投資信託のリスク管理 – 分散投資、リバランスの重要性

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この記事を読むメリット
  • 投資信託のリスク管理における分散投資とリバランスの重要性が理解できる。
  • アセットアロケーションの考え方を学ぶことができる。
  • 投資信託に潜む様々なリスクの種類を知ることができる。

投資信託は、株式や債券などの複数の金融商品に投資を行うため、個別の金融商品に直接投資するよりもリスクを分散することができる。しかし、投資信託にもリスクがあるため、適切なリスク管理が必要だ。投資信託のリスク管理において重要なのは、分散投資とリバランスである。

※なお、ほかの投資信託に関する記事を読みたい方は、次の一覧からお選びいただきたい。

分散投資の重要性

分散投資は、様々な金融商品に投資することで、リスクを分散させる手法である。投資信託は、複数の金融商品に投資を行うため、分散投資の効果がある。しかし、投資信託の中にも、特定の業種や地域に集中して投資を行うものがある。そのため、投資家は、投資信託の投資対象や投資比率を確認し、適切な分散投資を行う必要がある。

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分散投資は、リスク管理において非常に重要な概念です。一つの金融商品に集中して投資するのではなく、様々な金融商品に投資することで、リスクを分散させることができます。

投資信託の種類とリスクの違い

投資信託には、様々な種類があり、それぞれ投資対象や運用方針が異なる。主な投資信託の種類とその詳細は次の表の通りである。

種類詳細リスク
株式投資信託– 国内株式投資信託
– 海外株式投資信託
 – 先進国株式投資信託
 – 新興国株式投資信託
 – 全世界株式投資信託
– アクティブ運用型
– パッシブ運用型
株式市場の変動によって、価格変動リスクが比較的高い
債券投資信託– 国内債券投資信託
– 海外債券投資信託
– 先進国債券投資信託
– 新興国債券投資信託
– 社債投資信託
– ハイイールド債券投資信託
・金利変動や発行体の信用リスクの影響を受ける
・株式投資信託よりもリスクは、一般的に低い
バランス型投資信託– 安定型
– 安定成長型
– 成長型
株式と債券の配分割合によって、リスクとリターンのバランスを調整できる
不動産投資信託(REIT)– オフィス REIT
– 住宅 REIT
– 商業施設 REIT
– ホテル REIT
不動産市場の変動や物件の空室率などの影響を受ける
コモディティ投資信託– 金投資信託
– 原油投資信託
– 農産物投資信託
コモディティ価格の変動の影響を受ける

以下は、リスクに対する考え方による投資対象の例である。

リスクに対する考え方投資対象の例
とにかくリスクを回避したい– 債券投資信託の割合を大きく
– 国内債券投資信託を中心に
– 安定型のバランス型投資信託
ある程度のリスクは許容できる– 株式投資信託と債券投資信託のバランスを取る
– 安定成長型のバランス型投資信託
– REITを一部組み入れる
高いリターンを求める– 株式投資信託の割合を大きく
– 新興国株式投資信託や新興国債券投資信託を組み入れる
– 成長型のバランス型投資信託
– コモディティ投資信託を一部組み入れる
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自分のリスク許容度を正しく理解することが、投資信託選びの第一歩です。リスク許容度は、投資経験や年齢、収入、資産状況などによって異なります。自分のリスク許容度を把握した上で、それに合った投資信託を選ぶことが重要です。

投資家は、自分のリスク許容度を理解し、それに合った投資信託を選択することで、効果的なリスク管理を行うことができる。リスクとリターンに関しては、次の記事も参考にしていただきたい。

アセットアロケーションの考え方

アセットアロケーションは、投資資金を様々な資産クラスに配分する戦略である。株式、債券、不動産、コモディティなどの資産クラスに投資資金を配分することで、リスクを分散させることができる。投資信託の選択においても、アセットアロケーションの考え方が重要である。自分のリスク許容度や投資目的に合わせて、適切な資産クラスの投資信託を選択することが必要である。

アセットアロケーションと投資信託

次は、投資信託を含む代表的な資産と詳細、リスクをまとめた表である。

資産詳細リスク
株式– 国内株式
– 海外株式
– 先進国株式
– 新興国株式
株式市場の変動によって、価格変動リスクが比較的高い
債券– 国内債券
– 国債
– 地方債
– 社債
– 海外債券
– 先進国債券
– 新興国債券
– ハイイールド債券
金利変動や発行体の信用リスクの影響を受ける
株式よりもリスクは、一般的に低い
不動産– 直接所有
– 不動産投資信託(REIT)
不動産市場の変動や物件の空室率などの影響を受ける
現金・預金– 普通預金
– 定期預金
リスクは低いが、インフレリスクがある
コモディティ– 金
– 原油
– 農産物
コモディティ価格の変動の影響を受ける
投資信託– 株式投資信託
– 債券投資信託
– バランス型投資信託
– 不動産投資信託(REIT)
– コモディティ投資信託
投資対象や運用方針によってリスクは異なる

上記の表は、投資信託を含む代表的な資産の種類とそれぞれのリスクについてまとめたものである。

株式は、企業の成長性を直接的に反映するため、高いリターンが期待できる一方、価格変動リスクが比較的高くなっている。債券は、利子と元本の支払いが約束されているため、株式よりもリスクは低いが、金利変動や発行体の信用リスクの影響を受ける。

不動産は、直接所有する場合と不動産投資信託(REIT)を通じて投資する場合があり、不動産市場の変動や物件の空室率などのリスクがある。現金・預金は、リスクが低い一方、インフレによる実質的な価値の減少というリスクがある。

コモディティは、金属や農産物などの実物資産への投資であり、それぞれの商品の価格変動リスクがある。

投資信託は、これらの資産に間接的に投資することができる商品であり、投資対象や運用方針によってリスクとリターンの特性が異なる。

投資家は、これらの資産のリスク特性を理解した上で、自分のリスク許容度や投資目的に合った資産配分を行うことが重要である。また、各資産のリスクを分散するために、アセットアロケーションの考え方を適用することが有効だ。

次は、リスクに対する考え方ごとの投資対象の例である。

リスクに対する考え方投資対象の例
とにかくリスクを回避したい– 現金・預金の割合を大きく
– 国内債券(特に国債)の割合を大きく
– 債券投資信託の中でも、安全性の高いものを選ぶ
ある程度のリスクは許容できる– 株式と債券のバランスを取る
– 国内株式と国内債券を中心に
– バランス型投資信託を活用
– REITを一部組み入れる
高いリターンを求める– 株式の割合を大きく
– 海外株式(特に新興国株式)の割合を大きく
– ハイイールド債券を一部組み入れる
– コモディティを一部組み入れる
– 株式投資信託の中でも、積極的な運用方針のものを選ぶ
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アセットアロケーションを考える際は、投資信託だけでなく、株式、債券、不動産、現金などの資産全体を視野に入れることが重要です。自分のリスク許容度を理解し、それに合った資産配分を行うことが、効果的なリスク管理につながります。また、定期的に資産配分を見直し、必要に応じてリバランスを行うことも大切です。

投資家は、自分のリスク許容度を理解し、それに合った資産配分を行うことで、効果的なリスク管理を実現することができる。

リスクの高い投資信託でリターンを追求する

高いリターンを求める場合でも、投資信託は投資対象になる。

投資信託は、その投資対象や運用方針によって、様々なリスクとリターンの特性を持っている。株式投資信託の中には、高いリターンを求めて積極的な運用を行うものがある。例えば、以下のような投資信託は、高いリターンを求める投資家にとって魅力的な選択肢になり得る。

  1. 新興国株式投資信託:新興国の株式市場は、先進国に比べて高い成長が期待できる一方、カントリーリスクが高いことから、高いリターンが期待できる。
  2. セクター特化型株式投資信託:特定のセクター(業種)に特化して投資を行う投資信託は、そのセクターの成長性を捉えることで、高いリターンを獲得する可能性がある。
  3. アクティブ運用型株式投資信託:運用者の判断で銘柄選択を行うアクティブ運用型の株式投資信託は、市場平均以上のリターンを目指すことができる。
  4. レバレッジ型投資信託:デリバティブ取引等を活用して、投資金額以上の売買を行うレバレッジ型の投資信託は、高いリターンを獲得する可能性がある一方、損失が拡大するリスクもある。

ただし、高いリターンを求める投資信託は、それだけリスクも高くなる傾向がある。投資家は、自分のリスク許容度を十分に理解した上で、慎重に投資信託を選択する必要がある。

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高いリターンを求める場合、投資信託は有効な選択肢の一つですが、リスクも高くなることを理解しておく必要があります。投資信託を選ぶ際は、投資対象や運用方針、過去のパフォーマンスなどを十分に研究し、自分のリスク許容度に合ったものを選ぶことが大切です。また、高リスクの投資信託に集中するのではなく、他の資産とのバランスを取ることも重要です。

高いリターンを求める投資家は、投資信託を適切に活用することで、自分の投資目的の達成を目指すことができる。ただし、リスクを十分に理解し、適切な資産配分を行うことが重要である。

リバランスの重要性

リバランスは、当初設定したアセットアロケーションを維持するために、定期的に投資比率を調整する手法である。各資産クラスの投資比率は、時間の経過とともに変化するため、放置するとアセットアロケーションが崩れてしまう。リバランスを行うことで、アセットアロケーションを維持し、リスク管理を行うことができる。投資信託においても、定期的にリバランスを行うことが重要である。

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リバランスは、投資信託のリスク管理において欠かせない手法です。市場の変動によって、当初設定したアセットアロケーションが崩れてしまうことがありますが、リバランスを行うことで、常に適切なアセットアロケーションを維持することができます。

【具体例】リバランスすべき状況と手順

安定型を希望する投資家の例を用いて、具体的な数値でリバランスの流れを解説する。

当初のポートフォリオ

資産クラス比率金額(万円)
国内株式20%200
国内債券50%500
外国株式10%100
外国債券20%200
合計100%1,000

1年後のポートフォリオ(リバランス前)

1年後、株式市場が好調だったため、ポートフォリオ内の株式の比率が上昇し、債券の比率が低下したとする。国内株式が200万円から300万円に、外国株式が100万円から180万円になり、株式の比率が上がっているのがわかる。

資産クラス比率金額(万円)
国内株式25%300
国内債券45%540
外国株式15%180
外国債券15%180
合計100%1,200

この状態では、当初の安定型ポートフォリオから乖離し、よりリスクの高い積極型ポートフォリオに近づいてしまっている。

リバランスの実行

当初の安定型ポートフォリオに戻すために、以下のようにリバランスを行う。

  1. 国内株式を売却し、国内債券を購入する。
    • 売却額:300万円 × (20% – 25%) = -15万円
    • 購入額:540万円 × (50% – 45%) = 27万円
  2. 外国株式を売却し、外国債券を購入する。
    • 売却額:180万円 × (10% – 15%) = -9万円
    • 購入額:180万円 × (20% – 15%) = 9万円

リバランス後のポートフォリオ

資産クラス比率金額(万円)
国内株式20%285
国内債券50%567
外国株式10%171
外国債券20%189
合計100%1,212

リバランスを行うことで、ポートフォリオ全体の資産配分を当初の安定型に戻せる。ただし、リバランスにより売却した資産の値上がり益に対して税金が発生する点には留意が必要である。

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リバランスは、ポートフォリオのリスク管理において重要な役割を果たします。特に、安定型のポートフォリオを維持するためには、定期的なリバランスが欠かせません。ただし、リバランスのタイミングや頻度は、投資家のリスク許容度や市場環境によって異なります。自分に合ったリバランス戦略を立てることが大切です。

以上が、安定型ポートフォリオを例にした、具体的な数値を用いたリバランスの解説である。

投資信託のリスクの種類

投資信託には、様々なリスクがある。おもなリスクは次の通りである。

リスクの種類説明
価格変動リスク投資対象の価格が下落するリスク
為替リスク外貨建て資産に投資する場合の為替レートの変動リスク
信用リスク投資対象の発行体の財務状況の悪化などによるリスク
流動性リスク投資信託の換金に時間がかかるリスク

投資家は、これらのリスクを理解し、自分のリスク許容度に合った投資信託を選択する必要がある。

まとめ

CFP
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投資信託を選択する際は、自分のリスク許容度や投資目的に合った商品を選ぶことが重要です。また、定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じてリバランスを行うことが、リスク管理において欠かせません。

投資信託のリスク管理において重要なのは、分散投資とリバランスである。分散投資は、様々な金融商品に投資することでリスクを分散させる手法である。アセットアロケーションの考え方も重要である。リバランスは、当初設定したアセットアロケーションを維持するために、定期的に投資比率を調整する手法である。投資信託には、価格変動リスク、為替リスク、信用リスク、流動性リスクなどがある。投資家は、これらのリスクを理解し、自分のリスク許容度に合った投資信託を選択することが重要である。

Q
分散投資とはどのような手法ですか?
A

分散投資とは、様々な金融商品に投資することで、リスクを分散させる手法です。一つの金融商品に集中して投資するのではなく、複数の金融商品に投資することで、リスクを軽減することができます。

Q
リバランスを行う目的は何ですか?
A

リバランスを行う目的は、当初設定したアセットアロケーションを維持することです。市場の変動によって、各資産クラスの投資比率が変化してしまうことがありますが、リバランスを行うことで、常に適切なアセットアロケーションを維持することができます。

※なお、ほかの投資信託に関する記事を読みたい方は、次の一覧からお選びいただきたい。

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