(税込)
  • 投資信託の購入金額:100万円 – 33,000円 = 967,000円

この例では、100万円の投資に対して33,000円の販売手数料が発生し、実際に投資信託に投資される金額は967,000円となる。

販売手数料は、購入時に一時的に発生するコストであるため、長期的な投資においては、その影響は相対的に小さくなる。しかし、短期的な投資や頻繁に投資信託を売買する場合、販売手数料のコストが積み重なり、投資収益に大きな影響を与える可能性がある。

また、近年では、販売手数料が無料または低額な投資信託も増えている。これらの投資信託は、ノーロード型投資信託や直販型投資信託と呼ばれ、コストを抑えたい投資家に人気がある。

投資信託を選ぶ際は、販売手数料だけでなく、信託報酬や運用実績なども総合的に検討することが重要である。自分の投資目的や投資期間に合わせて、適切な投資信託を選択することが望ましい。

信託財産留保額の仕組みと影響

信託財産留保額は、投資信託を換金する際に、投資信託の純資産総額から差し引かれる金額である。信託財産留保額は、投資信託の換金に伴うコストを賄うために設定されている。信託財産留保額は、換金する投資信託の口数に対して一定の割合で課される。信託財産留保額が高いと、換金時の手取り額が減少する。信託財産留保額は、投資信託によって異なるため、投資家は信託財産留保額の水準を確認する必要がある。

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信託財産留保額は、投資信託を換金する際に発生するコストです。長期的な投資を考えている場合、信託財産留保額の影響は限定的ですが、短期的な投資を考えている場合は、信託財産留保額の水準を確認することが重要です。

【具体例】信託財産留保額

信託財産留保額の料率は、投資信託によって異なる。次は、信託財産留保額の料率表の一例である。

換金時期信託財産留保額率
購入後90日未満0.5%
購入後90日以上180日未満0.3%
購入後180日以上1年未満0.2%
購入後1年以上なし
※信託財産留保額率は一例であり、実際の料率は投資信託によって異なる。

例えば、100万円を投資信託に投資し、購入から60日後に換金する場合、次のような計算になる。

  • 換金時の投資信託の純資産総額:105万円
  • 信託財産留保額率:0.5%
  • 信託財産留保額:105万円 × 0.5% = 5,250円
  • 換金手取り金額:105万円 – 5,250円 = 1,044,750円

この例では、換金時の投資信託の純資産総額が105万円であり、購入から60日後の換金であるため、信託財産留保額率は0.5%が適用される。その結果、5,250円の信託財産留保額が控除され、換金手取り金額は1,044,750円となる。

信託財産留保額は、短期的な投資信託の売買を抑制し、長期的な投資を促すための仕組みである。短期的に投資信託を売買すると、信託財産留保額のコストが積み重なり、投資収益に影響を与える可能性がある。

ただし、すべての投資信託に信託財産留保額が設定されているわけではない。信託財産留保額が設定されていない投資信託もあるため、投資信託の選択時に留意することが重要である。

投資信託を選ぶ際は、信託財産留保額だけでなく、信託報酬や販売手数料、運用実績なども総合的に検討することが必要である。自分の投資目的や投資期間に合わせて、適切な投資信託を選択することが賢明である。

投資信託のコストとして、税金について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

コストの比較検討の重要性

投資信託のコストは、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額などがあり、これらのコストは投資信託の運用成果に影響を与える。投資家は、投資信託のコストを総合的に比較検討し、自分の投資目的や投資期間に適した商品を選択する必要がある。低コストの投資信託が必ずしも良い商品とは限らないが、コストが運用成果に与える影響を理解することが重要である。

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投資信託のコストは、運用成果に大きな影響を与えます。特に長期的な投資を考えている場合、コストの差が運用成果に与える影響は非常に大きくなります。自分の投資目的や投資期間に合わせて、適切なコストの商品を選ぶことが大切です。

コストのなかでは、信託報酬に注目しなければならない。次に信託報酬に着目して解説する。

コストのなかで信託報酬額が重要な理由

投資信託のコストの中でも、特に信託報酬額に注目すべきである。信託報酬額は、投資信託の運用期間中に継続的に発生するコストであり、長期的な投資成果に大きな影響を与える。以下の理由から、信託報酬額が重要であると言える。

信託報酬額に注目すべき理由

  • 長期的な影響:信託報酬は、投資信託の保有期間中に毎年発生するコストである。たとえ信託報酬率の差が小さくても、長期的な投資では、その差が複利効果により大きな差となって現れる。したがって、長期的な投資成果を考える上で、信託報酬額は非常に重要な要素となる。
  • 直接的な運用成果への影響:信託報酬は、投資信託の純資産総額から差し引かれるため、直接的に運用成果を減少させる。他の条件が同じ場合、信託報酬額が高い投資信託は、信託報酬額が低い投資信託に比べて、投資家の手取りの運用成果が低くなる。
  • 比較可能性:信託報酬額は、投資信託ごとに異なる。投資家は、信託報酬額を比較することで、より低コストの投資信託を選択することができる。同じような投資方針の投資信託でも、信託報酬額が異なる場合があるため、比較検討が重要である。
  • 積み上がる効果:信託報酬は、投資信託の保有期間中に継続的に発生するため、時間の経過とともに積み上がっていく。特に、長期的な投資では、信託報酬額の差が大きな差となって現れる。したがって、信託報酬額の低い投資信託を選ぶことが、長期的な投資成果の向上につながる。

以上の理由から、投資家は投資信託のコストの中でも、特に信託報酬額に注目し、比較検討することが重要である。信託報酬額の差が長期的な投資成果に与える影響を理解し、自分の投資目的に合った低コストの投資信託を選択することが賢明な投資につながる。

【具体例】信託報酬額の料率による利益の違い

信託報酬の料率は投資信託によって異なる。以下の表は、3つの投資信託(A、B、C)について、信託報酬率と10年間の運用における影響をまとめたものである。

前提条件:

  • 初期投資額:100万円
  • 年間リターン:3%(信託報酬控除前)
  • 投資期間:5年、10年、20年
投資信託ABC
信託報酬率0.5%1.0%1.5%
5年後の運用額1,119,331円1,104,622円1,090,157円
10年後の運用額1,240,821円1,213,587円1,186,946円
20年後の運用額1,520,119円1,459,203円1,400,306円

このグラフは、信託報酬率の違いが長期的な利益額に与える影響を示すものである。

投資信託A、B、Cは、それぞれ信託報酬率が0.5%、1.0%、1.5%と異なる。グラフの横軸は投資期間(1年から20年)を表し、縦軸は利益額を表している。利益額は、初期投資額である100万円を差し引いた金額である。

グラフから、信託報酬率が低いほど、長期的な利益額が大きくなることが明らかである。20年後の利益額を比較すると、信託報酬率が最も低い投資信託Aが603,869円、信託報酬率が最も高い投資信託Cが364,956円となっており、その差は約24万円にも及ぶ。

また、投資期間が長くなるほど、信託報酬率の差による利益額の差が拡大していく傾向が見られる。これは、複利効果によるものであり、長期的な投資において信託報酬率が重要な役割を果たすことを示している。

したがって、このグラフは、投資家が長期的な投資を行う際、信託報酬率を慎重に比較検討し、可能な限り低コストの投資信託を選択することの重要性を示すものである。信託報酬率のわずかな差が、長期的には大きな利益額の差となって現れることを理解することが重要である。

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まとめ

投資信託のコストには、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額などがあり、これらのコストは投資信託の運用成果に影響を与える。投資家は、各コストの仕組みや水準を理解し、比較検討することが重要である。コストは投資信託によって異なるため、自分の投資目的や投資期間に適した商品を選択する必要がある。投資信託のコストを適切に管理することで、より効果的な資産運用を行うことができる。

Q
信託報酬と販売手数料の違いは何ですか?
A

信託報酬は、投資信託の運用管理に対する対価として、投資信託の純資産総額に対して一定の割合で課されるコストです。一方、販売手数料は、投資信託を購入する際に、販売会社に支払う手数料で、投資信託の購入金額に対して一定の割合で課されます。信託報酬は運用期間中に発生するコストですが、販売手数料は購入時に発生する一時的なコストです。

Q
投資信託のコストを比較する際、どのような点に注意すべきですか?
A

投資信託のコストを比較する際は、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額などの各コストの水準を確認することが重要です。また、これらのコストが運用成果に与える影響を考慮し、自分の投資目的や投資期間に適した商品を選ぶ必要があります。コストの水準だけでなく、投資信託の運用実績や投資方針なども総合的に判断することが大切です。

Q
コストが低い投資信託が必ずしも良い商品とは限らないのはなぜですか?
A

コストが低い投資信託が必ずしも良い商品とは限らないのは、投資信託の運用成果がコスト以外の要因にも影響を受けるからです。例えば、運用会社の運用能力や投資方針、市場環境などによって、運用成果は大きく異なります。したがって、コストが低くても、運用成果が芳しくない投資信託もあります。コストは重要な要素ですが、投資信託の選択には、コスト以外の要素も総合的に判断する必要があります。

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